仲春の季語 一人静
吉野静(よしのしずか)・眉掃草(まゆはきそう)
センリョウ科チャラン属ヒトリシズカは、山野の林内に自生する多年草で、4月から5月頃に花が咲く。そのブラシ状の花の形状から、眉掃草の別名がある。また、「吉野山みねの白雪ふみわけて 入りにし人の跡ぞ恋しき」と歌った源義経の寵妾・静御前に因んで、「吉野静」とも呼ばれる。
花序を2本持つ近縁種の「二人静」に対比させて「一人静」と呼ばれるようになったとも、静御前がひとり舞う姿に見立てて「一人静」と名付けられたとも言われる。
万葉集の中の長歌に一所だけ登場し、「山背」の枕詞(つぎねふ山背道)となる「つぎね」は、一人静あるいは二人静のことだという説がある。
【一人静の俳句】
一人静むらがりてなほ淋しけれ 加藤三七子

ラン科シュンラン属シュンランは、日本を代表する野生蘭。北海道から九州の、山地の雑木林などに自生する。3月から4月頃に咲くところから、「春蘭」と名付けられた。花にホクロのようなものが見えることから「ほくろ」、花が爺の髯と婆の頬かむりを合わせたように見えることから「じじばば」などとも呼ばれる。
連翹は、モクセイ科レンギョウ属の半つる性植物の総称で、主に中国原産のレンギョウ、シナレンギョウ、朝鮮半島原産のチョウセンレンギョウを指す。これらの開花期は3月から4月頃。限られた地域でしか見られない日本原産種のヤマトレンギョウやショウドシマレンギョウは、開花時期が約1ヵ月遅れる。
ジンチョウゲ科ミツマタ属ミツマタは、ヒマラヤ地方原産の落葉性低木で、3月から4月頃に芳香のある球状の黄色い花を咲かせる。園芸種には赤い花を咲かせるものもある。花のように見える部分は、萼が変化したものであり、花弁は持たない。
バラ科シモツケ属ユキヤナギは、日本原産の落葉低木。本来は岩場を好む植物であるが、庭木にもよく用いられる。小手毬と同属であるが、小手毬が小さな手毬のように小花が集合して咲くのに対し、雪柳は散房花序となり、3月から4月頃に咲く。
海に浮かび、漂流している氷のことで、日本では北海道のオホーツク海の流氷が有名で、北海道沿岸から確認できた最初の日を「流氷初日」という。平年では1月中旬から下旬となり、3月下旬から4月上旬となる「流氷終日」まで北海道沿岸から流氷が見られる。ちなみに、着岸した「定着氷」は流氷に含まれない。
陰暦2月15日。
季語となる「白酒」は、みりん・蒸米・米麹などでつくられる混成酒の一種で、雛祭に供される。俳諧歳時記栞草(1803年)には、春之部三月に分類し、「本朝食鑑」の引用で「酵は白酒の甘き也。和名、之良加須(しらかす)、云々。和俗、三月三日節物として、雛祭に供ず」とある。さらに「句作によりて、三春にわたるべき也」と追記がある。
1.5メートルほどの高さに育つタデ科の多年生植物。東アジア原産で日本全土に分布し、近年ではヨーロッパやアメリカで帰化したものが生態系を破壊し、問題になっている。