俳句

季語|鮃(ひらめ)

三冬の季語 

比目魚(ひらめ)

鮃の俳句と季語カレイ目カレイ亜目ヒラメ科に属するヒラメ。ヒラメと呼ばれるものに、シタビラメやオヒョウ(大鮃)もあるが、科が違う。一般に「左ヒラメに右カレイ」と言って、目のある向きで鰈と区別する。19世紀以前には、鮃と鰈は大きさで区別し、関東では小さいものをソゲ、大きいものをヒラメと呼んでいた。
稚魚の目は、普通の魚と同じように両側に付いているが、大きくなるに従って右目が移動する。また、体を保護色に変える能力を持っている。

日本に広く分布し、沿岸の砂泥地で夜間に活動する肉食魚である。春から夏にかけてが産卵期であり、冬場に脂が乗って旬を迎える。白身の高級食材であり、最近では養殖も盛んである。特に縁側は珍重される。
近年、パンダビラメというものが存在する。これは、本来白いはずの裏側に斑が入っているもので、養殖ものや、資源保護のために規格外の小さな個体を放流したものである。食味は天然ものに準じる。

平目の目は常に上を向いていることから、出世だけを気にして上司に媚びへつらう人間を、「平目人間」と呼んで侮蔑する。「比目魚」とも書くが、これは本来、一つ目の夫婦魚で、二尾並んではじめて泳ぐことができるという、中国の伝説上の魚である。

【鮃の俳句】

人間になりそこねたる比目魚かな  佐藤鬼房

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季語|鮭(さけ)

三秋の季語 

初鮭(はつさけ)

鮭の季語俳句サケ目サケ科に属する魚に、キングサーモン・ベニザケ・ギンザケ・ニジマス・カラフトマスなどがあるが、一般に「鮭」と認識されているのはシロザケと呼ばれるものである。秋鮭(アキサケ)、秋味(アキアジ)などの呼称もある。また、シャケとも言う。白身魚に分類される。
かつては「鮏」の字があてられていたが、生臭いという意味があるために、明治時代に「鮭」が使われるようになった。語源は諸説あり、アイヌ語で「夏」を意味する「シャク」の転訛説や、身が酒を飲んだ時のように赤いために「酒気(さかけ)」から転じたという説などがある。
北太平洋から北極海にかけて生息し、9月から12月に産卵のために川を遡上する。遡上する川で有名なのは、北海道の石狩川であるが、太平洋側では千葉県、日本海側では福岡県まで遡上が確認されている。川を遡上する間は餌を食べず、オスはその間に、背が張り鼻曲がりとなる。

現在流通している生食用の鮭は、ノルウェーなどで養殖されたタイセイヨウサケであることが多い。サナダムシやアニサキスなどの寄生虫対策で、刺身として提供されるものも、原則として冷凍される。
俳諧歳時記栞草には、秋之部八月に「初鱖(はつさけ)」として出ており、「和漢三才図会」の引用で「鮏は鯹の本字、魚臭なり」とある。江戸時代には、秋に千葉あたりで獲れたものを生で江戸に運び、「初鮭」として珍重したという。

【鮭の俳句】

鮭のぼる川しろじろと明けにけり  皆川盤水

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季語|蛸(たこ)

三夏の季語 

章魚(たこ)蛸壺(たこつぼ)

蛸の俳句と季語(蛸水月烏賊類図巻)頭に見える部位が胴で、足は頭から生えているような形になるので、頭足綱に分類されている。軟体動物で骨はなく、吸盤のついた八本の足が特徴。オスは、そのうちの一本の先端が生殖器になっている。
大きく分けてヒゲダコ亜目とマダコ亜目があり、食卓に馴染みのマダコ・ミズダコ・イイダコは、マダコ亜目マダコ科に属する。

