初夏の季語 紫蘭
ラン科シラン属シランは、日本・台湾・中国原産で、4月から6月頃に花を咲かせる多年草。本州から沖縄の草原などに自生するが、野生のものは準絶滅危惧種である。
育てやすい植物で、本種は紫色の花を咲かせるが、白い花を咲かせる「白花紫蘭」、花の先端が赤紫の「口紅紫蘭」などもある。
俳諧歳時記栞草(1851年)には、夏之部四月に「白及(しらん)」「蕙(けい)」が立項されている。これは「紫蘭」と同じものであると見て良いが、黄色や白い花もあると書かれるなど、「紫」は強調されていない。「紫蘭」がシランという種を指すものだとすれば、ここではシラン属をカバーしているようである。
【紫蘭の俳句】
君知るや薬草園に紫蘭あり 高浜虚子

モクレン科モクレン属ホオノキは、南千島から九州の山間部に自生する落葉高木で、日本固有種とも言われている。5月から6月頃に、日本に自生する樹木の中では最大級となる、芳香のある花をつける。
ヤシ目ヤシ科シュロ属の植物の総称が「シュロ」であるが、「棕櫚の花」は、日本各地で見られる「ワジュロ(和棕櫚)」を詠むことが多い。ワジュロは日本原産とも、平安時代に中国から持ち込まれ九州に定着したとも言われ、現在では東北地方でも栽培されている。
モチノキ科モチノキ属モチノキは常緑広葉樹で、4月から5月頃に黄緑色の小花をつける。日本を含む東アジア原産で、本州から南西諸島に分布する。
キク類ツツジ目カキノキ科カキノキ属カキノキ。中国揚子江沿岸原産で、日本では野生種であるヤマガキから果樹として改良されたと考えられている。果実は「
ミソハギ科ザクロ属に分類される植物の花。5月下旬から6月にかけて、オレンジ色の花をつける。秋に結実する硬い実が柘榴の象徴になっているが、6月に花をつける「ハナザクロ」という八重咲きの園芸品種は結実しない。「ザクロ」「ハナザクロ」ともに、その花は「花柘榴」で、夏の季語となる。
モクレン科モクレン属タイサンボク。樹高20メートルに達する常緑高木で、6月から7月頃に、芳香を持つ大きな盃形の白い花をつける。花は3日ほど咲き、褐変していく。
スイカズラ科スイカズラ属の常緑つる性木本スイカズラ。5月から6月頃に花をつけ、夕方に甘い香りを漂わせる。繁殖力が旺盛で、全国の林縁や道端などに生え、庭に植えることもある。英名は、ジャパニーズハニーサックル(Japanese honeysuckle)という。
別名に「白犬」「花の宰相」「花相」「将離」「えびす草」「えびす薬」「かほよ草」など。
ミズキ科ミズキ属の落葉高木で、クルマミズキ(車水木)・ハシノキともいう。早春に枝を切ると、水のように樹液が流れ出てくることから「水木」と呼ばれている。「ハシノキ」と呼ぶのは、祝い箸の材料になったところからくる。