三冬の季語 鳰
におどり
カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属カイツブリは、小型の水鳥。本州中部以南では留鳥、本州北部や北海道では夏鳥である。池や沼などによく見られ、潜水して魚や昆虫などを捕食する。
芭蕉の時代には季節を定めない「雑」の扱いであったが、冬の季語となる「水鳥」に倣って、鳰も冬の季語となる。冬の季語になった理由として、鳴き声が寒げだというものがある。
語源には諸説あるが、水を掻いて潜る時「ツブリ」と水音をたてるとして「かきつぶり」になり、「かいつぶり」に転訛したとの説がある。
古くから親しまれてきた鳥であり、むかし琵琶湖は「鳰の海(におのうみ)」と呼ばれていた。古事記の神功皇后条にある忍熊の王の反乱の話には、琵琶湖における鳰の歌がある。忍熊の王の最後は琵琶湖に入水して果てるのだが、その時に
いざ吾君 振熊が痛手負はずは 鳰鳥の淡海の海に 潜きせなわ
と歌う。鳰鳥は、淡海の海(琵琶湖)の枕詞となる。
万葉集にも鳰鳥(におどり)は8首歌われ、坂上郎女は
鳰鳥の潜く池水こころあらば 君に吾が恋ふる心示さね
と歌っている。「鳰鳥の」は「潜く(かづく)」の枕詞になっている。その他「葛飾(かづしか・かつしか)」「息長(おきなが)」にも掛かる。

防寒用に綿を厚く入れた広袖の着物のこと。襦袢のことを「ててら」と呼んでいたのが「どてら」に転訛したものとも言われる。
掛売りの代金を請求することで、請求する人のことも指す。俳諧歳時記栞草(1851年)には貞享式(1736年)の引用で「掛乞を冬とさだめたれど、今の例によらば秋のかたにもつれぬべし」とある。取立ては暮と盆に行われていた。盆の取立ては「盆の掛乞」として秋の季語になる。
「煤払い」とは、新年を迎えるための歳末の大掃除のことで、江戸時代には「正月事始め」として12月13日に行われることが習わしであった。この日は何をするにも縁起が良いとされ、通常は12月28日までに大掃除を終わらせた。現代では大掃除の負担も昔ほどは大きくなく、年末に短期間で済ませることが多くなったが、「9(苦)」がつく29日や神様を迎える日である31日は避けなければならない。また、1月1日に掃除をすると、福が逃げていくと言われている。
防寒のために、獣の皮で作った衣のこと。現代では、「毛皮」といえば高級衣類のイメージがあるが、本来は「裘」に仕立てられる毛のついた獣皮のことである。
1年の最後の日のことで、新暦では12月31日のこと。元は、旧暦の各月の最終日となる三十日を「みそか」と呼び、一年の最後の三十日という意味で「おおみそか」とした。
その年のうちという意味で、
和紙で作った衣類のことで、軽くて保温性に優れる。糊を用いて和紙をつなぎ、耐水性と耐久性を持たせるために柿渋を塗る。乾燥後に、手揉みして柔らかくしたものを着用する。
「綿入」とは、表地と裏地との間に綿が入った防寒用の着物のこと。布地が絹であれば「小袖」、麻や綿であれば「布子」という。