季語|葡萄(ぶどう・えび)

仲秋の季語 葡萄

葡萄園(ぶどうえん)

葡萄の俳句と季語ブドウ科のつる性落葉低木は、8月から10月にかけて実をつける。ペルシアやカフカスを原産とするヨーロッパブドウと、北アメリカを原産とし、狐臭いとも表現されるラブルスカ種があり、大航海時代から交雑がはじまった。また、生食用のテーブルグレープと、酒造用のワイングレープに分ける分類もある。
世界的には、バナナ、柑橘類に次いで生産量が多く、日本では、ウンシュウミカン、リンゴ、ナシ、カキに次いで多い。ワインでも知られる山梨県が、国内生産量トップの地位にある。国内で生産される品種は、巨峰・デラウェア・ピオーネ・キャンベルアーリー・ナイアガラ・マスカットベリーA・スチューベン・甲州など。

葡萄栽培の歴史は古く、世界最古の果物とされる。カスピ海南部では、紀元前3000年には栽培が始まっており、ワインの醸造も行われていたと考えられている。
紀元前2世紀頃にはヨーロッパブドウが中国にも伝播し、日本でも平安時代末期には栽培が始まっていたとされる。1186年には、甲斐国勝沼地方の雨宮勘解由によって甲州ブドウが発見され、栽培された。

「ぶどう」の語源は、ギリシア語の「botrus」にある。中国に伝わり「葡萄」となり、それを音読みして「ぶどう」になったとされる。
日本には、古くからの野生種として山葡萄があり、葡萄葛(えびかづら)・海老蔓(えびづる)と呼ばれていた。その葉の裏が海老柄に見えることが語源とされる。
古事記や日本書紀には既に「蒲子(えびかずら)」として山葡萄が出てくる。黄泉の国の項で、伊邪那岐が逃げ帰る際に、黄泉醜女に黒御縵を投げると蒲子が生り、それを食べている間に逃げたとあるから、既に食用にされていた可能性がある。
また、染色の名に葡萄染(えびぞめ)があり、元は山葡萄の実の色の染め色を言ったが、次第に織物の色、襲(かさね)の色目をも表すようになった。

【葡萄の俳句】

枯れなんとせしをぶだうの盛りかな  与謝蕪村

 インターネット歳時記

季語|金木犀(きんもくせい)

仲秋の季語 金木犀

木犀(もくせい)・銀木犀(ぎんもくせい)

金木犀の俳句と季語モクセイ科モクセイ属の常緑小高木に、金木犀・銀木犀・薄黄木犀などがある。中国原産。単に「木犀」と言った場合には「銀木犀」を指す。
9月から10月頃に、金木犀はオレンジ、銀木犀は白、薄黄木犀は淡いオレンジ色の花を咲かせて、特に金木犀はよく薫る。雌雄異株で、日本で雌株を見ることは、まず無い。
「木犀」の名は「下学集」に見られることから、室町時代には渡来していたと考えられる。金木犀は、江戸時代に雄株が渡来し、挿し木で増やされていった。

サイの足に似た樹皮を持つために「木犀」と言う。中国では「木犀」のことを「桂花」とも言い、日本でも「桂の花」と呼ぶことがある。
1970年代から1990年頃まで、金木犀の香りが芳香剤としてしばしば使用されていたため、トイレを連想する者がある。中国では、金木犀の花を茶に入れて、桂花茶にする。

【金木犀の俳句】

木犀のこぼれ花より湧ける香も  皆吉爽雨

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季語|燕帰る(つばめかえる)

仲秋の季語 燕帰る

帰燕(きえん)燕去る(つばめさる)去ぬ燕(いぬつばめ)秋燕(しゅうえん・あきつばめ)

燕帰るの俳句と季語春に渡ってきた燕は、子作りをした後、9月から10月頃、集団を作って南へ帰っていく。七十二候にも玄鳥去があり、9月の中旬から下旬に当たる。
中には、日本国内で越冬する燕もおり、「越冬ツバメ」などと呼ばれる。

▶ 関連季語 燕(春)

【燕帰るの俳句】

ある朝の帰燕高きを淋しめり  鈴木真砂女
篁に一水まぎる秋燕  角川源義

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季語|コスモス(こすもす)

仲秋の季語 コスモス

秋桜(あきざくら)

コスモスの俳句と季語メキシコ原産、キク科の一年草。メキシコからスペインに渡り、コスモスと名づけられた。日本には明治12年に、イタリアから渡来。コスモスとは、ギリシャ語で秩序ある世界の意味で、宇宙を表す。「秋桜」の表記は、さだまさし作詞作曲の「秋桜」で初めて用いられた。花言葉は「真心」。

【コスモスの俳句】

コスモスの君と言はれし人思ふ  山口青邨

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季語|野分(のわき)

仲秋の季語 野分

颱風(たいふう)台風(たいふう)

