カテゴリー: 初冬
季語|立冬(りっとう)
初冬の季語 立冬
冬に入る(ふゆにいる)・今朝の冬(けさのふゆ)・冬来る(ふゆきたる)・冬立つ(ふゆたつ)
二十四節気の第19で、この日から立春の前日までが冬となる。立冬日は、11月7日頃となる。
立冬の期間の七十二候は、山茶始開(つばきはじめてひらく)・地始凍(ちはじめてこおる)・金盞香(きんせんかさく)。
中国では、立冬に餃子を食べて、寒い冬に備えるという。立冬の日の朝を、感慨を込めて「今朝の冬」という。
季語|山茶花(さざんか・さんさか)
初冬の季語 山茶花
ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹。晩秋から初冬に、赤や白やピンクの、椿に似た花をつける。中国地方や四国・九州に自生し、日本原産とされる。
山茶花と椿は見分けがつきにくいが、山茶花には、葉の縁がギザギザしているなどの特徴がある。また、椿の花季は12月から4月で、春の季語に分類されるのに対し、山茶花は10月から12月で冬。椿の花は、首から落ちるのに対し、山茶花は、花びらが一枚一枚散っていく。
中国ではツバキを「山茶」とし、それを音読みした「さんさ」に「花(か)」がついて「さんさか」と呼ばれていたものが転訛して、日本では「さざんか」になった。因みに中国では、サザンカは「茶梅」。「サザンカ」の名は、江戸時代以前の文献には現れないが、俳諧歳時記栞草(1851年)には「十月」の項に「山茶花(さざんくわ)」として出てくる。
サザンカの古名は「コカタシ」「ヒメカタシ」と言う。「カタシ」とは椿のことで、古くは小さい椿と認識されていた。
近代に入っては、文芸上でも取り上げられることが多い。特に有名なのは、「さざんか、さざんか、咲いた道…」で知られる童謡「たきび」であろうが、1982年には演歌「さざんかの宿」も大ヒットしている。
【山茶花の俳句】
山茶花に雨待つこころ小柴垣 泉鏡花
季語|初冬(はつふゆ・しょとう)
季語|時雨忌(しぐれき)
初冬の季語 時雨忌
芭蕉忌(ばしょうき)・翁忌(おきなき)・桃青忌(とうせいき)・芭蕉会(ばしょうえ)・翁の日(おきなのひ)
陰暦10月12日。俳聖・松尾芭蕉の忌日。元禄7年(1694年)10月12日に、大坂御堂筋の花屋仁左衛門の貸座敷でその生涯を閉じた。遺骸は近江の義仲寺に運ばれ、木曾義仲の墓の隣に葬られた。死の4日前に詠んだ
旅に病んで夢は枯れ野をかけめぐる
が最後の句となり、これを辞世と見る向きもある。
季語|時雨(しぐれ)
季語|凩(こがらし)
初冬の季語 凩
初冬の寒風は、木々をも枯らすと言われる。元禄3年(1690年)「新撰都曲」に載った「木枯の果はありけり海の音」は評判を呼び、池西言水は「木枯の言水」と呼ばれている。なお、この句の「海」は琵琶湖、「木枯」は比叡颪である。この句から派生したと見られる、山口誓子の「海に出て木枯らし帰るところなし」も秀句として知られる。
季語|神無月(かんなづき)
初冬の季語 神無月
神有月(かみありづき)・神在月(かみありづき)・神の留守(かみのるす)・神の旅(かみのたび)・神迎(かみむかえ)・神還(かみかえる)
旧暦十月は、全国の神様が大国主が祀られる出雲大社に集結するとされ、神様が留守になることから神無月という。反対に出雲では神有月、神在月という。出雲大社では、縁結びの相談が行われているという。平安時代には既に定着していた説であるが、本来は「神の月」という意味の「神な月」から来ていると言われている。俳諧歳時記栞草には、荷田東麻呂翁の「雷無月」が語源という説も載せる。
季語|帰り花(かえりばな)
初冬の季語 帰り花
返り花(かえりばな)・帰咲(かえりざく)・狂咲(くるいざき)・狂花(くるいばな)・忘花(わすればな)・二度咲(にどざき)
桜に限らず、桃やツツジなど、11月頃に季節を違えて咲く花をいう。身請けされた遊女が再び勤めに出ることもまた「帰り花」という。
散った花がその年のうちにもう一度花をつける様を、帰ってきたと見なす。
季語|冬紅葉(ふゆもみじ)
初冬の季語 冬紅葉
残る紅葉(のこるもみじ)・紅葉散る(もみじちる)・散紅葉(ちるもみじ)・紅葉枯る(もみじかる)
葉緑素がなくなりアントシアンなどの色素が蓄積して起こる、葉の赤変や黄変が「紅葉」で、紅葉することを「もみづ」という。
紅葉するという意の「もみつ」が、平安時代以降濁音化して「もみづ」となり「もみじ」の語源になったと言われている。尚、「もみつ」は染色に関わる言葉で、「揉み出づ」のこと。ベニバナを揉んでで染め上げた絹織物のことを、紅絹(もみ)といった。
「紅葉」は秋の季語であるが、紅葉が見頃を迎えるのは、立冬を過ぎてからという地方が多い。