俳句

季語|水芭蕉(みずばしょう)

仲夏の季語 水芭蕉

水芭蕉の俳句と季語サトイモ科ミズバショウ属の多年草。北海道や本州の冷涼な山間部の湿地に自生する。特に、「夏の思い出」に歌われる尾瀬が有名。
花に見える純白の仏炎苞は、葉の変形したもの。尾瀬では、5月中旬から6月にかけて、仏炎苞の中央に花序をつける。雪解水の中に花を咲かせるが、本州では主に高地に見られることから夏の季語になっている。
水芭蕉の名は、水の中に育つその佇まいが芭蕉に似ているところから来ている。別名に牛の舌(べこのした)。花言葉は「美しい思い出」。

【水芭蕉の俳句】

影つねに水に流され水芭蕉  木内怜子

▶ 夏の季語になった花 見頃と名所

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季語|甘酒(あまざけ)

三夏の季語 甘酒

一夜酒(ひとよざけ)

甘酒の俳句と季語米こうじと米を原料とし、粥としたものに米こうじを入れて速醸させたものを一夜酒と呼んで、古くは、夏に清酒を造れない酒造の副業とした。俳諧歳時記栞草にも「一夜酒」で「六月」に分類されており、甘酒と同事とある。
甘酒には、酒粕を原料とするものもあり、こちらは、湯に酒粕を溶いて砂糖などの甘味を加えて作る。どちらもアルコールはほとんど含まれず、現代ではソフトドリンクに分類される飲料である。

「日本書紀」には、甘酒の起源とされる天甜酒の記述がある。それによると、神吾田鹿葦津姫(コノハナサクヤヒメ)が、皇祖神を生んだ後に、卜定田の稲をもって、醸したという。おそらく口噛み酒だっただろう。
延喜式の醴酒(こさけ・れいしゅ)も一夜酒と呼ばれることがあったが、こちらは酒で醸した酒であるため、アルコール度はかなり高く、現在でいう貴醸酒のようなものだったのだろう。これを六月朔日に奉納するという。
万葉集にある山上憶良の貧窮問答歌には「糟湯酒」が登場し、これは酒粕を溶いた甘酒のようなものだと考えられている。歌の中で憶良は、「寒さの中で塩をなめながら糟湯酒をすすり、咳をしながら鼻をすする」とあるので、風邪に効くとの認識が当時からあったものと考えられる。

江戸時代に、夏の栄養ドリンクとしての地位を築いたことが今につながり、俳句では夏の季語となっている。現代では雛祭りの「白酒」にイメージを重ねることも多いが、こちらは焼酎やみりんなどを用いて時間をかけて作るもので、アルコール分も9%ほどある。

【甘酒の俳句】

甘酒にいま存命の一本箸  伊丹三樹彦
一夜酒隣の子迄来たりけり  小林一茶

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季語|暮春(ぼしゅん)

晩春の季語 暮春

暮の春(くれのはる)春暮るる(はるくるる)晩春(ばんしゅん)

暮春の季語春のおわり頃を指す季語で、春の夕方を指す場合には「春の暮」を用いる。また、「暮春」「晩春」は陰暦3月の異称でもある。

【暮春の俳句】

艸の葉も風癖ついて暮の春  小林一茶

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季語|春の山(はるのやま)

三春の季語 春の山

春山(はるやま・しゅんざん)春嶺(しゅんれい)

春の山の季語草木は芽吹き、小鳥はうたう。春になると、山に生気が満ちて賑やかになる。けれども、靄がかかって、冬場ほど明瞭な影を見せなくなるのも春の山である。
郭熙(北宋の山水画家)の「画品」に「春山淡冶而如笑 夏山蒼翠而欲滴 秋山明淨而如粧 冬山惨淡而如睡」とあり、夏の「山滴る」、秋の「山粧ふ」、冬の「山眠る」とともに、春は「山笑ふ」と表現する。
万葉集に、作者不詳の和歌で

春山の馬酔木の花の悪しからぬ 君にはしゑや寄そるともよし

がある。

【春の山の俳句】

小酒屋の出現したり春の山  小林一茶
赤い鳥青い鳥ゐる春の山  甲斐遊糸

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季語|春惜しむ(はるおしむ)

