蟻地獄待つといふこと知つてをり 後藤比奈夫 季喜雨のあとふたたび白し夜の雲 富安風生 季つまだちて見るふるさとは喜雨の中 加藤楸邨 季燈台の風くるとろろあふひかな 星野麥丘人 季海猫鳴くや鉄路の終は潮くさき 岡本眸 季暗き屋より海猫に似て婆のこゑ 岸田稚魚 季男にもつきて砂丘のゐのこづち 星野麥丘人 季ゐのこづちむかし野原でつきしまま 平井照敏 季不知火でないかもしれぬ眠たくて 正木ゆう子 季不知火や嵐はれ行く海の果 正岡子規 季鬼やんま鋭く通る不破の関 田川飛旅子 季鬼やんまひとり遊べり櫟原 石塚友二 季群青の毛布の時化てをりにけり 櫂未知子 季時化波の運河に魂を送りけり 加藤三七子 季泥亀の鴫に這ひよる夕かな 宝井其角 季坂鳥の胸をうたるる笞かな 久村暁台 季老いて尚君を宗とす子規忌かな 高浜虚子 季叱られし思ひ出もある子規忌かな 高浜虚子 季獺祭忌鳴雪以下も祀りけり 高浜虚子 季草木より人飜る雁渡し 岸田稚魚 季けふの日の終る着物に草虱 山口誓子 季月明かし人を待つらむ藪虱 相生垣瓜人 季死神に尻餅つかせ鎌鼬 林翔 季三人の一人こけたり鎌鼬 池内たけし 季氷魚くへば瀬々の網代木見たきかな 松瀬青々 季雪の朝独り干鮭を噛み得たり 松尾芭蕉 季まぼろしの鱶が書斎を出てゆかぬ 池田澄子 季ふなびとら鮫など雪にかき下ろす 加藤楸邨 季毎日の朝寝とがむる人もなし 松本たかし 季おたまじやくし乾からびし路先細る 西東三鬼 季 摘みけんや茶を凩の秋とも知で 松尾芭蕉 季泥川の月夜に泛きぬ大鯰 青木月斗 季藻の花に鯰押へし夜振哉 正岡子規 季春宵をかくれ簑きて街ゆかむ 久保より江 季比叡の薊浪花の水によみがへれ 久保より江 季青芒去年のキャンプのあとを踏む 久保より江 季うしろよりせまる人語や秋の山 久保より江 季
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