世界には、戒律から蛸を食せない宗教もあるが、日本では古くから食されている。特にマダコは身が締まり、濃厚な旨みがあって高級とされ、「蛸」といえば通常はこのマダコを指す。
マダコは、三陸から九州にかけての太平洋沿岸や瀬戸内海で捕獲され、水深40mまでの比較的浅いところに生息している。明石などの瀬戸内ものの旬は、産卵期の6~7月のもので、これを「麦わらだこ」と呼んでいる。

蛸漁のはじまりは、弥生時代にあると考えられている。縄文型内湾漁労が衰退してから、内湾漁労として蛸壺漁が始まったと考えられており、明石はその発祥地とされている。ただ、蛸壺漁は非効率であるため、現在ではほとんど行われていない。

蛸は年中捕獲されるものではあるが、関西では半夏生に蛸を食べる習慣があり、夏の季語となっている。ただし、季語になったのは近年のことであり、松尾芭蕉に「たこ壺やはかなき夢を夏の月」の句もあるが、「蛸」のみを季語として詠み込んだ俳句は少ない。
「蛸は身を食う」という慣用句があるが、蛸は空腹になると自分の足を食うと言われることから、財産を食いつぶすことを指す。また「蛸足配線」などもよく使われる言葉である。
「たこ」の語源はその手足に特徴を見て、「手(た)」に接尾語の「こ」をつけたものだという説がある。

【蛸の俳句】

章魚沈むそのとき海の色をして  上村占魚



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季語|秋鯖(あきさば)

三秋の季語 秋鯖

秋鯖の俳句と季語(日東魚譜)」は夏の季語であるが、旬は秋である。春に伊豆半島沖で産卵して北海道まで北上した真鯖は、秋になると南下し始めるが、八戸沖に到うあたりで最も身がしまり旨くなるとされる。また、高級ブランド魚として知られる大分県の「関鯖」は、回遊性は低いものの、秋から冬にかけて旬を迎える。これら、最も脂ののった時期の鯖は、「秋鯖」として季語になっている。あまりに旨いものだから、「秋鯖は嫁に食わすな」との慣用句もある。

【秋鯖の俳句】

鮪より旬の秋鯖食うぶべし  鈴木真砂女



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季語|鯖(さば)

三夏の季語 

鯖釣(さばつり)

鯖の俳句と季語(日東魚譜)スズキ目サバ科に分類され、日本近海ではマサバ(サバ属)・ゴマサバ(サバ属)・グルクマ(グルクマ属)・ニジョウサバ(ニジョウサバ属)が見られる。太平洋沿岸のマサバは、春に伊豆半島沖で産卵して北海道まで北上し、秋に南下し始める。南下して八戸沖に到った鯖は「戻りのサバ」として、最上とされる。また、豊後水道の関鯖(マサバ)は極上とされるが、これは回遊性が低く年中獲れるが、旬は秋から冬にかけてである。

サバの語源は、斑入りであることから「斑葉魚(いさばらうお)」と呼ばれていたものが転訛したところにあるという説や、「騒ぐ」という意味の「さばめく」にあるという説などがある。
鯖は、その旬の季節とは異なり夏の季語になっているが、俳諧歳時記栞草には夏之部六月に「鯖釣」が載っており、「能登の海上に四月多し」とある。また福井県には「半夏生鯖」という風習があり、夏の栄養補給のために半夏生に鯖を食べる風習があったという。比較的旬の食材が少ない夏場に、鯖は貴重なたんぱく源であった。若狭で獲れた鯖を塩鯖にして京まで運んだ街道は、現在でも「鯖街道」として残っている。
古くから親しまれてきた鯖は、いくつかの慣用句にもなっており、「鯖の生き腐れ」「鯖を読む」などがある。日本書紀(仲哀紀)には、天皇の御幸に際し「周芳の沙麼(さば)の浦に参迎ふ。魚塩の地を献る」の記述があり、「鯖」との関連がうかがえる。

▶ 関連季語 秋鯖(秋)

【鯖の俳句】

鯖釣やしらぬ火ならぬ浪のうへ  釈蝶夢



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季語|秋鰹(あきかつお)

