俳句動物園|有名句になった動物

動物別メニュー 俳句になって躍動するアニマルたち

草田男の犬 一茶の馬 兜太の狼 芭蕉の猿 芭蕉の鹿 蕪村の狸 千代女の猫



『中古』短歌俳句 動物表現辞典—歳時記版
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「初版発行日」2002-10 「著者」大岡 信 (監修) 「出版社」遊子館
【KSC】

犬の俳句|壮行や深雪に犬のみ腰をおとし

俳句動物園の俳句と季語「犬」の文字は、俳諧の時代を切り開いた「犬筑波集」に使われており、俳句とも関係が深い。ただ、ここにおける「犬」は、「筑波の道」と呼ばれた連歌に対する卑称で用いられている。
掲句は、1940年の中村草田男の俳句。戦後に「草田男の犬論争」を巻き起こした。赤城さかえは、戦下の熱狂にも冷静を保っている犬を思い描き、戦争批判の俳句と捉えたが、逆に戦争賛美だと捉える声もあがった。

馬の俳句|すずめの子そこのけそこのけお馬が通る

俳句動物園の俳句と季語1819年2月(旧暦)の小林一茶の句。一茶の句には様々な動物が登場するが、そんな動物句の中でも特に有名な、一茶を代表する句でもある。狂言「対馬祭」の「馬場のけ馬場のけ~御馬が参る御馬が参る」に依る文言で、大名の馬だと解釈される。一茶の時代、「何処の馬の骨」などと罵ってはならない高貴な地位にあった…

⇒ 一茶が見た馬は敵か味方か

狼の俳句|おおかみに蛍が一つ付いていた

俳句動物園の俳句と季語日本では明治時代の初めに絶滅したと考えられている狼であるが、大正生まれの金子兜太は、掲句をはじめ多くの狼の俳句を詠んでいる。兜太は、狼を神として崇める秩父の出身であり、見えずとも、常に狼とともに生きていたのだろう。誰にでもイメージできるストレートな俳句であるが、それだからこそその意味を知ろうと引き込まれてしまう俳句である。因みに「」は冬の季語であるが、ここでは「」が季語となり、夏の俳句である。

猿の俳句|初時雨猿も小蓑を欲しげなり

俳句動物園の俳句と季語俳聖松尾芭蕉の最高傑作のひとつとも言われる有名句。1689年9月(旧暦)の冬を迎える時候に、故郷の伊賀の山中で詠まれた。俳諧集「猿蓑」(1691年)の冒頭を飾り、そのタイトルともなった句である。1684年の「旅人と我名よばれん初しぐれ」では「旅人」だったが、7年経って小蓑の調達にも苦労する「猿」になっている。大江匡房の「うちかづく笠取山の時雨には 袂ぞ濡るる人なとがめそ」を念頭においても面白い。

鹿の俳句|びいと啼く尻声悲し夜の鹿

俳句動物園の俳句と季語1694年9月8日(旧暦)に松尾芭蕉が奈良で詠んだ句。9月10日に体調を崩し、ひと月後に芭蕉は亡くなっている。この句が掲載される「笈日記」には、芭蕉らしい侘の世界が展開されており、「ビーとあとを引く声で恋に鳴く夜の鹿は、あわれで悲しい」というような意味で捉えられている。

⇒ 死のひと月前に詠まれた芭蕉句の面白さ

狸の俳句|戸を叩く狸と秋を惜しみけり

俳句動物園の俳句と季語与謝蕪村の狸の句。松尾芭蕉の「行く春を近江の人と惜しみける」に題材を得ている。戸を叩く狸は「風」のことだと一般には解釈されるが、人の姿に化けた大酒飲みに違いない。これから、騙し合いながらの酒宴が始まると見た。芭蕉の「行く春」には動く句論争がつきものだが、この句には必要ない。「行く秋」は、酒とともに惜しむに限る。因みに「狸」は現在では冬の季語に分類されるが、この句は「秋惜む」で晩秋の句である。

猫の俳句|声たてぬ時が別れぞ猫の恋

俳句動物園の俳句と季語江戸時代の有名な俳人で、振り向く者を落馬させるほどの絶世の美女だったと言われる加賀千代女の句。
現代俳句では、「猫」の季語は動物の中で圧倒的な人気を誇る。大きく分けて「竈猫」「恋猫」「子猫」に分類されるが、ここに詠まれた「猫の恋」は「恋猫」に属し、春の季語となる。

⇒ (特集)猫の俳句と季語

季語になった動物とその俳句

竈猫(関連季語:炬燵猫) 冬の季語

何もかも知ってをるなり竈猫 富安風生
竃猫父はごろごろ寝て暮らす 熊澤さとし
薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫 松本たかし

恋猫(関連季語:うかれ猫 孕猫 猫の妻) 春の季語

猫の恋人のきげんをとりながら 小林一茶
おそろしや石垣崩す猫の恋 正岡子規
猫の恋屋根より落ちて終りけり 大澤修一

子猫(関連季語:猫の産 親猫) 春の季語

泣き虫の子猫を親にもどしけり 久保より江
猫の子の名なしがさきにもらはれし 久保より江
すでに名の付きし子猫をもらひ来し 片山由美子

 冬の季語

狼の糞見て寒し白根越 正岡子規
狼を龍神と呼ぶ山河かな 金子兜太
狼になりたき一夜ありにけり 原田達夫

猟犬 冬の季語

猟犬は眠り主は酒を酌む 高野素十
猟犬を妬み番犬よく吠ゆる 阿波野青畝
助手席に猟犬おのれにて座る 平畑静塔

鹿(関連季語:しし 紅葉鳥 小鹿) 秋の季語

がりがりとこする音して鹿のゐる 岸本尚毅
鹿なりといふふたこゑを皆聞きぬ 瀧春一
そつぽ向く鹿とカメラに収まりぬ 三村純也

鹿の子(関連季語:子鹿) 夏の季語

うれし気に回廊はしる鹿の子かな 釈蝶夢
大仏の扉をのぞく鹿の子哉 正岡子規
磨崖仏をば舐めまはる鹿の子かな 阿波野青畝

猪(関連季語:瓜坊) 秋の季語

猪のねに行くかたや明の月 向井去来
立つてもの思ひてをれば猪よぎる 岡井省二
らしくともらしくなしとも猪の跡 飯島晴子

 冬の季語

戸を叩く音は狸か薬喰 正岡子規
六道の飢餓こそ辛し山狸 丸山海道
寒月に腹鼓うつ狸哉 寺田寅彦

 冬の季語

あたたかき雪がふるふる兎の目 上田五千石
落日に兎は赤く眼を腫らし 伊丹三樹彦
うさぎうさぎ下校時間となりにけり 関口眞佐子

熊(関連季語:白熊 黒熊 赤熊) 冬の季語

熊の前大きな父でありたしよ 横溝養三
穴に入る熊になりたく思ひをり 高木晴子
白熊が食パンを喰ふ食事時 瀧井孝作

 冬の季語

春駒 春の季語

仔馬 春の季語




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