仲夏の季語 アマリリス
ヒガンバナ科ヒッペアストラム属の植物の総称。多年草で、冬には枯れて地上部がなくなる。中南米原産で、4月から6月頃、百合に似た白・赤・ピンク・黄色などの花を咲かせる。
ただし本来のアマリリスは、南アフリカ原産のヒガンバナ科ホンアマリリス属の「ベラドンナ」である。ヒッペアストラム属のアマリリスは開花時に葉があるのに対し、ベラドンナは葉をつけない。こちらは初秋に花を咲かせるので、夏の季語となる「アマリリス」の範疇からは外れてしまう。
ヒッペアストラム属の「アマリリス」は、 江戸時代末期(天保年間)に3種が渡来しており、金山慈姑(きんさんじこ)・咬吧水仙(じゃがたらずいせん)・紅筋山慈姑(べにすじさんじこ)の名がついた。
アマリリスとは、ギリシャ神話に出てくる羊飼いの少女の名前で、少年アルテオの心を射止めるために、自らの血で咲かせた花を贈ったという。
1968年2月にNHK「みんなのうた」で紹介された楽曲に「アマリリス」があるが、これはフランス国王ルイ13世が作ったとされる楽曲「アマリリス」を元にしている。
【アマリリスの俳句】
病室の隅の未明やアマリリス 石田波郷
ウエートレス昼間は眠しアマリリス 日野草城

シソ科アキギリ属サルビアは、ブラジル原産で明治時代に渡来した。本来は多年草であるが、寒さに弱いため、日本では一年草となる。花期は5月から10月にわたり、秋の季語に分類されることもある。公園の花壇によく植えられ、赤い花を咲かせるが、白や紫の品種もある。
椎は、ブナ科クリ亜科シイ属の常緑広葉樹の総称で、日本にはスダジイとツブラジイが自生している。マテバシイ属のマテバシイの花も「椎の花」として詠んで差し支えないが、通常、「椎」と言った場合「スダジイ」を指す。
ツツジ目エゴノキ科エゴノキ属エゴノキは日本原産で、全国の雑木林に自生していたり、庭木として植えられていたりする。
ヤシ目ヤシ科シュロ属の植物の総称が「シュロ」であるが、「棕櫚の花」は、日本各地で見られる「ワジュロ(和棕櫚)」を詠むことが多い。ワジュロは日本原産とも、平安時代に中国から持ち込まれ九州に定着したとも言われ、現在では東北地方でも栽培されている。
モチノキ科モチノキ属モチノキは常緑広葉樹で、4月から5月頃に黄緑色の小花をつける。日本を含む東アジア原産で、本州から南西諸島に分布する。
ケシ科ケシ属ヒナゲシ。4月から7月頃に花が咲く。ヨーロッパ原産で、フランスやポーランドでは国花ともなっている。
キク類ツツジ目カキノキ科カキノキ属カキノキ。中国揚子江沿岸原産で、日本では野生種であるヤマガキから果樹として改良されたと考えられている。果実は「
ミソハギ科ザクロ属に分類される植物の花。5月下旬から6月にかけて、オレンジ色の花をつける。秋に結実する硬い実が柘榴の象徴になっているが、6月に花をつける「ハナザクロ」という八重咲きの園芸品種は結実しない。「ザクロ」「ハナザクロ」ともに、その花は「花柘榴」で、夏の季語となる。