俳句

季語|若鮎(わかあゆ)

晩春の季語 若鮎

上り鮎(のぼりあゆ)・鮎の子(あゆのこ)

若鮎の俳句と季語冬場に海で育った稚鮎は、3月頃から川を遡上する。「若鮎」はまた、清々しい若さの比喩ともなる。

▶ 関連季語 鮎(夏)

【若鮎の俳句】

若鮎の二手になりて上りけり  正岡子規

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季語|落鮎(おちあゆ)

三秋の季語 落鮎

錆鮎(さびあゆ)秋の鮎(あきのあゆ)

落鮎の俳句と季語秋は鮎の産卵期。体は鉄錆のような色となり、川を下って産卵地である河口へと向かい、一生を終える。なお、雌の中には越冬する個体もあるという。

▶ 関連季語 鮎(夏)

【落鮎の俳句】

落ち落ちて鮎は木の葉となりにけり  前田普羅

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季語|鮎(あゆ)

三夏の季語 

年魚(ねんぎょ)・香魚(こうぎょ)

鮎の俳句と季語キュウリウオ目に分類されるアユは、成魚は川で生活し、稚魚は海で生活する。秋に川を下って河口域に産卵し、孵化して5㎝程度に育ったアユは、春に川を遡上する。石についた藻類を食べることにより独特の香りを放ち、香魚とも呼ばれる。また、一年で一生を終えることから年魚とも呼ばれる。水産資源保護の観点から、11月から5月は禁漁になる。

古くから親しまれてきた魚で、古事記の神功皇后条には、卯月上旬に筑紫の末羅県の玉島の里の小河(佐賀県唐津市の玉島川)で、「年魚」釣りを行ったとある。日本書紀にはさらに、アユを「細鱗魚」と表し、その釣りにより新羅遠征を占ったとある。このことからアユに「鮎」の字が当てられたと見られるが、奈良時代までの「鮎」は、中国同様ナマズを指す漢字だったと言われている。万葉集には8種の魚が登場するが、中でもアユは、最多の16首が詠まれている。大伴旅人を中心とした「松浦河に遊ぶ」と題された歌群には、神功皇后以来の末羅県(松浦)における鮎釣りの行事が詠み込まれている。

松浦川川の瀬光り鮎釣ると 立たせる妹が裳の裾濡れぬ

なお、アユの語源は、神前に供える食物「饗(あえ)」にあるとする説が有力。

「鮎」では、6月1日の鮎漁解禁の日を含む夏の季語となるが、「若鮎」は春の季語、「錆鮎」は秋の季語となる。

【鮎の俳句】

かくぞあれ鮎に砂かむ夜べの月  炭太祇

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季語|時雨忌(しぐれき)

初冬の季語 時雨忌

芭蕉忌(ばしょうき)翁忌(おきなき)・桃青忌(とうせいき)・芭蕉会(ばしょうえ)・翁の日(おきなのひ)

時雨忌の俳句と季語(芭蕉肖像真蹟)陰暦10月12日。俳聖・松尾芭蕉の忌日。元禄7年(1694年)10月12日に、大坂御堂筋の花屋仁左衛門の貸座敷でその生涯を閉じた。遺骸は近江の義仲寺に運ばれ、木曾義仲の墓の隣に葬られた。死の4日前に詠んだ

旅に病んで夢は枯れ野をかけめぐる

が最後の句となり、これを辞世と見る向きもある。

はせを忌と申すもたつた一人かな  小林一茶

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季語|時雨(しぐれ)

初冬の季語 時雨

時雨るる(しぐるる)初時雨(はつしぐれ)

時雨の俳句と季語冬の初めの通り雨。昼夜を問わない。「しばし暗き(しばし暮れる)」を語源にするとの説がある。涙ぐむこともまた「しぐれる」という。万葉集にも「時雨」を詠み込んだ歌は9首ある。橘奈良麻呂の

十月時雨にあへる黄葉の 吹かば散りなむ風のまにまに

など、全てが黄葉(紅葉)とともに歌われたものである。
陰暦10月12日に没した松尾芭蕉の忌日は「時雨忌」という。

【時雨の俳句】

人々をしぐれよ宿は寒くとも  松尾芭蕉
しぐるるや駅に西口東口  安住敦

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季語|コスモス(こすもす)

仲秋の季語 コスモス

秋桜(あきざくら)