三秋の季語 秋鰹

秋鰹の俳句と季語鰹と言えば、山口素堂の「目には青葉山ほととぎす初がつお」から、初夏が旬の魚だと連想してしまうが、調理して本当に美味いのは秋である。
南洋に生まれた鰹は、8月頃に三陸沖にまで達する。この頃の鰹はいちばん脂がのっており、「トロカツオ」とも呼ばれる。また、黒潮に乗って北上をした鰹も、親潮との遭遇で南下を始めるために、「戻り鰹」とも呼ばれる。

▶ 関連季語 鰹(夏)

【秋鰹の俳句】

はねるほど哀れなりけり秋鰹  椎本才麿

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俳句が詠める街

根を張る土壌はそこになくても、酒を注げば花は咲く。是、場末に生きる騒客の、四季の巡りを知る処。

vol.2 目黒|美人がいたまち恋の町

国会図書館デジタルコレクションより 朱引と墨引の中間にあり、江戸であって江戸ではない場所、それがかつての目黒であった。江戸五色不動の一つ、瀧泉寺の目黒不動があるために、江戸時代では、ちょっとした旅行気分が味わえたという。明治時代には、門前に筍飯屋が立ち並び、目黒を訪れた正岡子規が「筍や目黒の美人ありやなし」の俳句を残している。付近は孟宗竹の産地で、筍飯は「さんま」と並ぶ目黒名物であった。
 といっても、本当の目的は信仰や食欲にあるのではなく、どうやら給仕の女性。各店は、客を呼び込むために美人を立たせ、子規は、牡丹亭の十七、八の娘に恋をした。奥手な子規には空しい恋となったが、それは生涯で一番ときめいた瞬間だったのかもしれない。

* 上画像は「武蔵百景之内目黒不動」(小林清親1884年:国会図書館デジタルコレクションより)

俳句でハイク|目黒不動の門前町にときめきを探して

 もう恋など忘れて何年もたつが、思い立って目黒に出かけることに。しかし、最初から失敗。JR目黒駅に降り立てば、そこは目黒区ではなく品川区。「不動前」という東急の駅もあったのに、「目黒」の名に惑わされて迷路に入り込むことに…

権之助坂商店街【俳句でハイク1 権之助坂商店街】
JR目黒駅を西に出れば、昭和の香りに遭遇。古びた赤い片側アーケードがついたその街の名は、権之助坂商店街。急坂の行人坂を避けるバイパスとして、元禄時代に菅沼権之助が開いた坂は、ビジネスマンが立ち止まる飲食店街となった。その一店の暖簾をくぐり、中華そばで腹ごしらえ。しかし、そこに女性は存在しない。麺の上のメンマをつまんで、期待ばかりを膨らませている。

かむろ坂【俳句でハイク2 かむろ坂】
目黒川を渡って南下して約15分、かむろ坂に出た。吉原の遊女・小紫は、惚れた男の死を知って、目黒の墓前で自害した。小紫についていた禿(かむろ)は小紫を追うが間に合わず、傷心の帰路、暴漢から逃れるために池に身を投じて亡くなった。都市化にも、入水した地につけられた「かむろ坂」の地名だけは残り、ひとつの恋愛が導いた不幸な出来事を語り継いでいる。

羽根つき餃子の金春【俳句でハイク3 目黒不動門前の比翼塚】
小紫と恋仲だったのは、人を斬って鳥取を出奔した権八。吉原では金に窮し、辻斬を重ねることに。目黒の東昌寺で改心した権八は、故郷に帰って両親の他界を知り、自首して処刑された。それを知った小紫は、東昌寺に建てられた墓の前で後追い心中してしまう。歌舞伎の題材ともなった有名な事件で、東昌寺は廃寺となったが、目黒不動門前に比翼塚が建てられている。

目黒不動【俳句でハイク4 目黒不動こと瀧泉寺】
目黒の由来となった目黒不動は、808年に慈覚大師が安置したもので、その不動尊を本尊として瀧泉寺が創建された。江戸で3本の指に入る富くじ興行の場としても賑わい、行楽客で溢れるラスベガスのような時代もあった。境内の愛染明王は、良縁成就の明王として名高い。ただ、とてつもなく恐ろしい御顔をした明王様である。腹をくくらぬ者は祈らぬ方がよい。

