季語|百舌鳥(もず)

三秋の季語 百舌鳥

鵙(もず)

百舌鳥の季語と俳句スズメ目モズ科モズ属。日本では通年生息するが、秋季に南下するものがある。様々な鳥の鳴き声を真似ることから、百舌鳥の字が当てられる。秋季には縄張り争いのために、「キー、キー」と鋭い声で鳴く「高鳴き」が街中でも目立つため、秋を代表する鳥のひとつとなっている。
動物食で、捕らえた獲物を木の枝等に突き刺す「鵙のはやにえ」でも知られている。これは、冬の食糧確保との説もあるが定かではない。

古くから親しまれてきた鳥と見られ、国内最大の大仙陵古墳は、別名「百舌鳥耳原中陵」として仁徳天皇陵に当てられている。古事記に、その地名を「毛受(もず)」という。万葉集には、詠み人知らずで2首が載る。

春さればもず(伯勞鳥)の草ぐき見えずとも 我れは見やらむ君があたりをば
秋の野の尾花が末に鳴くもず(百舌鳥)の 声聞きけむか片聞け我妹

俳諧歳時記栞草に、歌林良材集からの引用で「鵙の草茎」つまり速贄のことが載る。それによると、鵙は時鳥の沓ぬいであるが、沓手を返さずに代わりとして置いたものが速贄だという。
絵画では、宮本武蔵の枯木鳴鵙図がよく知られている。また、サトウハチロウ作詞の童謡「ちいさい秋みつけた」にも登場し、日本人にとっては秋から冬にかけて親しまれる鳥となっている。

【百舌鳥の俳句】

鵙の声かんにん袋破れたか  小林一茶

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季語|木瓜の花(ぼけのはな)

晩春の季語 木瓜の花

更紗木瓜(さらさぼけ)

木瓜の花の俳句と季語バラ科ボケ属の落葉低木。朱紅色の緋木瓜、純白の白木瓜、紅と白とが混じる更紗木瓜などがある。原産地は中国で、日本には平安時代に入ってきたと見られている。木瓜は、「ぼっか」「もっか」とも読む。果実が瓜に似ているところから、木になる瓜の意で「木瓜」となった。花は3月から4月に見られるが、11月頃から花を咲かせる寒木瓜もあり、こちらは冬の季語になる。
「先駆者」という花言葉を持つ。

▶ 関連季語 寒木瓜(冬)

【木瓜の花の俳句】

だまされてをればたのしき木瓜の花  加藤楸邨

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

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季語|鴨(かも)

三冬の季語 

小鴨(こがも)

鴨の俳句と季語カモ目カモ科。雌雄で色が異なり、雌は地味なものが多い。カモ科の鳥の内、カルガモ、オシドリなどは通年見られるのに対し、マガモ、コガモなどほとんどのカモは、冬鳥として渡ってくる。なお、アヒルはマガモを原種とする家禽である。
日本では、古くから食用にされており、各地の貝塚から鴨の骨が発見されている。また、播磨国風土記には、応神天皇の時代に鴨を羹にしたとの記述がある。身近な鳥であった証に、各地に「鴨川」などの地名が存在する。
「鴨」は利用しやすい人を指す言葉でもあり、「鴨が葱を背負ってくる」などの諺も生まれた。
有名な和歌に、謀反の疑いで自害させられる直前に大津皇子が詠んだとされる

百伝ふ磐余の池に鳴く鴨を 今日のみ見てや雲隠りなむ

が万葉集に載る。

【鴨の俳句】

明方や城をとりまく鴨の声  森川許六

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季語|探梅(たんばい)

晩冬の季語 探梅

探梅行(たんばいこう)梅探る(うめさぐる)

探梅の俳句と季語(やまとにしき)山野に早咲きの梅を探しに出ること。春に咲く梅を鑑賞する観梅とは異なり、春の兆しを探求することでもある。

▶ 関連季語 梅(春)

【探梅の俳句】

探梅や遠き昔の汽車に乗り  山口誓子

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季語|裸木(はだかぎ)

三冬の季語 裸木

裸木の俳句と季語枯木に似るが、落葉を終えて生命の火をつなぐ冬場の木のことを言う。バラ科の常緑高木「バクチノキ」もこの名で呼ばれるが、これは、剥げた幹が人肌色で、博打に負けて裸になった様を彷彿とさせるため。

