カテゴリー: 季語
季語|寒紅(かんべに)
季語|臘八(ろうはつ・ろうはち)
季語|龍の玉(りゅうのたま)
三冬の季語 龍の玉
蛇の髯の実(じゃのひげのみ)・竜の髯の実(りゅうのひげのみ)
キジカクシ科ジャノヒゲ属ジャノヒゲの実のこと。「蛇の髯の実」「竜の髯の実」ともいう。万葉集に「山菅の実(やますげのみ)」として歌われているとの説があり、大伴坂上郎女の和歌に
山菅の実ならぬことを我れに寄せ 言はれし君は誰れとか寝らむ
がある。
全国の森林に自生する常緑の多年生草本で、病害虫などにも強く、グランドカバーとして庭などにもよく植えられる。「龍の玉」と呼ばれる実は、10月から3月頃まで見られる。
季語|東菊(あずまぎく)
季語|都忘れ(みやこわすれ)
晩春の季語 都忘れ
「都忘れ」とは、キク科シオン属ミヤマヨメナの園芸品種で、4月から6月頃に紫・桃・白などの花を咲かせる。野生種のミヤマヨメナ(深山嫁菜:別名に野春菊)は本州から九州に自生し、栽培され始めたのは江戸時代からだと考えられている。
「都忘れ」は不稔性で、株分けによって増殖させる。
「都忘れ」の名は、承久の乱の後に佐渡に流された順徳天皇が、この花を愛でながら都を忘れようとしたところから来ている。その順徳天皇の和歌に、
いかにして契りおきけん白菊を 都忘れと名付くるも憂し
がある。乱の中心人物であり、父である後鳥羽上皇が好んだ白菊への、複雑な感情が表れている。
【都忘れの俳句】
雑草園都忘れは淡き色 高浜年尾
季語|勿忘草(わすれなぐさ)
晩春の季語 勿忘草
勿忘草は、ムラサキ科ワスレナグサ属の植物の総称で、中でもシンワスレナグサのことを指すことが多い。ただし、園芸種でワスレナグサとして流通しているのは、ノハラワスレナグサの場合が多い。
ヨーロッパ原産で、日本には先ず、ノハラワスレナグサが明治時代に入ってきた。現在では野生化し、全国の湿地帯に広がって、4月から6月頃にさそり型花序の花をつける。
「勿忘草」の名は、中世ドイツの伝説から来ている。それによると、騎士ルドルフは恋人のためにドナウ川に咲くこの花を摘もうとしたが、川に飲み込まれた。流されながらも花を岸に投げ、「忘れないでくれ」と言って亡くなった。恋人は、墓にその花を捧げ、「Vergissmeinnicht(勿忘草)」の名をつけたという。欧米では友愛や誠実の象徴となっており、花言葉は「真実の愛」「私を忘れないで下さい」である。
【勿忘草の俳句】
シヤンソンを聴く薄明の勿忘草 きくちつねこ
季語|金鳳華(きんぽうげ)
晩春の季語 金鳳華
金鳳花(きんぽうげ)
金鳳華は、キンポウゲ科キンポウゲ属の花のことである。国内で一般的なのは同属のウマノアシガタであるが、ウマノアシガタの八重咲種には「キンポウゲ」の標準和名が与えられている。
ウマノアシガタは、全国の日当たりのよい山野に自生し、4月から6月頃に咲く。毒草である。
花を金色の鳳凰に見立てて名付けられたものであるが、「金鳳花」は、中国では鳳仙花の別名として通っている。
俳諧歳時記栞草(1851年)では春之部三月に「金鳳花」として立項し、「毛茛(もうこん)」「鬼の田芥子(おにのたがらし)」の別名を載せている。「毛茛」の「茛」は鳥兜の苗のことであり、鳥兜と同じく毒を持つことを言い表したものである。
【金鳳華の俳句】
あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ 種田山頭火
季語|茅花(つばな・ちばな)
仲春の季語 茅花
茅萱の花(ちがやのはな)
茅花は、イネ科チガヤ属チガヤの花の事。全国の草地に群生し、雑草として扱われることがある。4月から6月頃に、白い綿毛に包まれた花穂を出す。サトウキビの近縁種でもあり、花穂には甘みがある。昔は子供のおやつ代わりになった。
茅花の花穂をなびかせる風は「茅花流し」と呼んで、夏の季語になる。「茅萱」や「茅」は秋の季語になる。
万葉集には「茅花」を歌った和歌が4首あり、紀女郎が大伴家持に贈った和歌に
戯奴がためわが手もすまに春の野に 抜ける茅花ぞ食して肥えませ
それに応えた大伴家持の和歌に
我が君に戯奴は恋ふらし給りたる 茅花を食めどいや痩せに痩す
がある。
【茅花の俳句】
夕べ淋しさや茅花茅花の明り持つ 高田蝶衣
季語|苧環の花(おだまきのはな)
晩春の季語 苧環の花
糸繰草(いとくりそう)
苧環は、キンポウゲ科オダマキ属の植物のことであり、日本原産のミヤマオダマキと、ヨーロッパ原産の西洋オダマキに大別され、約70種がある。日本に自生するのはミヤマオダマキとヤマオダマキで、山野草として愛好されている。ミヤマオダマキを園芸用に改良した基準変種に「オダマキ」がある。4月から6月頃に花をつける。
花の形が麻糸(苧)を巻く「苧玉」に似ているところから「苧環」の名がついた。糸繰草とも呼ぶ。静御前が歌った「しづやしづ賤のおだまきくりかえし むかしをいまに なすよしもがな」の「おだまき」は、糸玉から糸を繰り出すことを歌ったものである。
【苧環の花の俳句】
をだまきの花もしじまのひとつにて 加藤楸邨