季語|凍る(こおる)

三冬の季語 凍る

凍つ(いつ)凍つる(いつる)・氷る(こおる)

凍る俳句と季語「こおる」が表面的であるのに対して、「しむ(凍む)」は奥まで深くこおってゆく語感をもつ。新古今集に載る藤原家隆の和歌

志賀の浦や遠ざかりゆく波間より凍りて出づる有り明けの月

は、後拾遺和歌集に載る快覚法師の

小夜ふくるままに汀や凍るらむ遠ざかりゆく志賀の浦波

の本歌取り。
語源に関して「こおる」は、「凝ふ(こふ)」と「和る(おる)」の合成により成立。「こほる」とすれば「毀る」ともなり、壊れることを表す。

【凍るの俳句】

流れたき形に水の凍りけり  高田正子

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季語|若葉(わかば)

初夏の季語 若葉

新緑(しんりょく)

若葉の季語生えたばかりの葉を言うが、若さ・新しさ・青さの象徴に用いられることもある季語。万葉集には見られず、一説には源氏物語での造語とも。源氏物語では玉鬘の歌として、

若葉さす野辺の小松を引き連れてもとの岩根を祈る今日かな

を載せる。

【若葉の俳句】

あらたうと青葉若葉の日の光  松尾芭蕉

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季語|河童忌(かっぱき)

晩夏の季語 河童忌

芥川忌(あくたがわき)・我鬼忌(がきき)・澄江堂忌(ちょうこうどうき)・龍之介忌(りゅうのすけき)

河童忌の俳句と季語7月24日。芥川龍之介(1892年3月1日~1927年7月24日)の忌日。河童忌は、1927年発表の短編「河童」に因む。澄江堂主人と号し、俳号は書斎の扁額「我鬼窟」に因んで我鬼とした。俳句は、1918年から高浜虚子の指導を受けた。

【河童忌の俳句】

河童忌の庭石暗き雨夜かな  内田百閒

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季語|牡丹(ぼたん)

初夏の季語 牡丹

ぼうたん・白牡丹(はくぼたん)・緋牡丹(ひぼたん)・牡丹園(ぼたんえん)・深見草(ふかみぐさ)・鎧草(よろいぐさ)

牡丹の俳句と季語花王とも呼ばれ、中国では古代よりもっとも親しまれてきた花である。隋の煬帝や、唐の則天武后が愛でたという伝説もある。根の樹皮は、「牡丹皮」として薬になる。日本には、天平時代に中国から入ってきたと見られている。李白は、楊貴妃を「花」として牡丹にたとえている。日本文学では「枕草子」に初出。古くは「ふかみ草」と言い、千載和歌集には賀茂重保の歌が載る。

人しれず思ふこころはふかみぐさ花咲きてこそ色に出でけれ

裏切りから身を滅ぼすことを指す「獅子身中の虫」という仏教用語があるが、牡丹の花の夜露はその薬となると言われ、獅子は牡丹の花から離れられない。それを基に、獅子に牡丹をあしらった芸術作品が数多く存在する。
「ボタン」は、漢語「牡丹」から来ている。接ぎ木で増やされたため「牡(オス)」の植物とみなされ、それに赤を表す「丹」をつけて表現された。つまり「赤い男」である。5月頃に見頃となるため、夏の季語となる。

【牡丹の俳句】

牡丹散て打かさなりぬ二三片  与謝蕪村
白牡丹といふといへども紅ほのか  高浜虚子

▶ 夏の季語になった花 見頃と名所

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季語|雪(ゆき)

晩冬の季語 

吹雪(ふぶき)雪しまき(ゆきしまき)しまき深雪(しんせつ・みゆき)・六花(ろっか・りっか・りくか)

雪の俳句と季語(三囲の夜雪)雪の結晶は、六角形を基本とすることから「六花」とも言い、様々な形状がある。温度が比較的高いと、平らな六角形の「角板」。温度が低くて湿度が低いと、柱状の六角形の「角柱」。温度が低くて湿度が高いと「針」となる。「初雪」は初冬の季語、「淡雪」「牡丹雪」は春の季語となる。
古くから、雪を見て豊穣を占い、大雪は豊作になると言われてきた。このことから、雪は神聖なものとしてとらえられ、物忌みを意味する「斎潔(ゆきよし)」に雪の語源があるといわれる。万葉集には、 山部赤人の有名な和歌