【裸木の俳句】

裸木となりて樹齢を偽らず  早野広太郎

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季語|夏の夜(なつのよ)

三夏の季語 夏の夜

短夜(みじかよ・たんや)みじか夜(みじかよ)

夏の夜の俳句と季語(国立国会図書館オンライン:今様美人)昼間が長くなるにつれて短くなる夏の夜のことを「短夜」とも呼ぶ。暮れは遅くなり、夜明けは早い。万葉集には詠み人知らずで、

霍公鳥来鳴く五月の短夜も ひとりし寝れば明かしかねつも

の相聞歌が載る。

▶ 関連季語 夏

【夏の夜の俳句】

夏の夜のあけ残りけり吾妻橋  正岡子規
短夜や乳ぜり泣く児を須可捨焉乎  竹下しづの女

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季語|新酒(しんしゅ)

晩秋の季語 新酒

今年酒(ことしざけ)

季語の新酒と俳句かつては収穫された新米を使って造った酒を新酒とし、酒造は10月1日を起点としていたため、10月1日は「日本酒の日」となっている。ただ、江戸時代より寒造りが中心となり、新酒は主に冬場のものとなった。現在でも秋の日本酒は人気であるが、そのほとんどは、春にできた日本酒を貯蔵して出す「ひやおろし」である。
なお芋焼酎は、現在でも収穫してすぐに製造にとりかかるため、秋が新酒のシーズンであり、11月1日は「本格焼酎の日」となっている。同じくワインも、秋が新酒のシーズンであり、地方により解禁日が異なる。日本で最も有名なボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は、11月の第3木曜日となっている。

造り酒屋の軒先には、新酒が出来上がったことを知らせるために杉球を吊るすことがあるが、その色合いで酒の熟成具合を知らせるという役割もある。一休和尚は、

極楽は何処の里と思ひしに 杉葉立てたる又六が門

と、一休和尚のいた大徳寺の門前の杉玉を吊るした酒屋にも極楽があると歌っている。
日本人は太古から酒に親しんでいたと見られ、古事記には「ヤマタノオロチ」の項に初出。スサノオが、ヤマタノオロチを退治するために八塩折酒(やしおりのさけ)を用いる。
酒の語源は、神の召物を指す「清けし(さやけし)食(け)」にあると言われる。

【新酒の俳句】

旅人となりにけるより新酒かな  椎本才麿

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季語|木の葉(このは)

三冬の季語 木の葉

木の葉散る(このはちる)

木の葉の俳句と季語季語の「木の葉」は、散ったり散り残ったりしている樹木の葉のことで、冬の季語となる。取るに足らないことも「木の葉」になぞらえて表現する。つれづれ草百五十五段に、「木の葉の落つるも、先づ落ちて芽ぐむにはあらず。下より萌しつわるに耐えずして落つるなり」と、木の葉散ることは春の兆しとの見方がある。
木の葉をもって歌にたとえたと言われる万葉集にも、

奥山の木の葉隠りて行く水の 音聞きしより常忘らえず

など、木の葉を詠んだ歌が掲載されている。

【木の葉の俳句】

夕暮や土とかたればちる木の葉  小林一茶

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季語|除夜の鐘(じょやのかね)

暮の季語 除夜の鐘

除夜の鐘の俳句と季語除夜とは除日(古いものを除き去る一年の一番最後の日)の夜のこと。主な寺院では、大晦日の深夜に107回、新年明けてすぐに1回、合わせて108回梵鐘を撞く。その数は、煩悩の数と言われている。
除夜の鐘の起源は宋にあり、日本には鎌倉時代の禅寺に伝来したと考えられている。

【除夜の鐘の俳句】

行き暮れしものの思ひぞ除夜の鐘  殿村菟絲子

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季語|正月(しょうがつ)

新春の季語 正月

一月(いちがつ)

正月の俳句と季語本来は旧暦1月の別名。現在では、「三が日」または「松の内」という意味で使用することが多い。松の内は小正月の15日や20日までとすることもあるが、通常は7日まで。
室町時代の「塵添壒囊抄」に、秦の始皇帝が降誕した月を「政月」と言い、そこから「正月」になったとする説がある。

【正月の俳句】

正月や宵寝の町を風のこゑ  永井荷風

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