季語|襟巻(えりまき)

三冬の季語 襟巻

マフラー(まふらー)ショール(しょーる)

襟巻の俳句と季語防寒を主目的とする服飾品。江戸時代には首巻と呼び、隠居や病人が使用するものだった。素材には、ウール・絹・ナイロンなどがあり、大きさや形などによって、マフラー・ショール・ストール・スカーフ・ネッカチーフなどと呼び分ける。この内、季語として認知されているのはマフラーとショールで、共に冬の季語である。
マフラーの語源は、ラテン語で包み込むことを意味する「maffle」である。ショールの語源は、ペルシャ語で大きな布を意味する「shāl」で、折ったりなどして三角形にしたものを肩に羽織る。

【襟巻の俳句】

襟巻を別れてよりは二重にす  福井隆子

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季語|蕪(かぶ・かぶら)

三冬の季語 

赤蕪(あかかぶ)

蕪の俳句と季語アブラナ科アブラナ属の根菜類の一つ。蕪菜・鈴菜・豊菜・大頭菜などとも呼ぶ。鈴菜として、春の七草のひとつとなっている。淡色野菜に分類される根(胚軸)や、緑黄色野菜に分類される茎や葉を食用にする。
原産は地中海地方で、アジア系とヨーロッパ系の二変種が存在する。京野菜など西日本を中心に栽培されるものは中国伝来のアジア系で、東日本にはシベリア経由のヨーロッパ系が在来種として存在する。関ケ原付近で二分されるため、それを専門家は「かぶらライン」と呼ぶ。
日本では約80品種が生産され、白菜・チンゲンサイ・小松菜なども蕪の仲間になる。冷涼な気候を好み、野菜としては10月から12月と、3月から5月の2回旬がある。

日本へは弥生時代に中国からもたらされたとの説があり、「古事記」に「吉備の菘菜(あおな)」として登場する。また、万葉集にも長忌寸意思吉麻呂の歌で

食薦敷き青菜煮持来む梁に 行縢懸けて息むこの君

がある。俳諧歳時記栞草(1851年)には冬之部兼三冬物に分類され、「蕪菁(かぶら)」として掲載されている。
語源は、丸く育った根の部分を頭に見立てて、頭を意味する「かぶり」と呼んだところから「かぶら」と呼ばれるようになり、「かぶ」に転訛したとの説が有力。

【蕪の俳句】

おく霜の一味付けし蕪かな  小林一茶

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季語|寒牡丹(かんぼたん)

三冬の季語 寒牡丹

冬牡丹(ふゆぼたん)

寒牡丹の季語と俳句(いま姿 寒牡丹)牡丹」は夏の季語であるが、冬に開花するものがあり、それを「寒牡丹」「冬牡丹」という。ただし、寒牡丹と冬牡丹の間には違いがある。
つまり、「寒牡丹」とは、初冬と早春に咲く二季咲きの品種の牡丹が冬に花をつけたものを言う。「冬牡丹」とは、夏季に咲く品種の開花を温度調整で抑制して、冬に開花させるものを言う。見た目には、「寒牡丹」には葉がほとんどないのに対し、「冬牡丹」は葉をつけるといった違いがある。また、「冬牡丹」は寒さに弱いため「わらぼっち」と呼ばれる藁囲いをつけるのに対し、「寒牡丹」はわらぼっちがなくても育つ。

俳諧歳時記栞草(1851年)には「冬牡丹」のみ冬之部十月に立項されており、「大和本草」の引用で「冬牡丹、八月より葉出て十月より花さく。臘寒の時も花あり。凡、如此なるは、人功を以て天地造化の力をぬすみてこれを成。怪むべし」とある。

【寒牡丹の俳句】

狂はねば恋とは言はず寒牡丹  西嶋あさ子

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季語|鱈(たら)

三冬の季語 

子持鱈(こもちだら)鱈場(たらば)

