俳句

季語|コスモス(こすもす)

仲秋の季語 コスモス

秋桜(あきざくら)

コスモスの俳句と季語メキシコ原産、キク科の一年草。メキシコからスペインに渡り、コスモスと名づけられた。日本には明治12年に、イタリアから渡来。コスモスとは、ギリシャ語で秩序ある世界の意味で、宇宙を表す。「秋桜」の表記は、さだまさし作詞作曲の「秋桜」で初めて用いられた。花言葉は「真心」。

【コスモスの俳句】

コスモスの君と言はれし人思ふ  山口青邨

▶ 秋の季語になった花 見頃と名所

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季語|狗尾草(えのころぐさ・えのこぐさ)

三秋の季語 狗尾草

犬ころ草(いぬころぐさ)・猫じやらし(ねこじゃらし)ゑのこ草(えのこぐさ)

狗尾草の俳句と季語イネ科。語源は、小犬の尾に似ているところから。「イヌコロ」は、「犬来よ」から来ているとの説もある。

寛弘3年(1006年)、阿波の鳴門が鳴動し天変地異が起こった折、横山八幡宮神官が鳴門に赴き

山畠に作りあらしのえのこ草 粟のなるとは誰かいふらむ

と詠じると、元の静かな海に戻ったという。これを喜んだ帝に召された神官は、

我が国に年経し宮の古ければ 御幣の串の立つところなし

と応えると、帝は「宮の古ければ」の一節をとり、横山八幡宮一帯を「宮古」の地名に改めたという。

【狗尾草の俳句】

夢いくつ見て男死ぬゐのこぐさ  能村登四郎

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季語|行く秋(ゆくあき)

晩秋の季語 行く秋

行く秋の俳句と季語春と秋にはそれぞれに「行く~」という季語があり、季節を惜しむ。新古今和歌集に権中納言兼宗の

ゆく秋の形見なるべきもみぢ葉も 明日はしぐれと降りやまがはむ

がある。

▶ 関連季語 秋

【行く秋の俳句】

蛤のふたみにわかれ行秋ぞ  松尾芭蕉
行く秋の我に神無し仏無し  正岡子規

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季語|葵(あおい)

仲夏の季語 

立葵(たちあおい)

立葵アオイ目アオイ科の植物には、タチアオイ、ムクゲ、ハイビスカス、フヨウのほか、オクラやワタにいたるまで、多くの種類がある。日本には、タチアオイが薬用として古くから渡来していたと考えられている。万葉集にはよみびと知らずの歌として、

梨棗黍に粟つぎ延ふ葛の 後も逢はむと葵花咲く

がある。また、新古今和歌集では式子内親王が、

忘れめやあふひを草に引き結び かりねの野べの露のあけぼの

と歌ったが、ここでは「葵=あふひ」を「逢う日」に掛けている。
尚、葵の語源は、「仰ぐ日」である。これは、太陽に向かって花を咲かせるところから来ている。徳川家の家紋は「葵の御紋」と呼ばれ、三つ葉葵で知られている。

【葵の俳句】

葵草むすびて古きあそびかな  三浦樗良

▶ 夏の季語になった花 見頃と名所

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季語|秋草(あきくさ)

三秋の季語 秋草

秋の草(あきのくさ)千草(ちぐさ)色草(いろくさ)

秋草の俳句と季語一年を通じ、様々な季語となってあらわれる「草」。中でも秋は、草が最も印象的な季節。「草の花」「草の実」もまた秋の季語となり、生い茂る夏には名前も分からなかった草が、この季節になって種類ごとの特徴を明らかにする。

毎年腐っていくことから、「腐る」が元になっているなどの語源説があるが、明らかではない。古くから、人の増える様は、草にたとえられてきた。古事記では「青人草」といい、神々の父神イザナギは「汝、吾を助けしがごと、葦原中国にあらゆる現しき青人草の、苦き瀬に落ちて、患い悩む時に助くべし」と、オオカムヅミに命じた。旧約聖書にも人を「草」にたとえる表現が見られる。また、「種」を「くさ」と読ませて、物事の原因をいう。
万葉集には石川賀係女郎の秋草の和歌がある。