晩春の季語 春惜しむ

惜春(せきしゅん)

惜春の季語と俳句「惜しむ」を持つ季語に暮の「年惜しむ」、秋の「秋惜しむ」があるが、過行く春を惜しむ時には、これらに見られる侘しさよりも、悲しみの方に重点が移る。「行く春」に分類したが、松尾芭蕉「行く春を近江の人と惜しみける」はあまりに有名。
後撰和歌集には紀貫之で

又もこむ時ぞとおもへど頼まれぬ わが身にしあれば惜しき春かな

がある。

【春惜しむの俳句】

春惜しむ宿やあふみの置火燵  与謝蕪村
白髪同士春ををしむもばからしや  小林一茶

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季語|摘草(つみくさ)

三春の季語 摘草

草摘む(くさつむ)蓬摘む(よもぎつむ)

摘草の季語春の行楽に草摘みがある。対象となるのは、土筆などの食用となるもの、紫雲英蒲公英などの花がある。食用となるものを摘む場合、「菜摘む」ともいう。
万葉集の冒頭に雄略天皇の歌で、

籠もよみ籠持ち 掘串もよみ掘串持ち この丘に菜摘ます子家告らせ 名告らさね そらみつ大和の国はおしなべてわれこそ居れ しきなべてわれこそ座せ われこそは告らめ 家をも名をも

があり、その他にも「菜摘」の歌は数首歌われており、春の行事であったことが伺える。
東洋学者の白川静は、草摘みは魂振りのためにする宗教的なものであったと指摘している。これは、七草粥を食することにもつながる。ただ、七草や若菜摘みは、「新春」が区分される現代では、新春の季語となる。

【摘草の俳句】

指先の傷やきのふの蓬摘み  能村登四郎

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季語|竹の秋(たけのあき)

晩春の季語 竹の秋

竹秋(ちくしゅう)・竹落葉(たけおちば)

竹の秋と季語と俳句養分が筍にまわる晩春、竹の葉は活力を失くして黄変する。これを、春にもかかわらず「竹の秋」という。
夏に入るころ落葉することから、夏の季語として「竹落葉」がある。ただし、竹は常緑であるので、全てが落葉するものではない。秋には若葉が映えることから、これを「竹の春」という。
「竹秋」ともいうが、これは陰暦3月の異称としても用いられる。

【竹の秋の俳句】

いざ竹の秋風聞かむ相国寺  大伴大江丸

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季語|梨の花(なしのはな)

晩春の季語 梨の花

梨花(りか・なしばな)梨咲く(なしさく)

梨の花バラ科ナシ属で、4月頃に白い花を咲かせる。「梨」とすると、実を指し、秋の季語となる。
梨の花には、独特のかすかな臭みがある。花言葉は「愛情」。

【梨の花の俳句】

馬の耳すぼめて寒し梨子の花  各務支考

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

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季語|春の暮(はるのくれ)

三春の季語 春の暮

春の夕(はるのゆう・はるのゆうべ)春夕べ(はるゆうべ)

春の暮の俳句と季語古くは春の終わりの意味で用いたが、現在では春の夕方の意味で用いることが多い。混乱を避けるために、春の終わりには「暮の春」という季語もある。ただ、松尾芭蕉の「鐘撞かぬ里は何をか春の暮」は、新古今和歌集の能因法師の和歌

山里の春の夕ぐれ来てみれば 入相の鐘に花ぞ散りけり

を本歌取りしたもの。

【春の暮の俳句】

春の暮家路に遠き人ばかり  与謝蕪村
ふる雨のおのづから春の夕かな  久保田万太郎

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季語|春深し(はるふかし)

晩春の季語 春深し

春闌く(はるたく)・春闌(はるたけなわ)

春深しの季語と俳句春も、桜が散りはじめた後。拾遺集に紀貫之で

春深くなりぬと思ふを桜花 散る木のもとはまだ雪ぞふる

とある。
春も半ばを過ぎると、様々な行事が一区切りし、寂しさが漂いはじめる。

【春深しの俳句】

まぶた重き仏を見たり深き春  細見綾子

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