夏目漱石 ●
菜の花の中へ大きな入り日かな 季たたかれて昼の蚊をはく木魚かな 季●別るるや夢一筋の天の川 季●吾が影の吹かれて長き枯れ野かな 季こがらしや海に夕日を吹き落とす 季ちらちらと陽炎立ちぬ猫の塚 季菫程な小さき人に生れたし 季鐘つけば銀杏散るなり建長寺 季 (海南新聞)●霧黄なる市に動くや影法師 季菜の花の遙かに黄なり筑後川 季憂いあり新酒の酔に托すべく 季木瓜咲くや漱石拙を守るべく 季はじめての鮒屋泊りをしぐれけり 季時鳥厠半ばに出かねたり 季灯を消せば涼しき星や窓に入る 季眼を病んで灯ともさぬ五月雨 季秋暑し癒えなんとして胃の病 季有る程の菊抛げ入れよ棺の中 季一里行けば一里吹くなり稲の風 季鳴き立ててつくつく法師死ぬる日ぞ 季人に死し鶴に生れて冴え返る 季秋立つや一巻の書の読み残し 季限りなき春の風なり梅の上 季芋の葉をごそつかせ去る鹿ならむ 季徂徠其角並んで住めり梅の花 季何となう死にに来た世の惜しまるゝ 季芭蕉忌や茶の花折つて奉る 季東風や吹く待つとし聞かば今帰り来ん 季巡礼と野辺につれ立つ日永哉 季秋の江に打ち込む杭の響かな 季一人居や思ふ事なき三ヶ日 季宇佐に行くや佳き日を選む初暦 季海棠の露をふるふや物狂 季
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