目黒不動商店街【俳句でハイク5 目黒不動商店街】
かつて目黒駅付近の行人坂から目黒不動門前までは、ぎっしりと店が立ち並んでいたというが、現在では道順も分からないほどにまばらである。かろうじて目黒不動商店街と名付けられた通りがあるが、車の通行の方が多いくらいである。この中に、「目黒のさんま」や「筍飯」を提供する店を探してみるが、見つからない。ましてや、若い女性が給仕する飲み屋など…

大国家【俳句でハイク6 見つからなかった大国家】
筍飯の名店に、角伊勢・内田屋・大国家などがあったとされる。廃れたならせめてもと、大国家跡地にあるという由緒の石碑を探してみた。しかし、それさえも見つからず、ある店舗の前に置かれていた大黒様だけ写真に収めて帰ってきた。高浜虚子の俳句が、一晩中頭の中を駆け巡っていた。「目黒なる筍飯も昔かな」・・・筍飯は夢だった…

 目黒の門前に、まだ見ぬ恋は破れた。再びJR目黒駅を目指すと、道端に「お七の井戸」が。
 八百屋お七は、恋のために火を起こして処刑された。恋心に火がつけば、人は身を滅ぼすものなのかもしれない。目黒のお不動様は、そのことを教えるために導いてくれたのだと思う。感謝を込めて一句、
「動かざる心をもってひとり虫」(泰)

苦界ただよふ萍に もつれて零る夜の雨
酔夢覚めゆく朝には 浮かびをるなり青蓮華

水中花ちひさき魚およがせて (

俳句が詠める街

歳時記とは今日の俳句歳時記俳人検索俳句の辞世句歳時記俳句暦歳時記俳句関連骨董品

季語|鮪(まぐろ・しび)

三冬の季語 

鮪の俳句と季語(日東魚譜)スズキ目サバ科マグロ属に分類され、クロマグロ・タイセイヨウクロマグロ・ミナミマグロ・メバチマグロ・ビンナガマグロ・キハダマグロ・コシナガ・タイセイヨウマグロの8種がある。本マグロと呼ばれているのはクロマグロのことであり、外洋を時速80キロの高速で回遊しており、暖流に乗って日本沿岸に達する。大きいものでは、全長3メートル、体重は400キロにもなる。
冷凍技術の発達により、現代では年中食することのできる鮪であるが、俳句の世界では冬の季語に分類されている。これは、水温が低いほど脂がのって身が引き締まるためで、日本周辺を回遊する鮪では、津軽海峡(大間あたり)に差し掛かった時に丁度旬を迎える(12月~1月)。初競りで高値がつくことで、毎年話題となっている。

「まぐろ」の語源は、目が黒いことから「眼黒(まぐろ)」にあるとする説が有力である。古語では「しび(宍魚)」と呼ぶが、「しび」を「死日」と見て不吉ともされた。
日本では古くから食されており、縄文時代の貝塚からも骨が出土している。大きさに対して腐敗するのが早い鮪は、塩蔵にすると食味が落ちるため、江戸時代に醤油が普及して「ヅケ」が生まれるまでは、庶民の空腹を満たす下魚としての地位に甘んじていた。
冷蔵技術の発達した現代では、特に刺身としての人気は高く、部位によって「赤身」「中トロ」「大トロ」などと呼ばれる。特に「大トロ」は高級食材として、高値となっている。けれども「大トロ」も、食が西洋化されるまでは評価が低く、冷蔵技術の発達していなかった時代には、猫も避けて通るという意味で「猫またぎ」とも呼ばれた。
日本食が世界的な人気となる中、鮪の乱獲も進み、国際自然保護連合のレッドリストにマグロ5種が記載されている。そのような中、完全養殖の研究がすすめられ、近畿大学水産研究所が世界で初めて成功させた。その鮪は「近大マグロ」と呼ばれている。

