初夏の季語 甘草
マメ科カンゾウ属の植物の総称で、ウラルカンゾウやスペインカンゾウなどがある。6月から7月ころに薄紫の花をつける。
4000年前のインドではすでに薬用として利用されており、人類史上最も古いとも言われる薬用植物である。根を乾燥させたものは生薬として利用されるほか、甘味料としても用いられる。漢方薬としては広範囲に利用される植物で、「国老」とも呼ばれた。日本へも古くから渡来し、正倉院にも保存されている。
マメ科カンゾウ属の植物の総称で、ウラルカンゾウやスペインカンゾウなどがある。6月から7月ころに薄紫の花をつける。
4000年前のインドではすでに薬用として利用されており、人類史上最も古いとも言われる薬用植物である。根を乾燥させたものは生薬として利用されるほか、甘味料としても用いられる。漢方薬としては広範囲に利用される植物で、「国老」とも呼ばれた。日本へも古くから渡来し、正倉院にも保存されている。
水田の整地作業のことで、種まきから30日、田植えの5日ほど前に行う。行う時期は地方や農家によって異なるが、5月頃となる。
古くは牛馬を用いて行った作業であるが、現代ではトラクターが主役となっている。代掻きを行う前日には、田圃に水を張っておかなければならない。
代掻きは、田圃を平らにして水持ちをよくさせるとともに、雑草などを取り除いて有機物豊富な肥えた状態にする目的がある。また、田植えなどの作業性向上にも必要な作業である。
「代」とは、田地のことで、古代令制前の田地の測量単位でもあった。一代とは稲1束(米五升)を収穫できる面積で、一段(一反)の50分の1であった。
夜を旅に代掻く小田の行き戻り 松尾芭蕉
日本でアカシアと呼ばれているのは、北アメリカ原産のマメ科ハリエンジュ属ニセアカシアである場合が多い。ミモザとも呼ばれるマメ科アカシア属の植物とは別種である。日本では、棘があるエンジュという意味で、「針槐(はりえんじゅ)」の別名があり、ウィーン万博から持ち帰った種子を1875年に東京大手町に植えて日本初の街路樹とした。この時に「アカシア」と呼ばれたために、現在でも「アカシア」の名が定着している。札幌のアカシア並木や、童謡「この道」のあかしやの花、歌謡曲「アカシアの雨がやむとき」は全て、このニセアカシアである。
ニセアカシアは痩せた土地でもよく育つため、当初は治山などに活用されたが、現在ではマツ林などを侵食する日本の侵略的外来種ワースト100に選ばれている。
ミモザ(アカシア)が3月から4月に黄色い花をつけるのに対し、ニセアカシアは4月から6月頃に白い花をつける。その蜜は「アカシアの蜂蜜」として上質な蜂蜜になり、花を酒につけ込めばアカシア酒となる。
ナス科ナス属ジャガイモはアンデス山脈原産で、日本には1598年にオランダ人によって持ち込まれたとされる。ジャガタラ(ジャカルタ)を経由して長崎へ伝来したため、ジャガタライモとされたが、ジャガイモと呼ばれるようになった。形が馬鈴に似ることからバレイショとも呼ばれる。ただし中国で「馬鈴薯」は、マメ科のホドイモを指す。
江戸時代後期には、飢饉対策として北海道や東北地方に持ち込まれ、現在でも北海道が全国の収穫量の8割を占める。
ジャガイモには春植えされる品種と秋植えされる品種があり、「馬鈴薯の花」として夏の季語になるジャガイモは春植えのもので、「男爵」や「メークイン」がそれに当たる。6月から7月頃に男爵は淡紫の花、メークインは紫や白い斑入の花を咲かせる。
ジャガイモは、地下茎を芋として収穫するため、栄養を花に取られないようにするために花を摘み取ることがある。ただし、受粉能力が低く、実をつけることが稀であるため、通常は花を咲かせる。
マリーアントワネットは、ジャガイモ栽培を推奨するためにジャガイモの花を好んで身につけたという。
馬鈴薯の花の日数の旅了る 石田波郷
石楠の花(しゃくなげのはな)
ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属無鱗片シャクナゲ節の総称で、日本ではアズマシャクナゲやツクシシャクナゲなどが自生し、4月から5月頃に花が咲く。
石楠花を大まかに分類すると、日本石楠花と西洋石楠花がある。日本石楠花は葉の裏に細かい毛があり、山奥で咲くために幻の花とも見なされてきた。西洋石楠花は、19世紀にイギリス人がヒマラヤから持ち帰って普及させたもの。近代になって日本にも西洋石楠花が入ってくると、街中で園芸種が栽培されるようになった。
初夏の季語に分類されることが多いが、晩春の季語に分類する歳時記もあり、俳諧歳時記栞草(1851年)には春之部三月に分類されている。ここでは「しゃくなんげ」と読ませ、「しゃくなぎとも云う」とある。本草書からの引用で、「石間の陽に向の処に生ず。故に石南と名づく」とある。
石楠花の紅ほのかなる微雨の中 飯田蛇笏
ムクロジ科トチノキ属トチノキは、日本原産の落葉高木。北海道から九州に分布し、5月から6月頃に、小さな花が集合して円錐形になる。これが「栃の花」である。
トチノキは両性花と雄花をつけ、大半の花は雄花である。栃の実のなる両性花は、花序の下部につく。その蜜はミツバチを誘引し、栃の花から作られた蜂蜜は濃厚な風味を持つ「トチ蜜」となり、高級品である。
「とち」の語源は「十千(とち)」であるとの説がある。たくさんの実がなることを表しているとされる。因みに「栃」は国字で、「杤」とも書く。「十」に「千」を掛けると「万」になるところから、それに木偏を添えて作られたとの説もある。中国では「橡」と書く。
橡の花きつと最後の夕日さす 飯島晴子
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マメ科エニシダ属エニシダは、地中海沿岸が原産の常緑性低木。5月頃に、樹を覆うように黄色い花が咲く。エニシダ属の別品種に、白い花を咲かせるシロバナエニシダや、黄色い花びらに紅色のぼかしが入るホオベニエニシダなどもある。
金雀枝は、江戸時代の1670年頃に渡来したと考えられている。オランダで「エニスタ」と呼ばれることから、「えにしだ」になったと言われている。
元々は「金雀花」の漢字が当てられていた。中国では、「金雀花」と書いて同じマメ科のムレスズメを表すために、「金雀枝」を用いるようになった。
聖母マリアがイエス・キリストを抱いてヘロデ王から逃げる時、金雀枝は莢を鳴らして居場所を教えようとしたため罰を受け、枝を束ねて箒にされたという。魔女の箒も金雀枝製だという。
えにしだの夕べは白き別れかな 臼田亞浪