季語|氷柱(つらら)

晩冬の季語 氷柱

垂氷(たるひ)

氷柱の俳句と季語俳諧歳時記栞草」に、佐保介我が「つらゝは、つらつらのつづまり。氷のすべる様を形容している」と言ったとある。根拠として、源氏物語の末摘花の

朝日さす軒のたるひはとけながら などかつららのむすぼゝるらむ

を載せる。古くは「つらら」は「氷」、「たるひ」は「氷柱」を指して、明確に区分されていたと考えられる。

夏の季語にも「氷柱」があるが、これは冷気を得るために立てて置く柱状の氷のことで、「ひょうちゅう」とも読むが、通常「こおりばしら」と読む。

【氷柱の俳句】

氷柱痩す刻のかけらを落しつぎ  渡邊千枝子

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季語|寒鯉(かんごい)

晩冬の季語 寒鯉

凍鯉(いてごい)

寒鯉の俳句と季語鯉は、中央アジア原産。日本の鯉は、史前帰化動物として古くから定着していたと考えられているが、琵琶湖などに棲むノゴイなどは日本列島在来種であるとも言われている。日本書紀景行天皇四年の美濃への御幸の条に、「鯉魚」を使って恋心を成就しようとした話があるが、このことから「鯉」を「コイ」と言うようになったという説もある。同時期に編集された万葉集に「鯉」は出てこない。
鯉の寿命は長く、70年に及ぶことも。国際自然保護連合では、世界の侵略的外来種ワースト100に選定し、生態系を乱し水質を悪化させる生物と見なしている。滝を登った鯉は龍になると言われ、そこから登龍門という言葉が生まれたが、実際には鯉は滝を登らない。冬場の鯉は、水底で動きも緩慢。

寒中の鯉は美味とされ、慶事・祝事の席などでもふるまわれてきた。中国や欧州でも古くから食材として利用されてきた。

【寒鯉の俳句】

寒鯉に力満ちきて動かざる  中嶋秀子

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季語|初冬(はつふゆ・しょとう)

初冬の季語 初冬

初冬の俳句と季語陰暦十月。冬のはじめ。

▶ 関連季語 冬

【初冬の俳句】

初冬のまた声放つ山の鳥  飯田龍太

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季語|蕎麦の花(そばのはな)

初秋の季語 蕎麦の花

花蕎麦(はなそば)

季語中国南部原産のタデ科ソバ属の一年草で、イネ科以外の穀類である。乾燥した冷涼な土地でも栽培が容易で、3カ月ほどで収穫できることから、救荒作物ともなる。播種の時期にもよるが、初秋に小さな白い花をつける。ただし、悪臭を放つ。
日本では、弥生時代以前から焼き畑農法で栽培されていたと考えられているが、万葉集にその名は見られない。また、古事記の須佐の男の命の条の穀物の起源神話においても、稲種、粟、小豆、麦、大豆は表れるものの、蕎麦の記述はない。ただし、これらの時代から栽培は奨励されていたことは伺われ、文化的位置付けが難しい穀物である。「ソバムギ」「クロムギ」と呼ばれていたことから、「麦」と同化したものとも考えられる。
「ソバ」とは、古語で尖ったものを表す。蕎麦の実が尖っていることから、蕎麦自体をも表す言葉となった。

【蕎麦の花の俳句】

蕎麦はまだ花でもてなす山路かな  松尾芭蕉

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季語|夏木立(なつこだち)

三夏の季語 夏木立

夏木(なつき)

夏木立の季語と俳句夏木立は、暑い夏の日ざしを遮る役目も果たす。「俳諧歳時記栞草」には、「新緑おひしげりたるさまを歌にもよむ也」とある。
江戸時代中期に雑俳様式の一つ「笠付(5文字の題に7・5を付けるもの)」を確立したとされる堀内雲鼓に、「夏木立」(1695年)という雑俳書がある。
与謝野晶子の「恋衣」(明治38年)に、

鎌倉や御仏なれど釈迦牟尼は 美男におわす夏木立かな

の歌が収められている。

【夏木立の俳句】

木啄も庵はやぶらず夏木立  松尾芭蕉
日のめぐみうれしからずや夏木立  堀内雲鼓

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季語|朝顔(あさがお)

初秋の季語 朝顔

牽牛花(けんぎゅうか・けんごか・あさがお)

季語(当盛十花撰・牽牛花)ヒルガオ科サツマイモ属の一年性植物。ヒマラヤ原産とも言われるがよく分かっていない。日本へは、奈良時代の遣唐使が、薬として持ち帰ったと言われており、その名が万葉集にも5首出てくる。ただし、万葉集におけるアサガオは、よみびと知らずで知られる

