季語|雪見酒(ゆきみざけ)

晩冬の季語 雪見酒

雪見酒の俳句と季語雪を見ながら酒を飲むこと。「雪見の宴」は古くから日本にある風習で、「十訓抄」(1252年)には、白河院の雪見に「雪見酒」の記述が見られる。
雪を愛でながら盃を傾けるというのは、燗ができる日本酒ならではの特殊な楽しみ方で、昨今では、湯につかりながら雪見酒ができるということを売りにしている温泉旅館もある。

【雪見酒の俳句】

雪見酒一とくちふくむほがひかな  飯田蛇笏

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|寒造(かんづくり)

晩冬の季語 寒造

寒造の俳句と季語「寒造」とは、12月から2月頃に造られる日本酒の仕込み方法である。現在では、一年を通じて日本酒を醸造する「四季醸造」に相対する言葉として用いられることがある。
かつての酒は四季それぞれに造られ、冬場につくられるものを「寒酒」といった。貯蔵方法が改善され、日持ちする酒が造られ始める中で、1667年に伊丹で、「寒造り」が確立された。1673年には、酒の腐敗による米の無駄遣いなどを防止するために、幕府によって「寒造り令」が発令されて、酒造りは冬場に行われるものとなった。これは、農閑期を利用した杜氏集団が形成されることにつながったとも言われている。

【寒造の俳句】

奥深きその情けこそ寒づくり  西山宗因
並蔵はひびきの灘や寒作り  宝井其角

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|霜柱(しもばしら)

三冬の季語 霜柱

霜柱の俳句と季語地中の水分が毛管現象によって地表で柱状に凍結したものを「霜柱」と呼び、数センチの高さの氷柱になることもある。地中の水が凍ってできたものであり、水蒸気が昇華したとは異なる。
かたい土では発生せず、関東ローム層は霜柱をよく生じることで有名である。耕地によく生じるが、土が持ち上げられて植物が浮き上がる「霜崩れ」の被害につながる。
「新撰和歌六帖」(1243年)に藤原光俊の和歌が載る。

谷ふかみ岩屋にたてる霜柱 たれ冬籠るすみかなるらん

シソ科の植物に「シモバシラ」があるが、秋に花をつける植物で、枯れた茎に霜柱ができることからこの名がついた。

【霜柱の俳句】

霜柱はがねのこゑをはなちけり  石原八束

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|風花(かざはな)

晩冬の季語 風花

風花の俳句と季語晴天時に輝きながら降る雪をいう。また、降り積もった雪が風によって吹き飛ばされて輝く様を指すこともある。
ちなみに「雪」は「六花(りっか・ろっか)」ともいう。「風花」は、1802年の「新季寄」に立項されているが、好んで詠まれるようになったのは近代に入ってからである。

1947年に中村汀女によって創刊された俳句雑誌に「風花」があるが、2017年に「今日の花」に継承された。

【風花の俳句】

風花やかなしびふるき山の形  石橋秀野

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|炉(ろ)

三冬の季語 

囲炉裏(いろり)炉端(ろばた)

囲炉裏の俳句と季語加熱したり溶融したりする目的でつくられた装置を「炉」と呼び、工業用のものなど大掛かりなものもあるが、俳句では茶道で用いる炉が主に詠まれてきた。また、ひと昔前までは、冬の生活には欠かせなかった囲炉裏も冬の季語として定着している。これは「暖炉」とも呼べるものであるが、暖をとる以外にも煮炊きにも用いるために、区別する傾向がある。

「囲炉裏」は、上方の横木から自在鉤を吊るし、そこにやかん等を掛ける。燃料には炭や薪を用い、火箸で火力調整を行う。
似たようなものに「火鉢」があるが、囲炉裏などは屋内に恒久的に設けられるのに対し、火鉢は移動することができる。

俳諧歳時記栞草(1803年)には「爐」があり、「炭櫃(すみびつ)の略。茶湯にこれを用ふ。只爐と称」とある。

【囲炉裏の俳句】

五つ六つ茶の子にならぶ囲炉裏哉  松尾芭蕉

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|南瓜(かぼちゃ・なんきん・なんか)

仲秋の季語 南瓜

南瓜の季語と俳句ウリ科カボチャ属の蔓性の一年草で、栽培品種は大きく分けてニホンカボチャ・セイヨウカボチャ・ペポカボチャの3系統がある。
原産はアメリカ大陸で、ニホンカボチャは、大航海時代に広まり東南アジアで栽培されていたものが、戦国時代にポルトガル船によって九州に伝播したものである。カンボジアから持ち込まれ、豊後国の大友宗麟に献上されたとされる。
ニホンカボチャは、溝が入った形状から「菊南瓜」とも呼ばれる。有名な品種に、瓢箪型をした京都特産の鹿ケ谷南瓜がある。春に播種し、秋に収穫する。
ちなみにセイヨウカボチャは、幕末の1863年にアメリカから伝わり、冷涼な北海道などに広まった。

