俳句

季語|金魚(きんぎょ)

三夏の季語 金魚

和金(わきん)・出目金(でめきん)

金魚フナの突然変異を利用して生まれた観賞魚。原産地は中国で、南北朝時代には既に飼育されていたとされる。日本には室町時代に伝来。延享5年(1748年)に安達喜之の「金魚養玩草」が出版されると人気を博し、金魚売りや金魚すくいなどの販売形態も成立。現在では、奈良県大和郡山市や愛知県弥富市、山形県庄内地方などが養殖地として有名。
祭の露店での金魚すくいは、夏の風物詩。よって夏の季語となる。

金魚の種類としては、「琉金」「和金」「出目金」などがある。

【金魚の俳句】

いつ死ぬる金魚と知らず美しき  高浜虚子

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季語|鮎(あゆ)

三夏の季語 

年魚(ねんぎょ)・香魚(こうぎょ)

鮎の俳句と季語キュウリウオ目に分類されるアユは、成魚は川で生活し、稚魚は海で生活する。秋に川を下って河口域に産卵し、孵化して5㎝程度に育ったアユは、春に川を遡上する。石についた藻類を食べることにより独特の香りを放ち、香魚とも呼ばれる。また、一年で一生を終えることから年魚とも呼ばれる。水産資源保護の観点から、11月から5月は禁漁になる。

古くから親しまれてきた魚で、古事記の神功皇后条には、卯月上旬に筑紫の末羅県の玉島の里の小河(佐賀県唐津市の玉島川)で、「年魚」釣りを行ったとある。日本書紀にはさらに、アユを「細鱗魚」と表し、その釣りにより新羅遠征を占ったとある。このことからアユに「鮎」の字が当てられたと見られるが、奈良時代までの「鮎」は、中国同様ナマズを指す漢字だったと言われている。万葉集には8種の魚が登場するが、中でもアユは、最多の16首が詠まれている。大伴旅人を中心とした「松浦河に遊ぶ」と題された歌群には、神功皇后以来の末羅県(松浦)における鮎釣りの行事が詠み込まれている。

松浦川川の瀬光り鮎釣ると 立たせる妹が裳の裾濡れぬ

なお、アユの語源は、神前に供える食物「饗(あえ)」にあるとする説が有力。

「鮎」では、6月1日の鮎漁解禁の日を含む夏の季語となるが、「若鮎」は春の季語、「錆鮎」は秋の季語となる。

【鮎の俳句】

かくぞあれ鮎に砂かむ夜べの月  炭太祇

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季語|蟹(かに)

三夏の季語 

蟹の子(かにのこ)・沢蟹(さわがに)・ざり蟹(ざりがに)

蟹の俳句と季語同じ蟹でも、ずわい蟹などは冬の季語となる。古事記の応神天皇条にはすでに、「この蟹や」ではじまる横歩きを織り込んだ長歌がある。古来、霊性のあるものとしてとらえられ、古語拾遺のヒコナギサが生まれる項には、蟹を掃う職の蟹守が出てくる。これは、宮中の設営や掃除を担う係であり、安産を祈りながら、生命の更新に役割を果たすと考えられていた蟹を守る役目を担っていたと考えられている。

語源は、甲が赤いところから「甲丹」の転訛とも考えられるが、中国での呼び名「かい」から来たとの説もある。

【蟹の俳句】

蟹つかむことを覚えて帰りけり  国友すみ女

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季語|夏(なつ)

三夏の季語 

炎帝(えんてい)朱夏(しゅか)

夏の俳句と季語太陽暦では6月から8月まで、陰暦では4月から6月までを夏という。二十四節気では、立夏から立秋の前日まで。五行思想で、赤色を夏に配するところから「朱夏」「赤帝」ともいう。
語源は、「暑い」の「あつ」が転じて「なつ」となったとする説がある。万葉集にある持統天皇の歌、

