晩夏の季語 捕虫網
夏の季語に「昆虫採集」があるが、文字数が長くなるために俳句になる事は少なく、副題の「捕虫網」がよく使われる。
ヨーロッパでは、昆虫採集は貴族的な趣味であり、大航海時代には、世界中の生物標本を求める博物学から広がった。その流れから、江戸時代の日本にも博物学が導入されるが、昆虫採集が夏の風物詩となったのは近代に入ってからである。特に、「ファーブル昆虫記」が翻訳された大正期以降、夏休みの自由研究として身近な昆虫を取り上げる子供たちが増え、昆虫採集が盛んになっていく。
昆虫採集の対象として人気なのは、カブトムシ・クワガタ・トンボ・チョウ・セミなどである。これらの昆虫をつかまえるために基本となる採集道具が、捕虫網。けれども、走光性などのそれぞれの昆虫の持つ特性を利用して、独自の採集道具をつくることも昆虫採集の楽しみのひとつである。
捕まえた昆虫は、研究の一環として飼育したり標本にしたりすることが普通であるが、かつては製薬のために採集されるものもあった。むしろ、近代以前の昆虫採集の目的は、生活に利用することであり、食用に蜂の子を採取することもまた「昆虫採集」である。
生活利用の面では、虫の声を聞くために、コオロギやスズムシを採集することが平安時代から行われており、江戸時代には「虫売」という商売もあった。ただ、これらの虫は秋を代表するものであり、「虫売」は秋の季語となっている。昆虫採集とは一線を画するものである。

陸に生息する巻貝(軟体動物門腹足綱)のうち、殻が退化しているものの総称で、殻を持つ種類はカタツムリである。
日本酒の多くは、流通のために火入れして殺菌する。現在の日本酒は、年間を通じて仕込みを行う四季醸造が主流となりつつあるが、寒造りと呼ばれる仕込み方法では、冬場に仕込みを行う。あるいは春造りといって、立春を過ぎた頃に仕込み始めるものがある。そのような日本酒は夏場に火入れを行うが、そのことを「煮酒」と言って夏の季語となった。
東アジア原産で、北海道から九州に自生する、ドクダミ科ドクダミ属の多年草。住宅周辺にもよく群生しており、5月から8月にかけて白色の総苞(花弁ではない)の中に小さな花をつけるため、夏の季語となる。受粉せず単為生殖していると考えられており、白い総苞の役割はよく分かっていない。
ミカン科ミカン属の落葉果樹で、主要な品種である温州みかんは、通常栽培で5月に白色の5弁の花をつける。「純潔」「清純」の花言葉を持つ。
サトイモ科ミズバショウ属の多年草。北海道や本州の冷涼な山間部の湿地に自生する。特に、「夏の思い出」に歌われる尾瀬が有名。
春のおわり頃を指す季語で、春の夕方を指す場合には
草木は芽吹き、小鳥はうたう。春になると、山に生気が満ちて賑やかになる。けれども、靄がかかって、冬場ほど明瞭な影を見せなくなるのも春の山である。
「惜しむ」を持つ季語に暮の「年惜しむ」、秋の「秋惜しむ」があるが、過行く春を惜しむ時には、これらに見られる侘しさよりも、悲しみの方に重点が移る。