「かぼちゃ」の語源は、伝来した「カンボジア」にあり、「南瓜」には、南蛮渡来の瓜の意がある。「なんきん」は、伝来において寄港地となった「南京」に由来する。
「唐茄子」と呼ばれることもあるが、「羇旅漫録」(曲亭馬琴1803年)には「とうなすといふもの箱根より西になし」とあり、かつては関東で栽培されていた一品種だったと考えられている。

冬の季語に「冬至南瓜」があるが、明治時代ころからの風習で、風邪をひかないように冬至に栄養価豊富な南瓜を食べるというものである。
ハロウィンには南瓜が活躍するが、本来は、魔よけの力を持つとされる蕪が用いられていたとされる。しかし、アメリカに伝来すると、入手しやすい南瓜が用いられるようになったという。
慣用句の「南瓜に目鼻」は、丸顔で太った背の低い人を指す。同じような不器量を表す言葉に、「南瓜頭」がある。

【南瓜の俳句】

鶺鴒がたたいて見たる南瓜かな  小林一茶

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|草の実(くさのみ)

三秋の季語 草の実

草の実の俳句と季語木にならない植物を「草」とか「草本」などと呼ぶが、日本に見られるものだけで6000種近くになる。俳句の世界では「草」と言えば山野草、人里植物、耕地雑草を指すが、これらを合わせると5000種になる。よって、実を結ぶ季節は秋に限られたものではないが、秋に実る植物は多い。「俳諧歳時記栞草」(1851年)にも、「諸草のたぐひ、春夏に花を開く者あれど、秋多き故、無名の草花を秋とす。実もまた然り」とある。

▶ 関連季語 秋草(秋)

【草の実の俳句】

いち早く枯れる草なれば実を結ぶ  野村朱鱗洞

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|小鳥(ことり)

仲秋の季語 小鳥

小鳥の俳句と季語渡って来る鳥も含めて、秋に見られる小型の鳥。「小鳥」の定義は難しいが、概ね手の平サイズの鳥で、水鳥は含まないことが多い。秋に渡ってくる小鳥としては、アトリ、ジョウビタキ、ヒワなどがある。

「小鳥」が秋の季語となったのは、「渡り鳥」の派生季語である「小鳥来る」に由来し、本来は「渡ってくる色々な小鳥」の意で「色鳥」と呼ぶ。かつては、山頂などに網を張ってこれらを捕獲したが、その時に使用する網を「小鳥網」と呼び、秋の風物詩であった。
また、秋に相撲人を召すことを「ことり使」と呼んだが、「小鳥」が秋の季語に昇格したのは、この古来の行事の影響もあったかもしれない。ただ、「小鳥」が秋の季語として定着したのは近年のことである。

【小鳥の俳句】

小鳥来て午後の紅茶のほしきころ  富安風生

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|すだち

晩秋の季語 すだち

糸瓜の季語と俳句漢字では「酢橘」と書き、代表的な「酢みかん」として、酢の代りに使用される「香酸柑橘類」に分類される。
原木は、徳島県鳴門市にあったとされ、現在でも徳島名産で、ほぼ100%を徳島県内で生産している。文献上は「大和本草」(1706年)に「リマン」として初出するが、太古からあったとの説もある。
徳島県では、「すだちくん」というイメージキャラクターを使って、全国にアピールしている。

実がなるのは8月から10月頃で、青いうちに出荷する。1980年代に全国に広く知られるようになり、現在ではハウス栽培もあり、年中入手することができる。

【すだちの俳句】

すだちしぼる手許や阿波の女なる  京極杞陽

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|柘榴(ざくろ)

仲秋の季語 柘榴

実柘榴(みざくろ)

柘榴の俳句と季語ミソハギ科ザクロ属の落葉小高木にザクロがあり、その実は秋の季語となる。初夏に花をつけ、花柘榴の季語もある。実がなるのは9月から11月頃。
厚く硬い果皮を持つ拳状の果実は、熟すと不規則に裂ける。その裂け目から、多汁性の赤い歯のような形の、種子を含んだ粒が現れる。粒は生食したりジュースにしたりする。また近年では、更年期障害や乳癌に対する効果が期待されるとして、女性に人気となった。

日本には平安時代に中国から渡来し、中国語名の「石榴」の字が当てられ、中国風に「ザクロ」と呼ばれるようになった。原産地と考えられているペルシアのザグロス山脈に語源があるとの説がある。

むかし、子供を食う鬼神がいたが、釈迦は人肉を食べないように約束させて、柘榴の実を与えた。以来、その鬼神は鬼子母神として子育ての神になったとされ、柘榴は人肉の味がすると言われるようになった。
世界的には、豊穣や子宝に恵まれる吉木とされる。

【柘榴の俳句】

深裂けの柘榴一粒だにこぼれず  橋本多佳子

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に