晩夏の季語 百日草
キク科ヒャクニチソウ属ヒャクニチソウは、メキシコ原産の一年草で、日本へは1862年頃に一重咲きのものが渡来し、その後アメリカから八重咲などの園芸種が持ち込まれ、花壇などによく植えられている。白・赤・紫・黄色など、様々な色の花を5月から10月頃に咲かせる。
開花期間が長いことから「百日草」と名付けられた。また、花の寿命が長いことから浦島草とも呼ばれる。一つの花は二週間ほど咲き続けるため、長期間楽しむことができる。別名のジニアは、ドイツの植物学者の名に因んで植物分類学を確立したリンネが名付けた。
両性である筒状花を囲むように、花びらに見える雌花が咲く。原種は、黄色い筒状花を囲むように赤紫の一重の花を咲かせる目立たないものだとされる。現在では「ダリア咲き」「ポンポン咲き」などの品種も人気となっている。
高温乾燥に強いことから、盆を中心とした仏前花として広まった。
【百日草の俳句】
蝶歩く百日草の花の上 高野素十
これよりの百日草の花一つ 松本たかし

畳表やゴザなどにするイグサ科イグサ属イグサは、「藺(い)」で三夏の季語となるが、その花は5月から9月頃に咲き、仲夏の季語となる。インド原産で、日本全国の湿地などに自生する。中世より水田で栽培されてきたものは栽培用の品種でコヒゲと呼ばれ、野生種よりも花が小さい。
アメリカ原産の、ウリ科カボチャ属に属する果菜の総称「南瓜」。中でも日本人に最も親しまれているのは、「栗かぼちゃ」とも呼ばれるセイヨウカボチャ。ニホンカボチャという種もあり、これは戦国時代に渡来した。
アヤメ科グラジオラス属の植物の総称で、原産地は地中海沿岸や熱帯アフリカなど。春植え球根の代表で、6月から8月頃、赤・白・紫・黄色など、色鮮やかな花をつける。長い穂先の片側だけに花を並べたように咲かせるものが多い。
ヒルガオ科ヒルガオ属の多年草で、浜辺に生えるため、蔓はあるが匍匐性である。仲夏の季語となる「
ベンケイソウ科キリンソウ属キリンソウは、日本を含む東アジア原産の多年草。岩場や乾燥しやすい草原に生える多肉質の植物で、5月から8月頃に多数の黄色い花を咲かせる。
ムクロジ科トチノキ属トチノキは、日本原産の落葉高木。北海道から九州に分布し、5月から6月頃に、小さな花が集合して円錐形になる。これが「栃の花」である。
マメ科エニシダ属エニシダは、地中海沿岸が原産の常緑性低木。5月頃に、樹を覆うように黄色い花が咲く。エニシダ属の別品種に、白い花を咲かせるシロバナエニシダや、黄色い花びらに紅色のぼかしが入るホオベニエニシダなどもある。
ラン科シラン属シランは、日本・台湾・中国原産で、4月から6月頃に花を咲かせる多年草。本州から沖縄の草原などに自生するが、野生のものは準絶滅危惧種である。
モクレン科モクレン属ホオノキは、南千島から九州の山間部に自生する落葉高木で、日本固有種とも言われている。5月から6月頃に、日本に自生する樹木の中では最大級となる、芳香のある花をつける。