鱈の俳句と季語タラ目タラ科のマダラ・スケトウダラ・コマイなどを指し、特に「鱈」といった場合にはマダラを指すことが多い。マダラはホンダラとも呼ばれ、北太平洋に広く分布し、山口県以北の日本海や茨城県以北の太平洋岸で獲れる。腹がふくれて、全長は120cmに達する。
夏場は大陸棚の深部に生息しているが、12月から2月頃には産卵のために沿岸に寄ってくる。それを底びき網などで水揚げするが、その漁場は「鱈場」と呼ばれる。ちなみに「鱈場蟹」は、鱈の漁場で獲れる蟹の意である。

古くから日本人には馴染みのある食材で、縄文時代の遺跡からも骨が出土している。
冬の季語ともなるように、旬は冬で、その白身の癖のない味は、鍋料理の定番であるほか、ムニエルやフライなどにしても美味い。白子や、卵巣の「真子(まこ)」も美味であるが、鮮度の問題で刺身にされることは少ない。また、身を干物にした「棒鱈」も俳句によく詠まれている。近年では胃を唐辛子などに漬け込んだ韓国料理のチャンジャも人気である。

「鱈」の漢字は、雪のような身の白さを表したもので、国字である。「たら」の語源は体表の「斑(まだら)」にあるという説が有力。俳諧歳時記栞草(1851年)には「俗名、大口魚」とある。

【鱈の俳句】

船去って鱈場の雨の粗く降る  寺山修司

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季語|狐火(きつねび)

三冬の季語 狐火

狐火の俳句と季語「狐火」とは、火の気のないところに現れる怪火をいう。「鬼火」と同じものと捉えられがちであるが、「鬼火」は信仰に基づいて語られることが多いのに対し、「狐火」は人を惑わすものとして捉えられることが多い。
リン化水素が燃えて発する炎と考えられることがあり、「燐火」と呼ばれる。また、光の異常屈折によって発生するとも説明される。通常は夏場に発生するものであるが、「狐火」が冬の季語となるのは、「狐」が冬の季語となることや、大晦日の夜に関八州の狐が集まり行列をなしたという「王子の狐火」の伝承の影響と見られる。

伝承では、「狐火」とは狐の口から吐き出される松明のような色をした怪火で、一列に並んで現れる。ついたり消えたりする炎で、近付くと消えてしまうという。

【狐火の俳句】

狐火や髑髏に雨のたまる夜に  与謝蕪村
狐火を信じ男を信ぜざる  富安風生

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季語|マスク(ますく)

三冬の季語 マスク

季語と俳句とマスク「マスク」は、「覆うもの」を表す英語「mask」からきている。この「mask」の語源は、仮面などを表すイタリア語「maschera」、あるいは幽霊を表すラテン語「mascus」にあるという説がある。

マスクにも、スポーツなどで使う特殊マスクの他、医療用や産業用、家庭用などがあるが、俳句で「マスク」と言う場合は家庭用を指し、空気中に存在する有害物質を防御する役割と、自らが持つ病原体を他者に移さない役割を期待されている。
また、顔を覆うことで防寒や保湿の役割も果たす。そのために、寒くて感染症が流行りやすい冬の季語として定着したが、現代では花粉症対策として用いる機会が増え、むしろ春の方がマスク人口が多い傾向にある。さらには新型コロナウィルスの蔓延により、年中手放せない必須アイテムともなった。それでも、俳句で「マスク」を用いる場合、「冬」を念頭に置かなければならない。

マスクの歴史を見ると、17世紀にヨーロッパでペストが流行した時、医師は、防御用に鳥のくちばしに似た仮面を着けたと言われている。日本では、明治初期に炭鉱などで粉塵除けに用いられたものが現代のマスクにつながるものであり、1918年のスペイン風邪で、防疫用として注目を集めるようになった。当時のマスクは、金網に布を貼り付けたような構造をしており、炭鉱などで使用されていたものだったために、汚れの目立たない黒が一般的なものであった。1950年にはガーゼマスクが登場し、主役となったが、現在では使い捨ての不織布マスクが多く用いられている。
新型コロナウィルスの流行で、効用やファッション面などがクローズアップされ、様々な進化が継続中である。