コスモスの俳句と季語メキシコ原産、キク科の一年草。メキシコからスペインに渡り、コスモスと名づけられた。日本には明治12年に、イタリアから渡来。コスモスとは、ギリシャ語で秩序ある世界の意味で、宇宙を表す。「秋桜」の表記は、さだまさし作詞作曲の「秋桜」で初めて用いられた。花言葉は「真心」。

【コスモスの俳句】

コスモスの君と言はれし人思ふ  山口青邨

▶ 秋の季語になった花 見頃と名所

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季語|狗尾草(えのころぐさ・えのこぐさ)

三秋の季語 狗尾草

犬ころ草(いぬころぐさ)・猫じやらし(ねこじゃらし)ゑのこ草(えのこぐさ)

狗尾草の俳句と季語イネ科。語源は、小犬の尾に似ているところから。「イヌコロ」は、「犬来よ」から来ているとの説もある。

寛弘3年(1006年)、阿波の鳴門が鳴動し天変地異が起こった折、横山八幡宮神官が鳴門に赴き

山畠に作りあらしのえのこ草 粟のなるとは誰かいふらむ

と詠じると、元の静かな海に戻ったという。これを喜んだ帝に召された神官は、

我が国に年経し宮の古ければ 御幣の串の立つところなし

と応えると、帝は「宮の古ければ」の一節をとり、横山八幡宮一帯を「宮古」の地名に改めたという。

【狗尾草の俳句】

夢いくつ見て男死ぬゐのこぐさ  能村登四郎

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季語|行く秋(ゆくあき)

晩秋の季語 行く秋

行く秋の俳句と季語春と秋にはそれぞれに「行く~」という季語があり、季節を惜しむ。新古今和歌集に権中納言兼宗の

ゆく秋の形見なるべきもみぢ葉も 明日はしぐれと降りやまがはむ

がある。

▶ 関連季語 秋

【行く秋の俳句】

蛤のふたみにわかれ行秋ぞ  松尾芭蕉
行く秋の我に神無し仏無し  正岡子規

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季語|葵(あおい)

仲夏の季語 

立葵(たちあおい)

立葵アオイ目アオイ科の植物には、タチアオイ、ムクゲ、ハイビスカス、フヨウのほか、オクラやワタにいたるまで、多くの種類がある。日本には、タチアオイが薬用として古くから渡来していたと考えられている。万葉集にはよみびと知らずの歌として、

梨棗黍に粟つぎ延ふ葛の 後も逢はむと葵花咲く

がある。また、新古今和歌集では式子内親王が、

忘れめやあふひを草に引き結び かりねの野べの露のあけぼの

と歌ったが、ここでは「葵=あふひ」を「逢う日」に掛けている。
尚、葵の語源は、「仰ぐ日」である。これは、太陽に向かって花を咲かせるところから来ている。徳川家の家紋は「葵の御紋」と呼ばれ、三つ葉葵で知られている。

【葵の俳句】

葵草むすびて古きあそびかな  三浦樗良

▶ 夏の季語になった花 見頃と名所

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季語|秋草(あきくさ)

三秋の季語 秋草

秋の草(あきのくさ)千草(ちぐさ)色草(いろくさ)

秋草の俳句と季語一年を通じ、様々な季語となってあらわれる「草」。中でも秋は、草が最も印象的な季節。「草の花」「草の実」もまた秋の季語となり、生い茂る夏には名前も分からなかった草が、この季節になって種類ごとの特徴を明らかにする。

毎年腐っていくことから、「腐る」が元になっているなどの語源説があるが、明らかではない。古くから、人の増える様は、草にたとえられてきた。古事記では「青人草」といい、神々の父神イザナギは「汝、吾を助けしがごと、葦原中国にあらゆる現しき青人草の、苦き瀬に落ちて、患い悩む時に助くべし」と、オオカムヅミに命じた。旧約聖書にも人を「草」にたとえる表現が見られる。また、「種」を「くさ」と読ませて、物事の原因をいう。
万葉集には石川賀係女郎の秋草の和歌がある。

神さぶといなにはあらず秋草の 結びし紐を解くは悲しも

古くは、草を結んで願をかけるという風習があった。時代を下ると、草を結び枕にしたことから、「草を結ぶ」ということは野宿をすることの意に用いられてきた。

【秋草の俳句】

秋草のすぐ萎るるをもてあそび  中村汀女
名は花にさだまる秋の小草かな  勝見二柳

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