俳句

季語|鰤起し(ぶりおこし)

三冬の季語 鰤起し

鰤起しの俳句と季語鰤は冬を代表する魚であるが、北陸では、初鰤の季節である師走の雷を「鰤起し」と呼び、豊漁の前兆ととらえた。実際に、時化後には鰤が大漁になると言われるが、鰤起しはまた、雪を呼ぶ雷でもある。
現代では、地方を問わず、12月から1月頃に鳴る雷を概ね「鰤起し」という。

▶ 関連季語 鰤(冬)

【鰤起しの俳句】

流人墓地みな壊えてをり鰤起し  石原八束

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|風邪(かぜ)

三冬の季語 風邪

風邪籠(かぜごもり)感冒(かんぼう)風邪心地(かぜごこち)

風邪の俳句と季語呼吸器系の感染症による体調不良を言い、「風邪」という病名はない。原因となるウイルスの種類は、数百にのぼると言われており、細分化することが難しく、的確な治療方法も確立されてはいない。
主な症状は、くしゃみ・咳・咽頭痛・鼻水・頭痛であり、発熱を伴う。重症化しやすいインフルエンザやコロナは、風邪として扱わないことが普通である。
通常の風邪は軽症で終わることが多いが、「風邪は万病の元」と言われるように、快癒させる薬もないために素人療法が大きな病気を招くこともある。
古くから知られる民間療法は、主に、風邪に対抗する体力をつけるためのものであり、食物を用いるものが多い。主なものは、卵酒・生姜湯・葛湯などである。

【風邪の俳句】

戀猫の歸り来ぬ風邪の枕もと  久保より江

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|竈猫(かまどねこ)

三冬の季語 竈猫

炬燵猫(こたつねこ)かじけ猫(かじけねこ)へつつひ猫(へっついねこ)

竈猫の俳句と季語(日本風景選集)寒さに弱い猫は、冬場、暖かいところへ移動して丸まり、惰眠をむさぼっていることがよくある。竈があった昔は、火を落としたその竈の中に丸まり、灰だらけになったりしたものだ。それを「灰猫」とも呼んだ。「へっつい猫」ともいうが、「へっつい」は、落語の「へっつい幽霊」「へっつい盗人」で知られる「竈」のことである。
竈が少なくなった現代では、炬燵の中に入り込む姿がよく観察され、「炬燵猫」と呼ばれる。近年では、「炬燵猫」というテレビアニメも放映されている。
なお、「竈猫」は比較的新しい季語であり、富安風生の1934年の俳句「何もかも知つてをるなり竈猫」が高浜虚子に認められたことで、季語の地位を確立した。

俳句になった生物 ⇒ 

【竈猫の俳句】

何もかも知つてをるなり竈猫  富安風生
薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫  松本たかし

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|火事(かじ)

三冬の季語 火事

火事の俳句と季語(東京町火消出火ヲ鎮図)乾燥する日が多い冬。暖を取るのに火を使うことも多く、冬は火事が発生しやすい。
「火事と喧嘩は江戸の華」と言われるが、俳諧歳時記栞草に「火事」の項目はない。「火事」が季語になったのは、「ホトトギス」が勃興した近代のことである。

因みに、江戸三大大火(明暦の大火・明和の大火・文化の大火)は、いずれも春に発生している。このうち明暦の大火は「振袖火事」とも呼ばれ、病に散った少女の振袖を供養した時に、火が燃え広がったと語られている。それから数十年後に発生した天和の大火は「お七火事」と呼ばれ、八百屋お七の恋に起因する放火が原因だと言われている。

【火事の俳句】

赤き火事哄笑せしが今日黒し  西東三鬼
寄生木や静かに移る火事の雲  水原秋桜子

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|霜(しも)

三冬の季語 

朝霜(あさじも・あさしも)霜の花(しものはな)大霜(おおしも)強霜(つよしも)霜解(しもどけ)霜の声(しものこえ)

霜の俳句と季語物体の表面の温度が霜点より下がった時、空気中の昇華した水蒸気が、物体表面で結晶となったものを「霜」という。つまり、物体の表面に空気中の水蒸気が凍り付いたもので、地中の水分が凍った霜柱とは異なる。放射冷却現象の発生する晴れた寒い夜にできやすいが、昼間でも生じることがある。
平年の初霜の観測は、北海道では10月中、その他の地域は11月中が多いが、東京では12月20日となっている。二十四節気には霜の降り始める時期を指す「霜降」があり、10月23日頃となる。終霜は、北海道で5月、北日本で4月、その他の地域では3月、東京は2月20日となっている。

万葉集にも多く詠みこまれており、仁徳天皇の皇后・磐姫皇后は

ありつつも君をば待たむうち靡く 我が黒髪に霜の置くまでに

と歌っている。枕草子には、

冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりてわろし。

とある。

【霜の俳句】

両袖に泣子やかこふ閨のしも  久村暁台
南天をこぼさぬ霜の静かさよ  正岡子規

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|寒星(かんぼし・かんせい)

三冬の季語 寒星

冬星(ふゆぼし)冬の星(ふゆのほし)冬星座(ふゆせいざ)

季語と俳句寒星冬は、日没が早く空気も澄むことから、天体観測には最も適した季節だと言える。また、この時期はジェット気流が強くなるため、星の瞬きが美しい。
観察できる一等星も多くなる季節であり、オリオンやスバルなども肉眼で見ることができる。

冬の代表的な星座に、三ツ星が美しいオリオン座や、夜の空で一番明るい恒星シリウスを持つおおいぬ座、赤い一等星アルデバランを持つおうし座などがある。また、ベテルギウス・シリウス・プロキオンを結ぶ冬の大三角も観察できる。

