雪 click ⇒ ≪解説≫
うまさうな雪がふうはりふわりかな 小林一茶是がまあつひの栖か雪五尺 小林一茶(七番日記)●さらさらと竹に音あり夜の雪 正岡子規いくたびも雪の深さをたずねけり 正岡子規●杉の雪一町奥に仁王門 正岡子規南天に雪吹きつけて雀鳴く 正岡子規箱根こす人もあるらしけさの雪 松尾芭蕉百八の鐘鳴り止みぬそとは雪 三橋鷹女外套の裏は緋なりき明治の雪 山口青邨降る雪や明治は遠くなりにけり 中村草田男(長子)●わがものとおもへばかろし笠の雪 宝井其角酒のめばいとど寝られぬ夜の雪 松尾芭蕉雪の夜の短波放送より羽音 高野ムツオまだもののかたちに雪の積もりをり 片山由美子長命寺裏の雪の日歩きけり 星野麥丘人雪降るとラジオが告げてゐる酒場 清水哲男雪霏ゝと舷梯のぼる眸ぬれたり 横山白虹動くもの卑しく雪の関ヶ原 鈴木六林男街に雪この純白のいづこより 橋本榮治限りなく降る雪何をもたらすや 西東三鬼落葉松はいつめざめても雪降りをり 加藤楸邨雪の水車ごつとんことりもう止むか 大野林火窓の雪女体にて湯をあふれしむ 桂信子雪まみれにもなる笑つてくれるなら 櫂未知子笛吹いて了る童話よ遠嶺に雪 大嶽青児田や畑や動かぬものに雪つもる 神蔵器雪ながら山本かすむ夕べかな 宗祇白炭ややかぬ昔の雪の枝 神野忠知なんと見ても雪ほど玄き物はなし 斎藤徳元雪の朝二の字二の字の下駄のあと 田捨女雪の日や船頭どのの顔のいろ 宝井其角おもたさの雪はらへともはらへとも 広瀬惟然垣潜る雀ならなく雪の跡 志太野坡山を裂く刀も折れて松の雪 大高子葉すはさらば水より水へゆきの道 志村無倫うき中に馴れて雪間の嫁菜かな 田捨女心から雪うつくしや西の雲 小杉一笑花と見し雪はきのうぞもとの水 越谷吾山秀でるや雪の朝のをとこまつ 川上不白下京や雪つむうへの夜の雨 野沢凡兆雪の日に兎の皮の髭つくれ 松尾芭蕉應々といへどたゝくや雪のかど 向井去来根に残る力や雪の枯尾花 藤野古白犬も猫も雪に沈めりわれらもまた 金子兜太さすらいに雪ふる二日入浴す 金子兜太あかつきかけて雪消す雨のそそぎ居り 野村朱鱗洞雪の日や巨燵の上に眠る猫 正岡子規しんしんと雪降る空に鳶の笛 川端茅舎月の雪あをあを闇を染めにけり 川端茅舎物陰に月の雪あり一とちぎれ 川端茅舎渦巻いて芒は雪を被り居り 川端茅舎誰か来るみつしみつしと雪の門 川端茅舎雪模様卒都婆の垣をかためけり 川端茅舎魚くふて口なまぐさし昼の雪 夏目成美雪ふるよ障子の穴を見てあれば 正岡子規雪の家に寝て居ると思うばかりにて 正岡子規障子明けよ上野の雪を一目見ん 正岡子規降る雪に胸飾られて捕へらる 秋元不死男(瘤)捕へられ傘もささずよ眼に入る雪 秋元不死男(瘤)片富士の片そぎや雪の峰つゞき 河東碧梧桐(三千里)山越えて来たり峠は雪なりし 高浜虚子九年母や我孫子も雪となりにけり 石田波郷雪つもる思ひあるなし鶴ヶ城 加藤紫舟雪に波の花やさそうて出雲崎 仙石廬元坊