初冬(はつふゆ・しょとう)

初冬の季語 初冬

季語陰暦十月。冬のはじめ。

▶ 関連季語 冬

初冬のまた声放つ山の鳥  飯田龍太



時雨忌(しぐれき)

初冬の季語 時雨忌

芭蕉忌(ばしょうき)翁忌(おきなき)・桃青忌(とうせいき)・芭蕉会(ばしょうえ)・翁の日(おきなのひ)

季語陰暦10月12日。俳聖・松尾芭蕉の忌日。元禄7年(1694年)10月12日に、大坂御堂筋の花屋仁左衛門の貸座敷でその生涯を閉じた。遺骸は近江の義仲寺に運ばれ、木曾義仲の墓の隣に葬られた。死の4日前に詠んだ

旅に病んで夢は枯れ野をかけめぐる

が最後の句となり、これを辞世と見る向きもある。

はせを忌と申すもたつた一人かな  小林一茶



時雨(しぐれ)

初冬の季語 時雨

時雨るる(しぐるる)初時雨(はつしぐれ)

季語冬の初めの通り雨。昼夜を問わない。「しばし暗き(しばし暮れる)」を語源にするとの説がある。涙ぐむこともまた「しぐれる」という。万葉集にも「時雨」を詠み込んだ歌は9首ある。橘奈良麻呂の

十月時雨にあへる黄葉の 吹かば散りなむ風のまにまに

など、全てが黄葉(紅葉)とともに歌われたものである。
陰暦10月12日に没した松尾芭蕉の忌日は「時雨忌」という。

人々をしぐれよ宿は寒くとも  松尾芭蕉
しぐるるや駅に西口東口  安住敦



凩(こがらし)

初冬の季語 

木枯らし(こがらし)木枯(こがらし)

季語初冬の寒風は、木々をも枯らすと言われる。元禄3年(1690年)「新撰都曲」に載った「木枯の果はありけり海の音」は評判を呼び、池西言水は「木枯の言水」と呼ばれている。なお、この句の「海」は琵琶湖、「木枯」は比叡颪である。この句から派生したと見られる、山口誓子の「海に出て木枯らし帰るところなし」も秀句として知られる。

木枯の果はありけり海の音  池西言水
海に出て木枯らし帰るところなし  山口誓子



神無月(かんなづき)

初冬の季語 神無月

神有月(かみありづき)神の留守(かみのるす)神の旅(かみのたび)・神迎(かみむかえ)・神還(かみかえる)

季語旧暦十月は、全国の神様が大国主が祀られる出雲大社に集結するとされ、神様が留守になることから神無月という。反対に出雲では神有月、神在月という。出雲大社では、縁結びの相談が行われているという。平安時代には既に定着していた説であるが、本来は「神の月」という意味の「神な月」から来ていると言われている。馬琴の俳諧歳時記栞草には、荷田東麻呂翁の「雷無月」が語源という説も載せる。

風寒し破れ障子の神無月  山崎宗鑑



帰り花(かえりばな)

初冬の季語 帰り花

返り花(かえりばな)帰咲(かえりざく)・狂咲(くるいざき)・狂花(くるいばな)・忘花(わすればな)・二度咲(にどざき)

季語桜に限らず、桃やツツジなど、11月頃に季節を違えて咲く花をいう。身請けされた遊女が再び勤めに出ることもまた「帰り花」という。

散った花がその年のうちにもう一度花をつける様を、帰ってきたと見なす。

かへり花暁の月にちりつくす  与謝蕪村
帰り咲く八重の桜や法隆寺  正岡子規



冬紅葉(ふゆもみじ)

初冬の季語 冬紅葉

残る紅葉・紅葉散る・散紅葉

季語葉緑素がなくなりアントシアンなどの色素が蓄積して起こる、葉の赤変や黄変。代表は楓。紅葉することを「もみづ」という。
紅葉するという意の「もみつ」が、平安時代以降濁音化して「もみづ」となり「もみじ」の語源になったと言われている。尚、「もみつ」は染色に関わる言葉で、「揉み出づ」のこと。ベニバナを揉んでで染め上げた絹織物のことを、紅絹(もみ)といった。

冬紅葉冬のひかりをあつめけり  久保田万太郎