俳句

季語|冬館(ふゆやかた)

三冬の季語 冬館

冬館の俳句と季語主に、どっしりとした感じの洋風家屋について言う。

【冬館の俳句】

鳥影や遠き明治の冬館  角川源義

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季語|ふくら雀(ふくらすずめ)

晩冬の季語 ふくら雀

寒雀(かんすずめ)冬雀(ふゆすずめ)・凍雀(いてすずめ)

ふくら雀の俳句と季語(玉洲習画帖)スズメ目スズメ科スズメ属のスズメは、ヒトの生活に隣接するように生息しており、「ちゅんちゅん」という鳴き声は、都会から農村まで聞くことが出来る。「舌切り雀」などの童話にも登場し、稲の害鳥として認識されるが、雑食性であり稲の害虫をも食す。
冬の雀は、餌を求めて地上に降りることが多くなる。群れを成して暖をとる姿は、夏場の雀よりも膨らんで見え、ふくら雀と呼ばれる。寒雀と言った場合は、かつて、美味で滋養に富むとして食されていた、食鳥としての雀を指していた。

スズメは、「雀の涙ほど」などのように、少ないことを表すために譬えられることもある。スズメの語源は、小さいものを表す「ササ」に、群れをなすことを指す「メ」を付け加えたところにあると考えられている。

【ふくら雀の俳句】

脇へ行くな鬼が見るぞよ寒雀  小林一茶

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季語|落椿(おちつばき)

三春の季語 落椿

落椿の俳句と季語散り落ちた椿の花。

▶ 関連季語 椿(春)

【落椿の俳句】

落椿ふむ外はなき径かな  富安風生

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季語|椿(つばき)

三春の季語 椿

山茶(さんちゃ)・山椿(やまつばき)

椿の俳句と季語(生写四十八鷹じゆりん椿)ツバキ科ツバキ属の常緑樹で、冬から春に花をつける。普通に見られるヤブツバキは、日本原産。同じツバキ属の山茶花は花びらがひとつひとつ散っていくのに対し、椿は花ごと落花するため、病床では厭われる。首が落ちるような落花の様を武士が嫌っていたというのは俗説で、武士は、その潔さを愛でた。江戸時代には特に二代将軍徳川秀忠が好んだことから、ユキツバキなどと掛け合わせる品種改良が盛んに行われ、花だけでなく葉や枝も観賞対象とした。
椿の木をヨーロッパに持ち帰った宣教師カメルに因み、西洋では「カメリア」の名で知られている。1848年には、フランスのアレクサンドル・デュマ・フィスが小説「椿姫」を書き上げ、現在まで世界各地で舞台公演・映画化が行われている。

椿の種子から採取する椿油は燃料油にするなど、様々な用途があるが、特に整髪料としては有名で高価。縁結びに御利益があると言われる島根県の八重垣神社は、夫婦椿こと「連理の椿」があることでも知られているが、資生堂の花椿マークは、この八重垣神社にある椿をモチーフにしている。なお、八重垣神社の御祭神は、ヤマタノオロチ伝説で知られる素盞嗚尊(スサノオノミコト)と櫛稲田姫(クシナダヒメ)である。和歌のはじめとされる「八雲立つ出雲八重垣妻込みに八重垣造る其の八重垣を」に因む神社である。
椿には神霊が宿るという伝承があり、椿の古木は化けると言われている。また、人魚の肉を食べて800歳まで若さを保ったとされる八百比丘尼は、椿の花を持って全国行脚したとされる。
万葉集には椿の歌が9首あり、坂門人足は

巨勢山のつらつら椿つらつらに 見つつ思はな巨勢の春野を

と歌った。この歌をはじめとして、万葉集には、列をなした椿をつらつら見る「列々椿」の歌が2首ある。

「つばき」の語源は、光沢のある葉を成す木のことを指した艶葉樹(つやばき)とされる。なお、「椿」の字を当てるのは日本独自のものであり、中国では「海石榴」である。中国で「椿」は、チャンチンというセンダン科の植物のことである。

【椿の俳句】

赤い椿白い椿と落ちにけり  河東碧梧桐

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

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季語|百舌鳥(もず)

三秋の季語 百舌鳥

鵙(もず)

百舌鳥の季語と俳句スズメ目モズ科モズ属。日本では通年生息するが、秋季に南下するものがある。様々な鳥の鳴き声を真似ることから、百舌鳥の字が当てられる。秋季には縄張り争いのために、「キー、キー」と鋭い声で鳴く「高鳴き」が街中でも目立つため、秋を代表する鳥のひとつとなっている。
動物食で、捕らえた獲物を木の枝等に突き刺す「鵙のはやにえ」でも知られている。これは、冬の食糧確保との説もあるが定かではない。