野分の俳句と季語東経100°から180°までの北半球に発生する、最大風速17.2m/s以上の強い低気圧を台風という。その中心は「台風の目」と言われるが、下降気流となり、晴れ渡っている。
古くは、風が野の草を吹き分けるところから、野分(のわき、のわけ)と呼んだ。源氏物語二十八帖「野分」には、夕霧の幼い恋が歌われている。

風騒ぎむら雲まがふ夕べにも忘るる間なく忘られぬ君

台風の語源は、台湾や中国福建省の「大風」にあるという説が有力。それがヨーロッパで「typhoon」となり、漢字圏に逆輸入されて「颱風」となったと言われる。

【野分の俳句】

一期はゆめ野分の鳥のただ狂へ  後藤綾子
芭蕉野分して盥に雨を聞く夜かな  松尾芭蕉

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季語|秋彼岸(あきひがん)

仲秋の季語 秋彼岸

後の彼岸(のちのひがん)秋分(しゅうぶん)

秋彼岸の俳句と季語雑節の一つで、春分・秋分を中日とし、前後各3日を合わせた各7日間を彼岸と言い、秋分を中日とするものを秋彼岸、あるいは後の彼岸と呼ぶ。単に「彼岸」ならば、春の彼岸を指す。最初の日を「彼岸の入り」、最後の日を「彼岸明け」と言う。お彼岸にはお墓参りをし、おはぎを先祖に供え感謝し、極楽往生を願う。
真西に太陽が沈む春分・秋分に、遙か西方の極楽浄土に思いをはせたのが彼岸の始まり。大同元年(806年)、日本で初めて彼岸会が行われた。なお彼岸の行事は、インドや中国の仏教にはなく、日本独自のものだとされる。

語源は、サンスクリット語の Pāramitā つまり「波羅蜜」にあるとされ、これを意訳した「至彼岸」が元となっている。迷いや煩悩を川にたとえ、その向こうの涅槃を目指すもの。

【秋彼岸の俳句】

風もなき秋の彼岸の綿帽子  上島鬼貫

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季語|名月(めいげつ)

仲秋の季語 名月

三五の月(さんごのつき)月見(つきみ)今日の月(きょうのつき)・望月(もちづき)・十六夜(いざよい)・既望(きぼう)・良夜(りょうや)無月(むげつ)・雨月(うげつ)・三日月(みかづき)待宵(まつよい)

名月の俳句と季語単に「月」といえば三秋の季語である。「十五夜」に代表される仲秋に見る月は、待宵(14日)、十六夜(16日)、立待月(17日)、居待月(18日)、臥待月(19日)、更待月(20日)と、十五夜の望月を挟んでそれぞれに名前がつく。

月の語源は、太陽の次に明るいことから次(つく)が変化したものだと言われている。なお、古事記で月の神は三貴神に数え上げられ、イザナギの左目から生まれた太陽神アマテラスの次に、右目からツクヨミとして生まれている。
満月のことを望月(もちづき)というが、「みてりつき(満月)」から来ているという説がある。月の模様がウサギに見えることから、中国では不老不死の薬をウサギが搗いているいると言われているが、日本では「もちづき」から「餅つき」と結び付けられた。

【名月の俳句】

名月をとつてくれろと泣く子かな  小林一茶
名月や池をめぐりて夜もすがら  松尾芭蕉

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季語|曼珠沙華(まんじゅしゃげ・まんじゅしゃか)

仲秋の季語 曼珠沙華

彼岸花(ひがんばな)・死人花(しびとばな)・地獄花(じごくばな)・幽霊花(ゆうれいばな)・狐花(きつねばな)曼朱沙華(まんじゅしゃげ)

曼珠沙華の俳句と季語「情熱」の花ことばを持つ。秋の彼岸に開花することから彼岸花とも言い、秋の季語となる。赤い花をつけるが、白いものなどもある。稲作の伝来とともに中国から入ってきたと言われている。古い文献にはほとんど登場しないが、これは、「火事につながる」「摘むと死人が出る」などと言われて、忌避されてきたからだと考えられる。実際、全体に毒を有し、そのまま食すと中枢神経を侵して死に至ることも。しかし、薬として活用されることもあり、毒抜きをすれば救荒食にもなる。

曼珠沙華の語源はサンスクリット語にあり、サンスクリット語では manjusaka と発音し「赤」を指す。

【曼珠沙華の俳句】

なかなか死ねない彼岸花さく  種田山頭火

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季語|初紅葉(はつもみじ)

仲秋の季語 初紅葉

初紅葉の俳句と季語その年、はじめて出現した紅葉。代表は楓。北海道の大雪山では9月頃から始まる。色づき始めると、完全に散るまで1カ月間は紅葉を楽しむことができる。
紅葉するという意の「もみつ」が、平安時代以降濁音化して「もみづ」となり「もみじ」の語源になったと言われている。尚、「もみつ」は染色に関わる言葉で、「揉み出づ」のこと。ベニバナを揉んでで染め上げた絹織物のことを、紅絹(もみ)といった。

【初紅葉の俳句】

山ふさぐこなたおもてや初紅葉  宝井其角

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