朝顔は朝露負ひて咲くといへ 夕影にこそ咲きまさりけり

に表れるように、夕方にも咲いていたと考えられることから、キキョウまたはムクゲだという説もあり、現代に言う朝顔は、平安時代に中国から渡来してきたとも言われている。

アサガオは「朝貌」とも書き、「朝の容貌」のことで「朝の美人」の意と言われるが、これはかつてのアサガオであるキキョウやムクゲのことを言ったものか。今に言うアサガオは、朝ごとに花を咲かせることをもって「朝顔」とする。
中国ではアサガオのことを「牽牛」と言うが、薬として高価な種を得るために、牛を引くほどの返礼をしたからだと言われている。このようにアサガオの花を「牽牛花」とも呼んでいたことから、アサガオの栽培が流行った江戸時代には織姫を指し、縁起物となった。七夕には、入谷鬼子母神に復活した朝顔市が、多くの人で賑わっている。晩夏から花をつけるが、七夕との縁から秋の季語となる。

上島鬼貫の「独ごと」(1718年)には「朝がほははかなき世のことはりをしらしめ、なさけしらぬ人すら仏にむかふ心をおこせば、しぼめる夕をこそ此花の心とやいはむ」とある。

【朝顔の俳句】

朝顔につるべとられてもらい水  加賀千代女

▶ 秋の季語になった花 見頃と名所

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季語|泡立草(あわだちそう)

三秋の季語 泡立草

背高泡立草(せいたかあわだちそう)・代萩(だいはぎ)

泡立草の俳句と季語キク科アキノキリンソウ属の多年草。日本にむかしから自生していた秋の麒麟草は、セイタカアワダチソウと同属。セイタカアワダチソウは北アメリカ原産で、日本には切り花用の観賞植物として明治時代末期に導入された。代萩とも呼ばれ、萩の代用として切り花や簾に用いる。日本の侵略的外来種ワースト100にもなり、その拡散が問題になっている。アメリカ軍の輸入物資についていた種子から広がったと見られているが、蜜源植物であることから、養蜂業者が全国に広めたとも言われている。
ハーブティーにしたり、若芽をてんぷらにするなどして利用することもある。
ブタクサとよく似ているが、ブタクサはキク科ブタクサ属。かつては花粉症の元凶と見られたこともあるが、セイタカアワダチソウの花粉は飛散しにくい。花粉症の原因となりやすいのは、ブタクサの方。

【泡立草の俳句】

操車場泡立草が押し寄せて  大島民郎

▶ 秋の季語になった花 見頃と名所

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季語|クリスマス(くりすます)

仲冬の季語 クリスマス

聖夜(せいや)降誕祭(こうたんさい)

クリスマスの俳句と季語12月25日、イエス・キリストの降誕を祝う祭り。西方教会では西暦345年には始まっていた。キリストの誕生日ではなく、冬至と結び付けられた祭りと考えられている。クリスマスは家族とともに過ごし、モミの木のクリスマスツリーの下にプレゼントを置くのが恒例行事となっている。
日本では、1552年に現在の山口市において、イエズス会が行ったのが初めてのクリスマス。以降、禁教令の影響を被っていたが、明治時代の1900年、明治屋のクリスマス商戦から広がっていった。

【クリスマスの俳句】

へろへろとワンタンすするクリスマス  秋元不死男

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季語|冬木(ふゆき・ふゆぎ)

三冬の季語 冬木

冬木の俳句と季語常緑樹、落葉樹問わず冬の樹木。冬でも落葉しないときわ木のこともまた「冬木」という。万葉集には、巨勢宿奈麻呂の

我がやどの冬木の上に降る雪を 梅の花かとうち見つるかも

の歌がある。

【冬木の俳句】

大空に伸び傾ける冬木かな  高浜虚子

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季語|水仙(すいせん)

晩冬の季語 水仙

雪中花(せっちゅうか)

水仙の俳句と季語ヒガンバナ科。地中海沿岸が原産で、中国(唐)を経由して渡来したと考えられている。福井の越前海岸をはじめ、水仙の名所が海辺に多いのは、海流に乗って漂着したものが自生したものと考えられる。「水仙」としての初出は、「下学集」(1444年)か。

ギリシャ神話には、自らの容姿に惚れたナルキッソスが、女神ネメシスにより水仙に変えられたという話があり、ナルシストの語源ともなった。「スイセン」という名は、中国での呼び名「水仙」を音読みしたもので、「水辺に咲く仙境の花」の意。欧米では「希望」の象徴とされる。

【水仙の俳句】

水仙の花のみだれや藪屋敷  広瀬惟然

▶ 冬の季語になった花 見頃と名所

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