萩(はぎ)

初秋の季語 

鹿鳴草(しかなぐさ・しかなきぐさ)・白萩(しらはぎ)

季語マメ科ハギ属。秋の七草のひとつで、7月から10月に紫や白などの花をつける。痩せた土地でも良く育つため、緑化資材としても用いられる。中秋の名月に、ススキ・月見団子と共に供える。
花札の7月札は、「萩に猪」。徒然草の第十四段に、「恐ろしき猪のししも、臥猪の床といへば、やさしくなりぬ」とあるように、邪気を払う植物として知られた「萩」は「臥猪の床」と呼ばれ、猛々しさを和らげるものと考えられた。

万葉集に萩を詠んだ歌は142首が知られており、花を詠んだ歌では最多となっている。中でも大伴旅人は

わが岡にさ男鹿来鳴く初萩の 花嬬問ひに来鳴くさ男鹿

と歌い、萩の花を鹿の妻に見立てている。
毎年古株から生えてくることから「生え木」が、萩の語源になっていると考えられている。漢字の「萩」は、「秋」に草冠をつけた国字。中国での「萩」は、ヨモギの類を指す。

一家に遊女もねたり萩と月  松尾芭蕉
行行てたふれ伏とも萩の原  河合曾良

インターネット歳時記

蕎麦の花(そばのはな)

初秋の季語 蕎麦の花

花蕎麦(はなそば)

季語中国南部原産のタデ科ソバ属の一年草で、イネ科以外の穀類である。乾燥した冷涼な土地でも栽培が容易で、3カ月ほどで収穫できることから、救荒作物ともなる。播種の時期にもよるが、初秋に小さな白い花をつける。ただし、悪臭を放つ。
日本では、弥生時代以前から焼き畑農法で栽培されていたと考えられているが、万葉集にその名は見られない。また、古事記の須佐の男の命の条の穀物の起源神話においても、稲種、粟、小豆、麦、大豆は表れるものの、蕎麦の記述はない。ただし、これらの時代から栽培は奨励されていたことは伺われ、文化的位置付けが難しい穀物である。「ソバムギ」「クロムギ」と呼ばれていたことから、「麦」と同化したものとも考えられる。
「ソバ」とは、古語で尖ったものを表す。蕎麦の実が尖っていることから、蕎麦自体をも表す言葉となった。

蕎麦はまだ花でもてなす山路かな  松尾芭蕉

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朝顔(あさがお)

初秋の季語 朝顔

牽牛花(けんぎゅうか・けんごか)

季語ヒルガオ科サツマイモ属の一年性植物。ヒマラヤ原産とも言われるがよく分かっていない。日本へは、奈良時代の遣唐使が、薬として持ち帰ったと言われており、その名が万葉集にも5首出てくる。ただし、万葉集におけるアサガオは、よみびと知らずで知られる

朝顔は朝露負ひて咲くといへ 夕影にこそ咲きまさりけり

に表れるように、夕方にも咲いていたと考えられることから、キキョウまたはムクゲだという説もある。

アサガオは「朝貌」とも書き、「朝の容貌」のことで「朝の美人」の意と言われるが、これはかつてのアサガオであるキキョウやムクゲのことを言ったものか。今に言うアサガオは、朝ごとに花を咲かせることをもって「朝顔」とする。
中国ではアサガオのことを「牽牛」と言うが、薬として高価な種を得るために、牛を引くほどの返礼をしたからだと言われている。このようにアサガオの花を「牽牛花」とも呼んでいたことから、アサガオの栽培が流行った江戸時代には織姫を指し、縁起物となった。七夕には、入谷鬼子母神に復活した朝顔市が、多くの人で賑わっている。

朝顔につるべとられてもらい水  加賀千代女

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泡立草(あわだちそう)

初秋の季語 泡立草

背高泡立草(せいたかあわだちそう)・代萩(だいはぎ)

季語キク科アキノキリンソウ属の多年草。日本にむかしから自生していた秋の麒麟草は、セイタカアワダチソウと同属。セイタカアワダチソウは北アメリカ原産で、日本には切り花用の観賞植物として明治時代末期に導入された。代萩とも呼ばれ、萩の代用として切り花や簾に用いる。日本の侵略的外来種ワースト100にもなり、その拡散が問題になっている。アメリカ軍の輸入物資についていた種子から広がったと見られているが、蜜源植物であることから、養蜂業者が全国に広めたとも言われている。
ハーブティーにしたり、若芽をてんぷらにするなどして利用することもある。
ブタクサとよく似ているが、ブタクサはキク科ブタクサ属。かつては花粉症の元凶と見られたこともあるが、セイタカアワダチソウの花粉は飛散しにくい。花粉症の原因となりやすいのは、ブタクサの方。

操車場泡立草が押し寄せて  大島民郎

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