俳句

季語|梨の花(なしのはな)

晩春の季語 梨の花

梨花(りか・なしばな)梨咲く(なしさく)

梨の花バラ科ナシ属で、4月頃に白い花を咲かせる。「梨」とすると、実を指し、秋の季語となる。
梨の花には、独特のかすかな臭みがある。花言葉は「愛情」。

【梨の花の俳句】

馬の耳すぼめて寒し梨子の花  各務支考

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

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季語|春の暮(はるのくれ)

三春の季語 春の暮

春の夕(はるのゆう・はるのゆうべ)春夕べ(はるゆうべ)

春の暮の俳句と季語古くは春の終わりの意味で用いたが、現在では春の夕方の意味で用いることが多い。混乱を避けるために、春の終わりには「暮の春」という季語もある。ただ、松尾芭蕉の「鐘撞かぬ里は何をか春の暮」は、新古今和歌集の能因法師の和歌

山里の春の夕ぐれ来てみれば 入相の鐘に花ぞ散りけり

を本歌取りしたもの。

【春の暮の俳句】

春の暮家路に遠き人ばかり  与謝蕪村
ふる雨のおのづから春の夕かな  久保田万太郎

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季語|春深し(はるふかし)

晩春の季語 春深し

春闌く(はるたく)・春闌(はるたけなわ)

春深しの季語と俳句春も、桜が散りはじめた後。拾遺集に紀貫之で

春深くなりぬと思ふを桜花 散る木のもとはまだ雪ぞふる

とある。
春も半ばを過ぎると、様々な行事が一区切りし、寂しさが漂いはじめる。

【春深しの俳句】

まぶた重き仏を見たり深き春  細見綾子

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季語|巣立ち(すだち)

晩春の季語 巣立ち

巣立鳥(すだちどり)

巣立ちの季語と俳句初夏に分類することもある「巣立ち」。身近な鳥である雀や燕は、春から夏にかけて数度繁殖活動を行うため、巣立ちも春から夏にかけて数度ある。けれども現代では、年度替わりが含まれる日本の慣習に重ねて、「巣立ち」を春にイメージする傾向がある。

余談ではあるが、巣立ちのタイミングと生存率を調査した研究結果がある。それによると、はやく巣立ちした小鳥は、まだ成長が十分ではないために外敵などに襲われて死ぬ確率が高い。それに対して遅く巣立ちした個体は、生存率が高いという結果が示されている。
野鳥は我先に巣立つイメージがあるが、むしろ兄弟に追い出されるような形で巣立つものなのかもしれない。

【巣立ちの俳句】

其夜から雨に逢ひけり巣立鳥  小林一茶

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季語|片栗の花(かたくりのはな)

初春の季語 片栗の花

堅香子の花(かたかごのはな)

季語と俳句で片栗の花ユリ科カタクリ属に属する50年ほど生きる多年草で、万葉集に大伴家持が歌った

もののふの八十娘子らが汲み乱ふ 寺井の上の堅香子の花

の「堅香子(かたかご)」は片栗のことだと言われている。この「かたかご」が「かたかごゆり」となり、「かたくり」に転訛したと考えられている。
旧正月の頃に花をつけるため、初百合とも呼ばれる。ただし、山地では6月頃まで花は残っている。花は普通は紫であるが、シロバナカタクリと呼ばれる白色のものもある。ニリンソウなどとともに群生をつくり、「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」と呼ばれている。

カタクリは、春先から初夏の2か月ほどしか地上に現れず、一年の大半を土中の鱗茎として休眠する。そのため、花を咲かせるための栄養を蓄積するまでに時間がかかり、種子の発芽から花を咲かせるまでに10年近くの歳月を要する。
良く知られている片栗粉は、もともとはこの片栗の鱗茎を日干して抽出したもので、滋養など様々な薬効が知られていた。しかし採れる量が少ないため、現在ではそのほとんどがジャガイモなどから精製されており、薬効も認められない。

【片栗の花の俳句】

日をかけて咲く片栗の蔭の花  馬場移公子

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

季語|桜鯛(さくらだい)

晩春の季語 桜鯛

桜鯛の季語俳句ハタ科の海水魚にサクラダイがあるが、季語となるのは、真鯛。
桜が花盛りの頃、瀬戸内海などの内海沿岸では、産卵のために真鯛が集まってくる。繁殖期の雌の真鯛の体色は桜色に染まり、脂がのって旨いとされる。丁度、年度初めにも時期が重なるため、「めでたい」に掛けて縁起物として扱われる。
ブランド物として知られているものには、明石の鯛、鳴門鯛などがある。産卵が終わった鯛は、体色も落ち、「麦わら鯛」という。
俳諧歳時記栞草には、春之部三月に分類され、本朝食鑑の引用で「歌書に云、春三月、さくらの花ひらきて、漁人多くこれをとる。故に桜鯛と云」とあり、併せて「夫木和歌抄」藤原為家の

ゆく春のさかひの浦のさくらだひ あかぬかたみにけふや引らん

を載せる。

【桜鯛の俳句】

桜鯛かなしき目玉くはれけり  川端茅舎

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季語|春燈(しゅんとう)

三春の季語 春燈

春の灯(はるのひ)春灯(はるともし)春の燭(はるのしょく)

季語と俳句の春燈日が伸びゆく中に明りを灯せば、明るく艶やかなイメージが広がる。和歌では、玉葉和歌集の藤原定家に

山の端の月まつ空の匂ふより 花にそむくる春のともし火

がある。
また、安住敦と大町糺が久保田万太郎を主宰として創刊した俳句誌に「春燈」があり、創刊の辞には「いくら苦しくなつても、たとへば、夕霧の中にうかぶ春の灯は、われわれにしばしの安息をあたへてくれるだらう」とある。

【春燈の俳句】

春の灯のあるひは暗くやはらかく  久保田万太郎
春燈消すやいよいよ眠れぬ夜  大野朱香

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季語|弥生(やよい)

晩春の季語 弥生

弥生の季語と俳句陰暦三月のことであるが、新暦3月の別名としても用いる。俳諧歳時記栞草に、奥儀抄の引用で「此月をやよひと云ことは、春至りて萌出たる草の、この月いよいよ生れば、いやおひ月と云を、やよひとは云也」とある。

【弥生の俳句】

終日の雨めづらしき弥生かな  伊藤信徳

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季語|仲春(ちゅうしゅん)

仲春の季語 仲春

春なかば

仲春の季語と俳句陰暦二月。啓蟄から春分まで。七十二候では、蟄虫啓戸・桃始笑・菜虫化蝶・雀始巣・桜始開・雷乃発声。

【仲春の俳句】

仲春や庭の撩乱古机  松根東洋城

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季語|春風(はるかぜ・しゅんぷう)

三春の季語 春風

春の風(はるのかぜ)

季語の春風と俳句春一番も春風であり、春風は時に恐ろしいものであるが、季語で「春風」を用いる時には、「春風駘蕩」の言葉もあるように、のどかなあたたかさが強調される。また、「風光る」などの季語もあるように、春の風は心を躍らせるものを内包している。
万葉集には「春風」として歌われた和歌が2首あり、大友家持は

春風の音にし出なばありさりて 今ならずとも君がまにまに

と歌った。

【春風の俳句】

春風にこぼれて赤し歯磨粉  正岡子規
春風や闘志抱きて丘に立つ  高浜虚子
ドア開いてゐれば出て見る春の風  稲畑汀子

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