神さぶといなにはあらず秋草の 結びし紐を解くは悲しも

古くは、草を結んで願をかけるという風習があった。時代を下ると、草を結び枕にしたことから、「草を結ぶ」ということは野宿をすることの意に用いられてきた。

【秋草の俳句】

秋草のすぐ萎るるをもてあそび  中村汀女
名は花にさだまる秋の小草かな  勝見二柳

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季語|火恋し(ひこいし)

晩秋の季語 火恋し

火恋しの季語と俳句秋の深まりとともに、火の気が恋しくなってくる。
暖房設備の充実や環境保全などの理由から、火を焚いて暖を取ることは少なくなったために、絶滅危惧種に指定されてもおかしくない季語である。

【火恋しの俳句】

歩みとどめればたちまち火の恋し  檜紀代

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季語|冬の雨(ふゆのあめ)

三冬の季語 冬の雨

冬雨(とうう・ふゆさめ)

冬の雨の俳句と季語同じ冬の雨でも、降ったりやんだりの時雨は初冬の季語となる。

▶ 関連季語 冬

【冬の雨の俳句】

さびしさは垂井の宿の冬の雨  永田舟泉
冬雨やうらなふことを好むさが  鈴木しづ子

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季語|後の月(のちのつき)

晩秋の季語 後の月

十三夜(じゅうさんや)・名残の月(なごりのつき)・豆名月(まめめいげつ)栗名月(くりめいげつ)

後の月の俳句と季語仲秋の名月から約1カ月後の陰暦9月13日夜の名月。満月の二日前に欠けた月を愛で、仲秋の名月だけを愛でることを「片見月」として忌む。仲秋の名月を芋名月というのに対し、豆名月・栗名月と呼び、豆や栗を供える。平安時代にはすでに行われていた、日本独自の風習。「十三夜に曇りなし」と言われ、晴天になることが多い。「芭蕉庵十三夜」(貞亨5年9月13日)に、「木曽の痩せもまだなほらぬに後の月」の句とともに、

仲秋の月は、更科の里、姨捨山になぐさめかねて、なほあはれさの目にも離れずながら、長月十三夜になりぬ。今宵は、宇多の帝のはじめて詔をもて、世に名月と見はやし、後の月、あるは二夜の月などいふめる。これ、才士・文人の風雅を加ふるなるや。閑人のもてあそぶべきものといひ、且つは山野の旅寝も忘れがたうて、人々を招き、瓢をたたき、峰の笹栗を白鴉と誇る。隣の家の素翁、丈山老人の「一輪いまだ満たず二分かけたり」といふ唐歌はこの夜折にふれたりと、たづさへ来たれるを、壁の上に掛けて草の庵のもてなしとす。狂客なにがし、「白良・吹上」と語りいでければ、月もひときははえあるやうにて、なかなかゆかしき遊びなりけらし。

とある。宇多天皇(887年~897年)の命ではじまった慣習であるとの見方がある。なお芭蕉は、新勅撰和歌集に載る能因法師の

さらしなや姨捨山に旅寝して今宵の月を昔みしかな

にインスピレーションを受けたか。


▶ 関連季語 名月(秋)

【後の月の俳句】

片付けて机つめたき十三夜  細井みち
木曽の痩せもまだなほらぬに後の月  松尾芭蕉

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季語|凍港(とうこう)

三冬の季語 凍港

凍港の俳句と季語凍てついた港。日本では、港が完全に凍ってしまうことは稀であるが、特にロシアにとっては港が凍ってしまうことは重要問題であり、不凍港を求めて南下したとも言われている。大きな港には砕氷船が置かれる。

山口誓子の1932年に刊行された第一句集は、「凍港」と名付けられている。

【凍港の俳句】

凍港や旧露の街はありとのみ  山口誓子

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季語|行春(ゆくはる)

晩春の季語 行春

行く春(ゆくはる)・春の名残(はるのなごり)・春の果(はるのはて)・春尽(しゅんじん)・春尽く(はるつく)

行春の季語と季語過ぎ去ろうとしている春。拾遺和歌集には紀貫之の

花もみな散りぬる宿はゆく春のふる里とこそなりぬべらなれ

が載る。

▶ 関連季語 桜(春)

【行春の俳句】

行春や鳥啼魚の目は泪  松尾芭蕉

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