秋 click ⇒ ≪解説≫
寂しさや須磨にかちたる濱の秋 松尾芭蕉(おくのほそ道)くろがねの秋の風鈴鳴りにけり 飯田蛇笏(霊芝)●誰彼もあらず一天自尊の秋 飯田蛇笏(椿花集)たましひのたとへば秋のほたるかな 飯田蛇笏(山廬集)化けて来し狸と秋を語りけ里 柳原極堂くる秋は風ばかりでもなかりけり 立花北枝音もなく歩くお方や城の秋 岸本尚毅此石に秋の光陰矢のごとし 川端茅舎艪の音のしづかな秋となりにけり 長谷川櫂仰むけに流れて秋の大河かな 平井照敏秋の荒田の石ひとまとめふたまとめ 三橋敏雄銭洗ひ弁財天の水も秋 佐藤和枝此松の実ばえせし代や神の秋 松尾芭蕉(鹿島詣)●わが詩の仮幻に消ゆる胡砂の秋 石原八束大鯉のぎいと廻りぬ秋の昼 岡井省二ごぼごぼと薬飲みけりけさの秋 尾崎紅葉三田二丁目の秋ゆうぐれの赤電話 楠本憲吉詩の神のやはらかな指秋の水 田中裕明松山や秋より高き天主閣 正岡子規(寒山落木)●日にたつや海青々と北の秋 八十村路通雨戸こす秋の姿や灯の狂ひ 小西来山墓原や秋の蛍のふたつみつ 加藤原松われも秋六十帖の名残かな 柳亭種彦秋の城山は赤松ばかり哉 正岡子規夕ぐれは鐘をちからや寺の秋 伊藤風國牽牛花の裏を見せけり風の秋 森川許六生涯の影ある秋の天地かな 長谷川かな女(胡笛)●秋に添うて行かばや末は小松川 松尾芭蕉(陸奥鵆)●はや秋の星おもしろくなりにけり 夏目成美旅人や秋に後るゝ雲と水 飯田蛇笏馬はゆけど今朝の不二見る秋路哉 上島鬼貫送られつ別れつ果ては木曽の秋 松尾芭蕉秋の航一大紺円盤の中 中村草田男秋十とせ却て江戸を指古郷 松尾芭蕉(野ざらし紀行)
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