古くから親しまれてきた鳥と見られ、国内最大の大仙陵古墳は、別名「百舌鳥耳原中陵」として仁徳天皇陵に当てられている。古事記に、その地名を「毛受(もず)」という。万葉集には、詠み人知らずで2首が載る。

春さればもず(伯勞鳥)の草ぐき見えずとも 我れは見やらむ君があたりをば
秋の野の尾花が末に鳴くもず(百舌鳥)の 声聞きけむか片聞け我妹

俳諧歳時記栞草に、歌林良材集からの引用で「鵙の草茎」つまり速贄のことが載る。それによると、鵙は時鳥の沓ぬいであるが、沓手を返さずに代わりとして置いたものが速贄だという。
絵画では、宮本武蔵の枯木鳴鵙図がよく知られている。また、サトウハチロウ作詞の童謡「ちいさい秋みつけた」にも登場し、日本人にとっては秋から冬にかけて親しまれる鳥となっている。

【百舌鳥の俳句】

鵙の声かんにん袋破れたか  小林一茶

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季語|木瓜の花(ぼけのはな)

晩春の季語 木瓜の花

更紗木瓜(さらさぼけ)

木瓜の花の俳句と季語バラ科ボケ属の落葉低木。朱紅色の緋木瓜、純白の白木瓜、紅と白とが混じる更紗木瓜などがある。原産地は中国で、日本には平安時代に入ってきたと見られている。木瓜は、「ぼっか」「もっか」とも読む。果実が瓜に似ているところから、木になる瓜の意で「木瓜」となった。花は3月から4月に見られるが、11月頃から花を咲かせる寒木瓜もあり、こちらは冬の季語になる。
「先駆者」という花言葉を持つ。

▶ 関連季語 寒木瓜(冬)

【木瓜の花の俳句】

だまされてをればたのしき木瓜の花  加藤楸邨

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

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季語|鴨(かも)

三冬の季語 

小鴨(こがも)

鴨の俳句と季語カモ目カモ科。雌雄で色が異なり、雌は地味なものが多い。カモ科の鳥の内、カルガモ、オシドリなどは通年見られるのに対し、マガモ、コガモなどほとんどのカモは、冬鳥として渡ってくる。なお、アヒルはマガモを原種とする家禽である。
日本では、古くから食用にされており、各地の貝塚から鴨の骨が発見されている。また、播磨国風土記には、応神天皇の時代に鴨を羹にしたとの記述がある。身近な鳥であった証に、各地に「鴨川」などの地名が存在する。
「鴨」は利用しやすい人を指す言葉でもあり、「鴨が葱を背負ってくる」などの諺も生まれた。
有名な和歌に、謀反の疑いで自害させられる直前に大津皇子が詠んだとされる

百伝ふ磐余の池に鳴く鴨を 今日のみ見てや雲隠りなむ

が万葉集に載る。

【鴨の俳句】

明方や城をとりまく鴨の声  森川許六

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季語|探梅(たんばい)

晩冬の季語 探梅

探梅行(たんばいこう)梅探る(うめさぐる)

探梅の俳句と季語(やまとにしき)山野に早咲きの梅を探しに出ること。春に咲く梅を鑑賞する観梅とは異なり、春の兆しを探求することでもある。

▶ 関連季語 梅(春)

【探梅の俳句】

探梅や遠き昔の汽車に乗り  山口誓子

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季語|裸木(はだかぎ)

三冬の季語 裸木

裸木の俳句と季語枯木に似るが、落葉を終えて生命の火をつなぐ冬場の木のことを言う。バラ科の常緑高木「バクチノキ」もこの名で呼ばれるが、これは、剥げた幹が人肌色で、博打に負けて裸になった様を彷彿とさせるため。

【裸木の俳句】

裸木となりて樹齢を偽らず  早野広太郎

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季語|夏の夜(なつのよ)

三夏の季語 夏の夜

短夜(みじかよ・たんや)みじか夜(みじかよ)

夏の夜の俳句と季語(国立国会図書館オンライン:今様美人)昼間が長くなるにつれて短くなる夏の夜のことを「短夜」とも呼ぶ。暮れは遅くなり、夜明けは早い。万葉集には詠み人知らずで、

霍公鳥来鳴く五月の短夜も ひとりし寝れば明かしかねつも

の相聞歌が載る。

▶ 関連季語 夏

【夏の夜の俳句】

夏の夜のあけ残りけり吾妻橋  正岡子規
短夜や乳ぜり泣く児を須可捨焉乎  竹下しづの女

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