俳句

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一本の矢が音となる弓始  吉原一暁 
初弓の狩衣に舞ふ雪すこし  伊達雅和 
初釜のたぎちはげしや美女の前  西東三鬼 
初釜にスカート緑濃き乙女  百合山羽公 
初釜のはやくも立つる音なりけり  安住敦 
うらわかき膝しづまれり初茶の湯  石田波郷 
初夢の吉に疑無かりけり  松瀬青々 
初夢に一寸法師流れけり  秋元不死男 
初夢の思ひ出せねどよきめざめ  三浦恒礼子 
初寝覚今年なさねばなす時なし  中村草田男 
耳許に猫の鈴鳴り初寝覚  木田千女 
うそまこと七十余年初寝覚  富安風生 
夢の世に居たたまれずに初寝覚  藤原滋章 
釣り上げし鯤の雫や初寝覚  小島健 
寝正月自問自答をくり返し  下村非文 
虚子庵に不参申して寝正月  松本たかし 
みどり児の起きてしまひし寝正月  稲畑汀子 
次の間に妻の客あり寝正月  日野草城 
貘枕扇ひろげに髪を解き  ながさく清江 
貘枕子のよき夢をつゆ知らず  赤尾兜子 
喰ひに来し貘を夢見ぬ貘枕  室積徂春 
憂き事を眠るよすがや貘枕  佐久間法師 
宝舟目出度さ限りなかりけり  高浜虚子 
七十路は夢も淡しや宝舟  水原秋桜子 
古き宮の宝舟なり買ひにけり  山口青邨 
つくづくと寶はよき字宝舟  後藤比奈夫 
出初式使ひし梯子天に畳む  橋本美代子 
出初式また大阪に橋失せて  大島民郎 
本丸の跡の広場の出初かな  加藤覚範 
初詣駒形に来て泥鰌汁  小沢碧童 
鴨川の風いさぎよし初詣  岩崎照子 
くれなゐの袂かかへる初詣  石原八束 
勉学をせよと出てをり初神籤  島谷征良 
ほどほどのもの引き当てて初みくじ  佐津のぼる 
家うつりは待てとありけり初みくじ  戸恒東人 
楢山の小高きをわが恵方とす  宮坂静生 
恵方嶺噴煙もまた雪白に  上田五千石 
箒目に鳥の足あと恵方道  小島健 
初天神女ばかりが来てをりぬ  石田郷子 
参詣の早くも群聚初不動  高浜虚子 
初戎泥人形を買うてんか  野中威 
白朮火や闇傾けて東山  小松初枝 
白朮火を振りむさゝびにとばれけり  岡井省二 
火縄振り四条まつすぐ来て明くる  桂樟蹊子 
空青し破魔矢の人を追ひ越して  岩田由美 
破魔矢ゆきあとまたねむるなまこ壁  飯田龍太 
思ふより男濁らぬ破魔矢かな  正木浩一 
旅果てぬわが家の門も鳥総松  中島斌雄 
御招きを受けて訪ふ鳥総松  高木晴子 
わが影のすぐよぎりけり鳥総松  中村汀女 
松とるや伊勢も大和も昼の月  大峯あきら 
停年を妻言へり松納めつつ  草間時彦 
夕月の光を加ふ松納  深見けん二 
濁世へと飾りはづしてしまひけり  渡辺恭子 
納めたる注連も雪被て道祖神  大野林火 
輪飾の釘ごと昭和はづしけり  坂巻純子 
鷽ひとつ替ふることなく書架にあり  石田波郷 
鷽替のいとちさき鷽もらひけり  石田あき子 
吉凶の顔や等しく鷽替へぬ  吉田鴻司 
繭玉の静かに高し炉の人に  星野立子 
まゆ玉のもつれもみせずしだれけり  鈴木真砂女 
餅花のなだれんとして宙にあり  栗生純夫 
鳶の輪は村空あまるほとけのざ  岡井省二 
芹なづないつか紬が似合ふやう  正木ゆう子 
薺打つすととんとんと母癒えよ  渡辺恭子 
薺粥薺のみどりただよひぬ  坂本四方太 
長女次女和服で居たりなづな粥  吉田汀史 
濤音の七草粥を吹きにけり  飯島晴子 
七草や飲食影のごとひそか  小松崎爽青 
父が来る日の七草の薄き粥  渡辺昭 
赤松は躍れる木なり七日粥  宮坂静生 
有るものは摘み来よ乙女若菜の日  高浜虚子 
どんど焼海際に大崩れせり  細見綾子 
雪空へすひあげらるるどんどかな  矢島渚男 
浜どんど渚の白を浮きたたす  きくちつねこ 
谷水を撒きてしづむるどんどかな  芝不器男 
山風に焔あらがふ磯どんど  上田五千石 
左義長に杜の奥より童女来て  茨木和生 
左義長へ行く子行き交ふ藁の音  中村草田男 
左義長や婆が跨ぎて火の終  石川桂郎 
左義長やまつくらがりに海動き  岸田稚魚 
飾焚く顔てらてらと鬼才かな  大木あまり 
杉箸のほのかに染まり小豆粥  猿橋統流子 
明日死ぬる命めでたし小豆粥  高浜虚子 
つぶらなる鳥の眼と合ふ粥柱  中戸川朝人 
えんぶりの笛恍惚と農夫が吹く  草間時彦 
農の香のえんぶり烏帽子目深なり  村上しゆら 
えんぶりや土も香にたつ雪畳  林翔 
かまくらといふもの雨にあはれなり  高浜年尾 
かまくらのもらす灯のうち人の過ぐ  神蔵器 
かまくらのどの火に寄らむ雪こんこ  岩沢京 
成人の日の晴着着て墓参り  清崎敏郎 
爪研いで成人の日の乙女はも  石塚友二 
成人の日の華やぎにいて孤り  楠本憲吉 
濤こだま実朝忌まだ先の日ぞ  友岡子郷 
実朝忌波の上なる女下駄  川崎展宏 
紅顔の人等つどへり実朝忌  山口青邨 
筆撰ぶ銀座に雨の良寛忌  筑紫磐井 
練炭の穴の真つ赤に良寛忌  佐藤和枝 
鎌をもて落す鍋墨良寛忌  本宮哲郎