俳句

季語|秋草(あきくさ)

三秋の季語 秋草

秋の草(あきのくさ)千草(ちぐさ)色草(いろくさ)

秋草の俳句と季語一年を通じ、様々な季語となってあらわれる「草」。中でも秋は、草が最も印象的な季節。「草の花」「草の実」もまた秋の季語となり、生い茂る夏には名前も分からなかった草が、この季節になって種類ごとの特徴を明らかにする。

毎年腐っていくことから、「腐る」が元になっているなどの語源説があるが、明らかではない。古くから、人の増える様は、草にたとえられてきた。古事記では「青人草」といい、神々の父神イザナギは「汝、吾を助けしがごと、葦原中国にあらゆる現しき青人草の、苦き瀬に落ちて、患い悩む時に助くべし」と、オオカムヅミに命じた。旧約聖書にも人を「草」にたとえる表現が見られる。また、「種」を「くさ」と読ませて、物事の原因をいう。
万葉集には石川賀係女郎の秋草の和歌がある。

神さぶといなにはあらず秋草の 結びし紐を解くは悲しも

古くは、草を結んで願をかけるという風習があった。時代を下ると、草を結び枕にしたことから、「草を結ぶ」ということは野宿をすることの意に用いられてきた。

【秋草の俳句】

秋草のすぐ萎るるをもてあそび  中村汀女
名は花にさだまる秋の小草かな  勝見二柳

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季語|火恋し(ひこいし)

晩秋の季語 火恋し

火恋しの季語と俳句秋の深まりとともに、火の気が恋しくなってくる。
暖房設備の充実や環境保全などの理由から、火を焚いて暖を取ることは少なくなったために、絶滅危惧種に指定されてもおかしくない季語である。

【火恋しの俳句】

歩みとどめればたちまち火の恋し  檜紀代

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季語|冬の雨(ふゆのあめ)

三冬の季語 冬の雨

冬雨(とうう・ふゆさめ)

冬の雨の俳句と季語同じ冬の雨でも、降ったりやんだりの時雨は初冬の季語となる。

▶ 関連季語 冬

【冬の雨の俳句】

さびしさは垂井の宿の冬の雨  永田舟泉
冬雨やうらなふことを好むさが  鈴木しづ子

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季語|後の月(のちのつき)

晩秋の季語 後の月

十三夜(じゅうさんや)・名残の月(なごりのつき)・豆名月(まめめいげつ)栗名月(くりめいげつ)

後の月の俳句と季語仲秋の名月から約1カ月後の陰暦9月13日夜の名月。満月の二日前に欠けた月を愛で、仲秋の名月だけを愛でることを「片見月」として忌む。仲秋の名月を芋名月というのに対し、豆名月・栗名月と呼び、豆や栗を供える。平安時代にはすでに行われていた、日本独自の風習。「十三夜に曇りなし」と言われ、晴天になることが多い。「芭蕉庵十三夜」(貞亨5年9月13日)に、「木曽の痩せもまだなほらぬに後の月」の句とともに、

仲秋の月は、更科の里、姨捨山になぐさめかねて、なほあはれさの目にも離れずながら、長月十三夜になりぬ。今宵は、宇多の帝のはじめて詔をもて、世に名月と見はやし、後の月、あるは二夜の月などいふめる。これ、才士・文人の風雅を加ふるなるや。閑人のもてあそぶべきものといひ、且つは山野の旅寝も忘れがたうて、人々を招き、瓢をたたき、峰の笹栗を白鴉と誇る。隣の家の素翁、丈山老人の「一輪いまだ満たず二分かけたり」といふ唐歌はこの夜折にふれたりと、たづさへ来たれるを、壁の上に掛けて草の庵のもてなしとす。狂客なにがし、「白良・吹上」と語りいでければ、月もひときははえあるやうにて、なかなかゆかしき遊びなりけらし。

とある。宇多天皇(887年~897年)の命ではじまった慣習であるとの見方がある。なお芭蕉は、新勅撰和歌集に載る能因法師の

さらしなや姨捨山に旅寝して今宵の月を昔みしかな

にインスピレーションを受けたか。


▶ 関連季語 名月(秋)

