仲夏の季語 矢車草
矢車菊(やぐるまぎく)
キク科ヤグルマギク属ヤグルマギクのことを「矢車草」と呼ぶ。しかし、ユキノシタ科ヤグルマソウ属には種としてヤグルマソウがある。
ヤグルマギクは4月から7月頃、ヤグルマソウは6月から7月に開花する。ヤグルマギクは矢車に似た花の形から、ヤグルマソウは葉のつき方が「矢車」に似ることから名がついた。
俳句の世界では、ヤグルマギクの花を「矢車草」として詠むのが一般的で、通常はヤグルマソウを指さない。ただ、近年では明確に区別するために、「矢車菊」として詠むことも増えてきた。
ヤグルマギクはヨーロッパ原産で、元々はコーンフラワーと呼ばれる農地の雑草だったが、園芸用に改良された。
ドイツ皇帝は、ヤグルマギクの花冠を紋章としたため、「皇帝の花」と呼ばれるようになり、ドイツの国花となっている。
学名は「Centaurea cyanus L.」であるが、「Centaurea」はギリシャ神話の怪物ケンタウルスであり、ケンタウルスが傷を負った時、この花を使って治療したという。
原種の花は青紫色であるが、サファイアの色味をこの花に擬えることがある。
【矢車草の俳句】
清貧の閑居矢車草ひらく 日野草城
ヤグルマギク
キク科ヤグルマギク属ヤグルマギク。4月から7月頃に紫・桃・白などの花を咲かせる。ヨーロッパ原産で、明治時代に渡来してきたもの。花壇などに植えられるが、野生化したものも見られる。「矢車」の名は、端午の節句の頃に咲く花の形からきている。
ヤグルマソウ
ユキノシタ科ヤグルマソウ属ヤグルマソウ。6月から7月頃に花を咲かせるが、花弁は無く、白色の萼が花弁のように見える。日本原産で、谷沿いの林床などに群生する。「矢車」の名は、葉の形からきている。

キキョウ科ホタルブクロ属ホタルブクロは、北海道から九州の草原や道端に自生する多年草で、6月から7月頃に紫や白色の花をつける。花は袋状になっており、その中に
畳表やゴザなどにするイグサ科イグサ属イグサは、「藺(い)」で三夏の季語となるが、その花は5月から9月頃に咲き、仲夏の季語となる。インド原産で、日本全国の湿地などに自生する。中世より水田で栽培されてきたものは栽培用の品種でコヒゲと呼ばれ、野生種よりも花が小さい。
アメリカ原産の、ウリ科カボチャ属に属する果菜の総称「南瓜」。中でも日本人に最も親しまれているのは、「栗かぼちゃ」とも呼ばれるセイヨウカボチャ。ニホンカボチャという種もあり、これは戦国時代に渡来した。
ベンケイソウ科キリンソウ属キリンソウは、日本を含む東アジア原産の多年草。岩場や乾燥しやすい草原に生える多肉質の植物で、5月から8月頃に多数の黄色い花を咲かせる。
ヒガンバナ科ヒッペアストラム属の植物の総称。多年草で、冬には枯れて地上部がなくなる。中南米原産で、4月から6月頃、
椎は、ブナ科クリ亜科シイ属の常緑広葉樹の総称で、日本にはスダジイとツブラジイが自生している。マテバシイ属のマテバシイの花も「椎の花」として詠んで差し支えないが、通常、「椎」と言った場合「スダジイ」を指す。
ツツジ目エゴノキ科エゴノキ属エゴノキは日本原産で、全国の雑木林に自生していたり、庭木として植えられていたりする。
アヤメ科アヤメ属シャガ。林縁部などの湿った場所に群生することが多く、4月から5月頃に花をつける。中国原産で、日本へは室町時代以前に渡来してきたと考えられている。種子をつくらないため、野生化しているものも、もとは人為的に持ち込まれたものが地下茎で広がったものである。
センダン科センダン属センダン。ヒマラヤ山麓原産の落葉高木で、伊豆以西に自生する。5月から6月にかけて、芳香のある淡紫色の小さな花を多数つける。