除夜の鐘(じょやのかね) 暮の季語 除夜の鐘 除夜とは除日(古いものを除き去る一年の一番最後の日)の夜のこと。主な寺院では、大晦日の深夜に107回、新年明けてすぐに1回、合わせて108回梵鐘を撞く。その数は、煩悩の数と言われている。 除夜の鐘の起源は宋にあり、日本には鎌倉時代の禅寺に伝来したと考えられている。 行き暮れしものの思ひぞ除夜の鐘 殿村菟絲子
柚子湯(ゆずゆ) 仲冬の季語 柚子湯 冬至湯(とうじゆ) 柚子を砂糖で煮て、熱湯で薄めた飲み物も「柚子湯」と言うが、俳句では主に、冬至に柚子を浮かべた風呂のことを言う。 柚子湯の起源は、江戸時代の銭湯文化にあり、湯治(とうじ)と冬至(とうじ)とを掛け、無病息災であれば融通(ゆうずう)が利くとの語呂合わせからきている。実際に、柚子の薬用効果は古くから知られ、平安時代の「医心方」にも「寿命を延ばす」と記されている。また、柚子湯に入れば風邪を引かないと言われ、血行促進効果が認められることから、その薬用効果は科学的にも実証されている。 白々と女沈める柚湯かな 日野草城
クリスマス(くりすます) 仲冬の季語 クリスマス 聖夜(せいや)・降誕祭(こうたんさい) 12月25日、イエス・キリストの降誕を祝う祭り。西方教会では西暦345年には始まっていた。キリストの誕生日ではなく、冬至と結び付けられた祭りと考えられている。クリスマスは家族とともに過ごし、モミの木のクリスマスツリーの下にプレゼントを置くのが恒例行事となっている。 日本では、1552年に現在の山口市において、イエズス会が行ったのが初めてのクリスマス。以降、禁教令の影響を被っていたが、明治時代の1900年、明治屋のクリスマス商戦から広がっていった。 へろへろとワンタンすするクリスマス 秋元不死男
師走(しわす) 仲冬の季語 師走 極月(ごくげつ)・十二月(じゅうにがつ) 陰暦の師走は晩冬。現在では、新暦の12月も師走と呼ぶ。古くは、暮れの数日のみを「しはす」と言っていたらしい。 語源は、僧が読経に走り回るために「師馳す」にあるとされ、平安時代から支持されてきたが、一年の終わりを指す「年果つ(としはつ)」にあると見る方が正しいか。一年の行事を為し終えたことを「為果つ(しはつ)」と表現したとの説もある。万葉集には、一首だけ「師走」の歌が載るが、これは「十二月」を「しはす」と読む。 十二月には沫雪降ると知らぬかも梅の花咲く含めらずして 紀小鹿郎女 酒ゆえと病を悟る師走哉 宝井其角