【後の月の俳句】

片付けて机つめたき十三夜  細井みち
木曽の痩せもまだなほらぬに後の月  松尾芭蕉

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季語|凍港(とうこう)

三冬の季語 凍港

凍港の俳句と季語凍てついた港。日本では、港が完全に凍ってしまうことは稀であるが、特にロシアにとっては港が凍ってしまうことは重要問題であり、不凍港を求めて南下したとも言われている。大きな港には砕氷船が置かれる。

山口誓子の1932年に刊行された第一句集は、「凍港」と名付けられている。

【凍港の俳句】

凍港や旧露の街はありとのみ  山口誓子

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季語|行春(ゆくはる)

晩春の季語 行春

行く春(ゆくはる)・春の名残(はるのなごり)・春の果(はるのはて)・春尽(しゅんじん)・春尽く(はるつく)

行春の季語と季語過ぎ去ろうとしている春。拾遺和歌集には紀貫之の

花もみな散りぬる宿はゆく春のふる里とこそなりぬべらなれ

が載る。

▶ 関連季語 桜(春)

【行春の俳句】

行春や鳥啼魚の目は泪  松尾芭蕉

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季語|臘梅(ろうばい)

晩冬の季語 臘梅

臘梅の俳句と季語クスノキ目ロウバイ科ロウバイ属に属する中国原産の落葉樹。バラ目バラ科のウメとは別種。古くはカラウメと呼び、中国(唐)から来たという意味である。日本には、江戸時代初期に渡来したと考えられている。中国での呼び名「臘梅(ラーメイ)」が日本名のもとになったと考えられるが、これは、1月頃に咲く花が蝋細工ににているところから来ているとも、臘月(旧暦12月)に花を咲かせるところから来ているとも言われている。中国では、ウメ・ツバキ・スイセンとともに「雪中の四花」とされる。匂いが良い。

【臘梅の俳句】

臘梅を無口の花と想ひけり  山田みづえ

▶ 冬の季語になった花 見頃と名所

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季語|春蝉(はるぜみ・しゅんせん)

晩春の季語 春蝉

春の蝉(はるのせみ)松蝉(まつぜみ)

春蝉の俳句と季語日本で知られる春蝉は、ハルゼミとエゾハルゼミであるが、俳句に詠まれてきたのは主にハルゼミの方で、こちらは松林に生息するため、松蝉の異名もある。そのハルゼミは、4月末から6月にかけて「ジーッ・ジーッ」と、波が押し寄せるように集団で鳴く。

【春蝉の俳句】

春蝉の声引き潮の音もなく  臼田亞浪

【ハルゼミの鳴き声】
本州・四国・九州に分布する。4月末から6月にかけて、松林の比較的高いところにとまってオスが合唱する。(YouTube 動画)

【エゾハルゼミの鳴き声】
北海道から九州まで生息するが、西に行くほど高山に分布する。5月から7月にかけて、ブナ林などで鳴いている。(YouTube 動画)

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季語|花筏(はないかだ)

晩春の季語 花筏

花筏の俳句と季語モチノキ目の落葉低木に、葉面の中央部に淡緑色の花をつける同名の植物があり、春の季語となる。通常、花筏と言えば、桜の花びらが水面に舞い落ちて、塊となっている様を言う。

▶ 関連季語 桜(春)

【花筏の俳句】

花筏置きざりに川流れゆく  きくちつねこ

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季語|春の夜(はるのよ)

三春の季語 春の夜

春の闇(はるのやみ)

春の夜の俳句と季語気持ちが高揚してくる春の夜ではあるが、小倉百人一首にも載る周防内侍の

春の夜の夢ばかりなる手枕にかひなく立む名こそをしけれ

のように、はかない夢に結び付けられることがしばしばある。

▶ 関連季語 春

【春の夜の俳句】

春の夜は桜に明けてしまひけり  松尾芭蕉
をみなとはかかるものかも春の闇  日野草城

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