【マスクの俳句】

マスクして我と汝でありしかな  高浜虚子

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季語|咳(せき)

三冬の季語 

咳の俳句と季語「咳き(しわぶき)」ともいう。気道に侵入した異物を吐き出す防御反応が「咳」であり、体温が下がって免疫力が低下する冬場には、咳をすることが多くなる。また、乾燥しやすい冬場には、喉の粘液が薄くなり、咳が出やすい。
咳には、インフルエンザや新型コロナなどの病原体によるものや、喘息、アトピーによるものなど、様々な要因がある。また、その要因によって、痰のからまった咳になったり、乾いた咳になったりする。痰のからまった咳は下気道の病気、乾いた咳は上気道の病気を疑う必要がある。

【咳の俳句】

咳の子のなぞなぞあそびきりもなや  中村汀女
咳をしても一人  尾崎放哉

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季語|鰭酒(ひれざけ)

三冬の季語 鰭酒

季語と俳句と鰭酒河豚などの鰭を火で炙って、燗酒の中に入れたもの。琥珀色になり、独特のコクが出て香ばしい。
米の供給不足で三倍増醸清酒(三増酒)が出回った戦時中、その不味さを消すために考案された飲み方である。当時とは比べものにならないくらい美味い日本酒が出回る現在でも、日本酒の人気の飲み方として定着している。

ちなみに河豚の本場の下関では、河豚の刺身を燗酒の中に入れることがあり、これを「身酒」という。これも冬の季語である。

【鰭酒の俳句】

鰭酒や逢へば昔の物語  高浜年尾



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季語|霜柱(しもばしら)

三冬の季語 霜柱

霜柱の俳句と季語地中の水分が毛管現象によって地表で柱状に凍結したものを「霜柱」と呼び、数センチの高さの氷柱になることもある。地中の水が凍ってできたものであり、水蒸気が昇華したとは異なる。
かたい土では発生せず、関東ローム層は霜柱をよく生じることで有名である。耕地によく生じるが、土が持ち上げられて植物が浮き上がる「霜崩れ」の被害につながる。
「新撰和歌六帖」(1243年)に藤原光俊の和歌が載る。

谷ふかみ岩屋にたてる霜柱 たれ冬籠るすみかなるらん

シソ科の植物に「シモバシラ」があるが、秋に花をつける植物で、枯れた茎に霜柱ができることからこの名がついた。

【霜柱の俳句】

霜柱はがねのこゑをはなちけり  石原八束

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季語|炉(ろ)

三冬の季語 

囲炉裏(いろり)炉端(ろばた)

囲炉裏の俳句と季語加熱したり溶融したりする目的でつくられた装置を「炉」と呼び、工業用のものなど大掛かりなものもあるが、俳句では茶道で用いる炉が主に詠まれてきた。また、ひと昔前までは、冬の生活には欠かせなかった囲炉裏も冬の季語として定着している。これは「暖炉」とも呼べるものであるが、暖をとる以外にも煮炊きにも用いるために、区別する傾向がある。

「囲炉裏」は、上方の横木から自在鉤を吊るし、そこにやかん等を掛ける。燃料には炭や薪を用い、火箸で火力調整を行う。
似たようなものに「火鉢」があるが、囲炉裏などは屋内に恒久的に設けられるのに対し、火鉢は移動することができる。

俳諧歳時記栞草(1803年)には「爐」があり、「炭櫃(すみびつ)の略。茶湯にこれを用ふ。只爐と称」とある。

【囲炉裏の俳句】

五つ六つ茶の子にならぶ囲炉裏哉  松尾芭蕉

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