季語|日傘(ひがさ・ひからかさ)

三夏の季語 日傘

パラソル(ぱらそる)

日傘の俳句と季語さしかけるタイプの傘は、西暦552年に百済から初めて渡来した(日本書紀)。雨傘としての用途ではなく、他人がさしかけるタイプの日傘であり、権力の象徴として用いられたと考えられている。
現代では、日傘を用いる習慣があるのは、ほぼ日本に限られている。パラソル(=日傘)の言葉があるフランスでは、19世紀ころに流行はあったが、現在では廃れた。古代には、権力の象徴として、世界各地で使用されている。
日傘の効用は、紫外線を遮ることと、暑さを和らげること。ビーチパラソルも日傘の一種で、晩夏の季語となるが、こちらは大型で地面に突き刺して用いる。
傘と笠は、語源が同じで、風雨などを遮るものの意とされている。「かざす(髪挿す)」の転訛か。

【日傘の俳句】

降るものは松の古葉や日傘  三宅嘯山

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季語|おでん

三冬の季語 おでん

おでん酒(おでんざけ)・関東炊(かんとうだき)

おでんの俳句と季語おでんは御田と表記する。元々は、豆腐料理である「田楽」を意味する女房言葉で、田楽は室町時代にはじまる料理である。江戸時代に入って、こんにゃくの田楽が登場し、オデンの略称で呼ばれるようになったとも言われる。
おでんのことを関東炊あるいは関東煮とも呼ぶが、上方で提供された「お座敷おでん」と、煮て食べる「焼かない田楽」とを区別するために用いられた、関西での呼び名であるとも言われている。やがてその関東煮も、関西風のアレンジがなされて、関西炊と呼ばれるおでんもできた。
現代のおでんの具材は、地域色豊かなものとなっており、静岡県の黒はんぺん、沖縄の豚足などが有名。

【おでんの俳句】

別るるに東京駅のおでんかな  岬雪夫

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季語|秋の日(あきのひ)

三秋の季語 秋の日

秋日(あきひ)秋の入日(あきのいりび)秋日和(あきびより)秋陽(あきひ・しゅうしょう)

秋の日の俳句と季語秋の一日のことであり、秋の太陽のことでもある。秋も深まるにつれ、暮れやすく、慌ただしく感じる。
加藤暁台の俳諧集に、蕉門の「冬の日」にならって編集された「秋の日」(1772年刊)がある。

▶ 関連季語 秋

【秋の日の俳句】

濃き秋日何かたのしくわからなく  星野立子

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季語|冬鳥(ふゆどり)

三冬の季語 冬鳥

冬の鳥(ふゆのとり)寒禽(かんきん)

冬鳥の俳句と季語冬に見られる鳥全般。鷹、鴨、都鳥、鶴、鴛鴦、千鳥、鳰、白鳥などは、そのまま冬の季語となる。寒雀、浮寝鳥、寒鴉、水鳥なども冬の季語。

【冬鳥の俳句】

庭に来て鳴く冬鳥の名を知らず  浅野敏夫

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季語|氷柱(つらら)

晩冬の季語 氷柱

垂氷(たるひ)

氷柱の俳句と季語俳諧歳時記栞草」に、佐保介我が「つらゝは、つらつらのつづまり。氷のすべる様を形容している」と言ったとある。根拠として、源氏物語の末摘花の

朝日さす軒のたるひはとけながら などかつららのむすぼゝるらむ

を載せる。古くは「つらら」は「氷」、「たるひ」は「氷柱」を指して、明確に区分されていたと考えられる。

夏の季語にも「氷柱」があるが、これは冷気を得るために立てて置く柱状の氷のことで、「ひょうちゅう」とも読むが、通常「こおりばしら」と読む。

【氷柱の俳句】

氷柱痩す刻のかけらを落しつぎ  渡邊千枝子

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季語|寒鯉(かんごい)

晩冬の季語 寒鯉

凍鯉(いてごい)

寒鯉の俳句と季語鯉は、中央アジア原産。日本の鯉は、史前帰化動物として古くから定着していたと考えられているが、琵琶湖などに棲むノゴイなどは日本列島在来種であるとも言われている。日本書紀景行天皇四年の美濃への御幸の条に、「鯉魚」を使って恋心を成就しようとした話があるが、このことから「鯉」を「コイ」と言うようになったという説もある。同時期に編集された万葉集に「鯉」は出てこない。
鯉の寿命は長く、70年に及ぶことも。国際自然保護連合では、世界の侵略的外来種ワースト100に選定し、生態系を乱し水質を悪化させる生物と見なしている。滝を登った鯉は龍になると言われ、そこから登龍門という言葉が生まれたが、実際には鯉は滝を登らない。冬場の鯉は、水底で動きも緩慢。

