晩秋の季語 松茸
キシメジ科キシメジ属キシメジ亜属マツタケ節のキノコの一種で、秋の赤松林などで子実体(キノコ)が見られる。日本では高級食材として利用され、「香り松茸味しめじ」の慣用句でも知られる。マツタケオールによる独特の芳香を持っている。ただし、海外では不快な臭いだとされることが多い。
松茸が採れる山は「松茸山」と呼ばれ、痩せた乾燥気味の赤松林であることが多い。松茸の傘が開き切ってしまえば、味も香りも落ちるため、地表から少し顔を出したタイミングで採取しなければならない。近年では松枯れなどの影響で国産のものは減少しており、韓国や中国産のものなどが多く出回っている。
古くから日本人に親しまれてきた食材であり、万葉集にある
高松のこの峰も狭に笠立てて 満ち盛りたる秋の香のよさ
も、松茸を歌ったものだとされている。
俳諧歳時記栞草(1851年)では秋之部八月に分類され、「山城の北山の産、最も佳也」とある。

朝早く山を越えていく小鳥の群をいう。「軽皇子宿于安騎野時柿本朝臣人麻呂作歌」と題された万葉集にある柿本人麻呂の長歌に「坂鳥の朝越えまして」とあり、「坂鳥の」は「朝越ゆ」に掛かる枕詞となっている。
スズメ目キクイタダキ科キクイタダキ属キクイタダキは、スズメよりも小さな鳥で、頭頂部の黄色い冠羽が菊を思わせることから「菊戴」と呼ばれる。本州中部以北では留鳥として、山地の針葉樹林で繁殖する。秋の季語になるのは、越冬するために暖かい平地や西日本に飛来し、目にする機会が増えるためである。
花見の際に飲む酒を「花見酒」と言うが、特に桜を見ながら飲む酒を言う。「花見酒」の言葉自体は、酒を売って金儲けをしようとして向島に行き、結局酒を飲んだだけで終わってしまったという落語の噺から来ている。
ダツ目サンマ科に属する大衆魚。日本近海から北太平洋に広く分布し、群れをつくって回遊している。日本では、オホーツク海あたりを回遊していたものが、気温の低下とともに南下する。産卵前の秋は、脂が乗って非常に美味で、秋の味覚の代表的存在である。
ニホンウナギは、海で生まれて川を遡上し、5年から12年くらい留まる。そして成熟が進むと、川を下り海に出て、産卵場所であるマリアナ海嶺付近まで移動する。この、産卵のために川を下る鰻のことを「落鰻」といい、「下り鰻」ともいう。これが見られるのは10月下旬ころである。
ブナ科クリ属の栗。自生する柴栗(山栗)に比べ、栽培品種(大栗)の果実は大粒。9月から10月頃に毬が割れ、中の茶色い実が現れる。通常、毬の中には3つの実が入っている。
芭蕉の大きな葉も、寒さで枯れ落ちる前、晩秋になると、風雨でぼろぼろになる。