春過ぎて夏来るらし白妙の衣ほしたり天の香具山

は、「春すぎて夏きにけらし白妙の衣干すてふ天のかぐ山」として百人一首の2番。

【夏の俳句】

月の輪をゆり去る船や夜半の夏  杉田久女

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季語|祭(まつり)

三夏の季語 

祭笛(まつりぶえ)神祭(かみまつり・かんまつり)・夏祭(なつまつり)・神輿(みこし)

祭の俳句と季語単に「祭」といった場合は夏の季語となる。神を「祀る」ことからきており、「奉る」と同源だと考えられている。また、「まつらう」に語源があるという説もあり、こちらは、神に順い奉仕することを指す。

【祭の俳句】

象潟や料理何くふ神祭  河合曾良
神田川祭の中をながれけり  久保田万太郎

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季語|船遊び(ふなあそび)

三夏の季語 船遊び

遊船(ゆうせん)

船遊びの俳句と季語楽しみ目的で船に乗る習慣は古くからあったと見られ、京都嵐山で5月に行われる「三船祭」は、平安時代の面影を残す。当時は主に、和歌や奏楽を楽しんだか。また、万葉集にも原型は確認され、額田王の

熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな

も、舟遊びの歌と言われる。
江戸時代になると、花見や月見目的で船に乗ることも多くなったが、夏の季語となる「船遊び」は、主に涼をとるもの。

【船遊びの俳句】

遊船のさんざめきつつすれ違ひ  杉田久女

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季語|夏の湖(なつのみずうみ・なつのうみ)

三夏の季語 夏の湖

夏の湖の俳句と季語大きいことを表す「う」と水の「み」が結びつき、「うみ」。名前の由来は淡水湖にあるが、塩湖や、淡水中に海水が入った汽水湖もある。
日本最大の湖は琵琶湖であり、古くは「近つ淡海」と呼ばれ、近江の語源ともなった。また、「遠つ淡海」は浜名湖のことで、遠江の語源となった。因みに淡水湖であった浜名湖は、1498年に起きた明応地震で堤が決壊し、汽水湖になった。

【夏の湖の俳句】

高根より礫うち見ん夏の湖  池西言水

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季語|夏の月(なつのつき)

三夏の季語 夏の月

月涼し

夏の月の俳句と季語単に「月」といえば秋の季語となる。

太陽の次に明るいことから、次(つく)から「つき」になったという説がある。なお、古事記で月の神は三貴神に数え上げられ、イザナギの左目から生まれた太陽神アマテラスの次に、右目からツクヨミとして生まれる。

【夏の月の俳句】

蛸壺やはかなき夢を夏の月  松尾芭蕉

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季語|夏の蝶(なつのちょう)

三夏の季語 夏の蝶

夏蝶(なつちょう)揚羽蝶(あげはちょう)

夏の蝶の俳句と季語「蝶」といえば春の季語であるが、蝶には凍蝶に代表される冬の蝶や、秋の蝶、夏の蝶がある。体の大きいアゲハチョウは夏の蝶の代表であり、春を代表するモンシロチョウの幼虫がキャベツなどを食すのに対し、こちらはミカン科の植物を食して成長する。平氏の代表的な家紋には揚羽蝶があしらわれている。

蝶のことを古くは「かわひらこ」と呼んだが、川の近くでひらひら飛んでいたからこの名前がついたと言われている。因みに蝶は、奈良時代に唐から入ってきた言葉で、「てふ」と読んだ。

▶ 関連季語 蝶(春)

【夏の蝶の俳句】

あをはかや夏とぶ蝶の物がなし  堀麦水
乱心のごとき真夏の蝶を見よ  阿波野青畝

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季語|緑陰(りょくいん)

三夏の季語 緑陰


緑蔭(りょくいん)
・翠蔭(すいいん)・木下闇(こしたやみ)

緑陰の俳句と季語夏の日差しを浴びてよく茂った木々の葉によって生じた日蔭。

緑の語源は、カワセミの古い呼び名ソニドリにある。ソニとは青い土(に)のことである。

【緑陰の俳句】

緑陰をよろこびの影すぎしのみ  飯田龍太

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