寒中の鯉は美味とされ、慶事・祝事の席などでもふるまわれてきた。中国や欧州でも古くから食材として利用されてきた。

【寒鯉の俳句】

寒鯉に力満ちきて動かざる  中嶋秀子

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季語|初冬(はつふゆ・しょとう)

初冬の季語 初冬

初冬の俳句と季語陰暦十月。冬のはじめ。

▶ 関連季語 冬

【初冬の俳句】

初冬のまた声放つ山の鳥  飯田龍太

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季語|蕎麦の花(そばのはな)

初秋の季語 蕎麦の花

花蕎麦(はなそば)

季語中国南部原産のタデ科ソバ属の一年草で、イネ科以外の穀類である。乾燥した冷涼な土地でも栽培が容易で、3カ月ほどで収穫できることから、救荒作物ともなる。播種の時期にもよるが、初秋に小さな白い花をつける。ただし、悪臭を放つ。
日本では、弥生時代以前から焼き畑農法で栽培されていたと考えられているが、万葉集にその名は見られない。また、古事記の須佐の男の命の条の穀物の起源神話においても、稲種、粟、小豆、麦、大豆は表れるものの、蕎麦の記述はない。ただし、これらの時代から栽培は奨励されていたことは伺われ、文化的位置付けが難しい穀物である。「ソバムギ」「クロムギ」と呼ばれていたことから、「麦」と同化したものとも考えられる。
「ソバ」とは、古語で尖ったものを表す。蕎麦の実が尖っていることから、蕎麦自体をも表す言葉となった。

【蕎麦の花の俳句】

蕎麦はまだ花でもてなす山路かな  松尾芭蕉

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季語|夏木立(なつこだち)

三夏の季語 夏木立

夏木(なつき)

夏木立の季語と俳句夏木立は、暑い夏の日ざしを遮る役目も果たす。「俳諧歳時記栞草」には、「新緑おひしげりたるさまを歌にもよむ也」とある。
江戸時代中期に雑俳様式の一つ「笠付(5文字の題に7・5を付けるもの)」を確立したとされる堀内雲鼓に、「夏木立」(1695年)という雑俳書がある。
与謝野晶子の「恋衣」(明治38年)に、

鎌倉や御仏なれど釈迦牟尼は 美男におわす夏木立かな

の歌が収められている。

【夏木立の俳句】

木啄も庵はやぶらず夏木立  松尾芭蕉
日のめぐみうれしからずや夏木立  堀内雲鼓

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季語|朝顔(あさがお)

初秋の季語 朝顔

牽牛花(けんぎゅうか・けんごか・あさがお)

季語(当盛十花撰・牽牛花)ヒルガオ科サツマイモ属の一年性植物。ヒマラヤ原産とも言われるがよく分かっていない。日本へは、奈良時代の遣唐使が、薬として持ち帰ったと言われており、その名が万葉集にも5首出てくる。ただし、万葉集におけるアサガオは、よみびと知らずで知られる

朝顔は朝露負ひて咲くといへ 夕影にこそ咲きまさりけり

に表れるように、夕方にも咲いていたと考えられることから、キキョウまたはムクゲだという説もあり、現代に言う朝顔は、平安時代に中国から渡来してきたとも言われている。

アサガオは「朝貌」とも書き、「朝の容貌」のことで「朝の美人」の意と言われるが、これはかつてのアサガオであるキキョウやムクゲのことを言ったものか。今に言うアサガオは、朝ごとに花を咲かせることをもって「朝顔」とする。
中国ではアサガオのことを「牽牛」と言うが、薬として高価な種を得るために、牛を引くほどの返礼をしたからだと言われている。このようにアサガオの花を「牽牛花」とも呼んでいたことから、アサガオの栽培が流行った江戸時代には織姫を指し、縁起物となった。七夕には、入谷鬼子母神に復活した朝顔市が、多くの人で賑わっている。晩夏から花をつけるが、七夕との縁から秋の季語となる。

上島鬼貫の「独ごと」(1718年)には「朝がほははかなき世のことはりをしらしめ、なさけしらぬ人すら仏にむかふ心をおこせば、しぼめる夕をこそ此花の心とやいはむ」とある。

【朝顔の俳句】

朝顔につるべとられてもらい水  加賀千代女

▶ 秋の季語になった花 見頃と名所

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