【寒星の俳句】

寒星や神の算盤たゞひそか  中村草田男

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|河豚(ふぐ・ふく・ふくべ・かとん)

三冬の季語 河豚

季語と俳句河豚フグ目フグ科トラフグ属にトラフグ・マフグなどがあり、日本では古くから食されてきた。特にトラフグは美味とされるが、肝や卵巣にフグ毒(テトロドトキシン)を持つため、調理には免許を必要とする。
なお、フグ毒は海洋細菌によって産生されるため、陸上養殖で人工餌を与えることで河豚を無毒化することが可能になっている。
ふぐの旬は「秋の彼岸から春の彼岸まで」と言われ、薄作りにした河豚刺(てっさ)、河豚鍋、河豚のひれ酒などが喜ばれている。

貝塚から河豚の骨が出て来ることから、日本では縄文時代から食されていたと考えられているが、フグ毒に当たる者が多かったために、豊臣秀吉の朝鮮出兵では「河豚食禁止令」が出されている。江戸時代も、藩によっては河豚食を禁止し、明治時代には全国的に河豚の販売が禁止となった。季語 春帆楼
そんな中、伊藤博文が下関の春帆楼に宿泊した際、時化で食材がなかったため罰せられることを覚悟して提供したところ、食味に感激。山口県では、明治21年(1888年)に全国に先駆けて解禁となり、春帆楼はふぐ料理公許第一号店となった。その春帆楼は、日清講和条約が結ばれた場所である。

怒ると膨らむことから、語源は「膨らむ」にあるとする説が有力。漢字で「河豚」と表記するのは、中国で食用とされるメフグは河川に生息しており、豚のような鳴き声を発するからだと言われている。
平安時代には「ふく」「ふくべ」と呼ばれており、「ふぐ」と呼んでいたのは、江戸時代の関東地方だと言われている。俳諧歳時記栞草では「河豚魚」で「ふぐ」と読む。現在では、河豚で有名な下関での呼称「ふく」の方が異称のように思われており、フグが「不遇」を想起するために、フク(福)となったなどと言われる。
また、大阪では「てっぽう」と呼ぶが、これは、時々毒に当たることを「たまに当たる」としたところから来ている。当たると、痺れが体全体に広がっていき、呼吸麻痺を引き起こして死に至る。

【河豚の俳句】

もののふの河豚にくはるる悲しさよ  正岡子規

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|鮟鱇(あんこう・あんこ)

三冬の季語 鮟鱇

季語と俳句鮟鱇アンコウ目アンコウ科の魚。日本で食されるのは、その中でもキアンコウ(ホンアンコウ)とアンコウ(クツアンコウ)。これらは、砂泥状の海底を持つ深海に生息し、手足のように変形したヒレで海底を移動している。
アンコウ漁は、産卵を終えた7月から8月までが禁漁期間となり、旬は11月から2月。江戸時代には「三鳥二魚」と呼ばれる5大珍味に数え上げられ、鶴・雲雀・鷭・鯛と並ぶ高級食材だった。
体全体が柔軟で粘りがあるため、「吊るし切り」という独特の方法で捌かれて、七つ道具と言われる身・皮・胃・肝臓・卵巣・鰓・鰭に切り分けていく。身は柳肉と呼ばれ、淡白な食感が特徴。最も知られる鮟鱇料理は、鮟鱇鍋。あん肝は「海のフォアグラ」とも呼ばれ、酒の肴として人気がある。

その特徴的な大きな顎が、「あんこう」の語源になったとの説がある。俳諧歳時記栞草には、「華臍魚」と書いて「あんかう」と読ませ、「老婆魚(ろうばぎょ)、綬魚(じゅぎょ)、琵琶魚(びはぎょ)の諸名あり」とある。

【鮟鱇の俳句】

鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる  加藤楸邨

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に

季語|玉子酒(たまござけ)

三冬の季語 玉子酒

卵酒(たまござけ)

季語と俳句と玉子酒酒に鶏卵、砂糖を混ぜて作るホットカクテルの一種。
俳諧歳時記栞草に「寒気を禦がんために飲之」とあるように、風邪をひいた時に飲むものとの認識があるが、風邪への効果は認められていない。一種の滋養強壮剤ではある。

【玉子酒の俳句】

玉子酒どちらが先に死ぬなどと  橋本村童

ふつうは家庭で作られるものであるが、伊達家御用蔵として知られる「勝山」は「たまご酒」を市販し、人気を博している。100年以上の伝統を持つ玉子酒である。



【ふるさと納税】勝山 たまご酒(3本セット) 【 お酒 昔ながらの製法 ミルク割り カク
12000円(税込/送料込)
カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可
仙台市 ふるさと納税 仙台伊澤家 勝山酒造株式会社
【宮城県仙台市】

季語|山眠る(やまねむる)

三冬の季語 山眠る

眠る山(ねむるやま)

季語と季語山眠る(女十題竹久夢二国立国会図書館オンライン)郭煕(1023年?~1085年?)の画論「臥遊録」に、「春山淡冶にして笑うが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如く」とある。これをもとに、「山笑ふ」は春、「山滴る」は夏、「山粧ふ」は秋、「山眠る」は冬。
冬山の静まり返った様子をいう。俳諧歳時記栞草では、「山眠」と書いて「やまねぶる」。

【山眠るの俳句】

天竜へ崩れ落ちつつ眠る山  松本たかし

季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に 季語検索を簡単に