「古事記」の顕宗天皇即位前の「歌垣」に、袁祁命(をけのみこと:顕宗天皇)と志毘臣(しびのおみ)との歌の掛け合いがある。その最後に「大魚よし 鮪衝く海女よ 其があれば うら恋しけむ 鮪衝く鮪」と歌って、翌朝に志毘臣の家を取り囲んで殺してしまう。「大魚(おふを)よし」は「鮪(しび)」の枕詞であるが、ここにいう「大魚」は、袁祁命が娶ろうとしていた女性の名である。この時袁祁命は、歌垣に立ってその女性の手を取った志毘臣に立腹している。
万葉集には2首に歌われ、大伴家持に

鮪突くと海人の灯せる漁り火の 秀にか出ださむ我が下思ひを

がある。鮪を釣るために灯す漁火のように、秘めた思いを表に出してしまおうかというような意味である。

【鮪の俳句】

此の岸の淋しさ鮪ぶち切らる  加倉井秋を



季語|汗(あせ)

三夏の季語 

汗水(あせみず)玉の汗(たまのあせ)汗ばむ(あせばむ)

汗の俳句と季語フェロモンの役割を果たしているとの説もあるが、主に体温調整のために汗は出て、気化熱によって体表から体温を下げる。皮膚が高温になると、視床下部の温度調整機能が働き、発汗命令が出る。精神的な刺激によって視床下部が刺激された時にも汗が出ることがあるが、緊張時に汗が出るのはこのためである。

汗が出るのは哺乳類に限られるが、その中でも、ヒト以外では馬や猫など、ごく少数である。足の裏に汗をかく猫は、体温調整というよりも、臭いを残すために利用している。なおヒトの手の汗は、進化の過程で、滑り止めの役割をしていたとも考えられている。
汗の主成分は水であるが、ミネラルなどが1%ほど含まれている。夏場には、人は発汗で一日に3ℓ以上の水分を奪われることが普通であり、健康維持には、そのために奪われるミネラル補給も重要である。

慣用句には、「冷や汗をかく」「手に汗握る」「汗水たらす」「汗水流す」「汗の結晶」などがある。

【汗の俳句】

汗の玉抱へし花の束に落つ  長谷川かな女
今生の汗が消えゆくお母さん  古賀まり子

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季語|扇(おうぎ)

三夏の季語 

扇子(せんす)白扇(はくせん)

扇の俳句と季語扇いで涼をとるための道具であるが、儀礼や芸能でも重要な役割を持つ道具である。古くは「あおぐ」を語源として「扇(おうぎ)」と呼んだ。

「扇」は、中国の貴人が用いていた翳(さしば)が起源とされ、日本には古墳時代に伝来している。ただし、このころのものは、大きな団扇のような形をしている。
現在の「扇子」につながるものは、奈良時代頃の日本で発明された。木簡を束ねて携帯に便利な形にしたもので、「檜扇」と呼ばれ、略式の笏として使用された。平安時代には、装飾が施されたものが女性の間にも広がり、顔を隠す道具としても使用された。
後に、片面に紙を張った「蝙蝠扇(かわほりおうぎ)」が登場し、中国へ輸出された。その後それを元に作られた、両面張りの中国の唐扇が逆輸入されるようになった。また、これら日本や中国の扇は、大航海時代にヨーロッパへも伝来している。
因みに「扇子」は、「扇」に接尾語の「子」をつけて、中国風に音読みしたものである。

扇子は、「骨」と「扇面」と「要」と、扇を止める帯状の輪である「責」からなる、折り畳み式の「扇」である。団扇(うちわ)とは区別されている。
風を送る以外にも様々な用途があり、「源氏物語」や「枕草子」には、和歌を書いて贈ったことが記されている。その姿が「蝙蝠」に似ているために「かわほり」の別名があり、蝙蝠に因んで夏の名物と見る見方もある。

【扇の俳句】

物書いた扇を人に見られけり  正岡子規