田子の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける

など、155首の歌を載せる。
「しまき」は「風巻」と書き、風が激しく吹き荒れることをいうが、特に粉雪が強風にあおられる様子を指す。

【雪の俳句】

酒のめばいとど寝られぬ夜の雪  松尾芭蕉
これがまあ終のすみかか雪五尺  小林一茶
いくたびも雪の深さをたずねけり  正岡子規
降る雪や明治は遠くなりにけり  中村草田男

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季語|冬の空(ふゆのそら)

三冬の季語 冬の空

冬空(ふゆぞら)・寒天(かんてん)・寒空(さむぞら・かんぞら)・冬天(とうてん)

冬の空の俳句と季語冬の空模様は、太平洋側と日本海側では大きく異なる。乾燥した日が続く太平洋側は晴天が多く、日本海側は雪になることが多い。

▶ 関連季語 冬

【冬の空の俳句】

去年のまゝ塀と冬空声もなし  秋元不死男

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季語|犬ふぐり(いぬふぐり)

初春の季語 犬ふぐり

いぬのふぐり・ひょうたんぐさ・おおいぬのふぐり

犬ふぐりの俳句と季語オオバコ科クワガタソウ属。3月から5月、淡いピンク色をした小花をつける。現在は、明治初年に入ってきたと見られる外来種のオオイヌノフグリが優勢で、イヌノフグリは絶滅危惧II類に指定されている。
イヌノフグリの名前は、果実の形状が雄犬の陰嚢に似ていることに由来するが、オオイヌノフグリの果実は形状を異にする。

【犬ふぐりの俳句】

犬ふぐりさみしき数をふやしけり  稲富義明

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

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季語|冬(ふゆ)

三冬の季語 

冬の日(ふゆのひ)冬うらら(ふゆうらら)冬眠(とうみん)冬籠り(ふゆごもり)冬籠(ふゆごもり)冬ざれ(ふゆざれ)冬ざるる(ふゆざるる)底冷え(そこびえ)・冷たし(つめたし)寒し(さむし)寒さ(さむさ)

冬の俳句と季語太陽暦では12月から2月まで、陰暦では10月から12月までを冬という。二十四節気では、立冬から立春の前日まで。語源は「冷ゆ(ひゆ)」にあるとする説が有力。
「芭蕉開眼の書」とも呼ばれる「冬の日」は、貞享元年(1684年)刊。「野ざらし紀行」の旅の折、名古屋で成る。

【冬の俳句】

冬すでに路標にまがふ墓一基  中村草田男
水枕ガバリと寒い海がある  西東三鬼

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季語|花薺(はななずな)

三春の季語 花薺

薺咲く(なずなさく)三味線草(しゃみせんぐさ)・ぺんぺん草(ぺんぺんぐさ)・薺の花(なずなのはな)

花薺春の七草のひとつ薺は、「」だけだと新春の季語。麦栽培の伝来と共に渡来した史前帰化植物と考えられている。平安時代後期、源俊頼の歌に現れたのが初出か。

君がため夜ごしにつめる七草のなづなの花を見てしのびませ

語源には諸説あるが、夏になると枯れてなくなることから、夏無(なつな)から来たとする説が有力である。生命力の強い植物であることから、「ぺんぺん草が生える」「ぺんぺん草も生えない」は、慣用句として使われる。

【花薺の俳句】

よく見れば薺花咲く垣根かな  松尾芭蕉
なづな咲きふり返りても風の音  岸田稚魚

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

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季語|葉桜(はざくら)

初夏の季語 葉桜

桜若葉(さくらわかば)

季語花がすっかり散って、若葉となったころの桜。蕊が落ちて新緑に覆われるまでの桜の木を指す。

▶ 関連季語 桜(春)

【葉桜の俳句】

葉ざくらや南良に二日の泊り客  与謝蕪村

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