季語|暮春(ぼしゅん)

晩春の季語 暮春

暮の春(くれのはる)春暮るる(はるくるる)晩春(ばんしゅん)

暮春の季語春のおわり頃を指す季語で、春の夕方を指す場合には「春の暮」を用いる。また、「暮春」「晩春」は陰暦3月の異称でもある。

艸の葉も風癖ついて暮の春  小林一茶

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春惜しむ(はるおしむ)

晩春の季語 春惜しむ

惜春(せきしゅん)

惜春の季語「惜しむ」を持つ季語に暮の「年惜しむ」、秋の「秋惜しむ」があるが、過行く春を惜しむ時には、これらに見られる侘しさよりも、悲しみの方に重点が移る。「行く春」に分類したが、松尾芭蕉「行く春を近江の人と惜しみける」はあまりに有名。
後撰和歌集には紀貫之で

又もこむ時ぞとおもへど頼まれぬ わが身にしあれば惜しき春かな

がある。

春惜しむ宿やあふみの置火燵  与謝蕪村
白髪同士春ををしむもばからしや  小林一茶

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竹の秋(たけのあき)

晩春の季語 竹の秋

竹秋(ちくしゅう)

竹の秋と季語養分が筍にまわる晩春、竹の葉は活力を失くして黄変する。これを、春にもかかわらず「竹の秋」という。
夏に入るころ落葉することから、夏の季語として「竹落葉」がある。ただし、竹は常緑であるので、全てが落葉するものではない。秋には若葉が映えることから、これを「竹の春」という。
「竹秋」ともいうが、これは陰暦3月の異称としても用いられる。

いざ竹の秋風聞かむ相国寺  大伴大江丸

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梨の花(なしのはな)

晩春の季語 梨の花

梨花(りか・なしばな)梨咲く(なしさく)

梨の花と季語バラ科ナシ属で、4月頃に白い花を咲かせる。「梨」とすると、実を指し、秋の季語となる。
梨の花には、独特のかすかな臭みがある。花言葉は「愛情」。

馬の耳すぼめて寒し梨子の花  各務支考

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春深し(はるふかし)

晩春の季語 春深し

春闌く(はるたく)・春闌(はるたけなわ)

春深しの季語春も、桜が散りはじめた後。拾遺集に紀貫之で

春深くなりぬと思ふを桜花 散る木のもとはまだ雪ぞふる

とある。
春も半ばを過ぎると、様々な行事が一区切りし、寂しさが漂いはじめる。

まぶた重き仏を見たり深き春  細見綾子

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巣立ち(すだち)

晩春の季語 巣立ち

巣立鳥(すだちどり)

巣立ちの季語初夏に分類することもある「巣立ち」。身近な鳥である雀や燕は、春から夏にかけて数度繁殖活動を行うため、巣立ちも春から夏にかけて数度ある。けれども現代では、年度替わりが含まれる日本の慣習に重ねて、「巣立ち」を春にイメージする傾向がある。

余談ではあるが、巣立ちのタイミングと生存率を調査した研究結果がある。それによると、はやく巣立ちした小鳥は、まだ成長が十分ではないために外敵などに襲われて死ぬ確率が高い。それに対して遅く巣立ちした個体は、生存率が高いという結果が示されている。
野鳥は我先に巣立つイメージがあるが、むしろ兄弟に追い出されるような形で巣立つものなのかもしれない。

其夜から雨に逢ひけり巣立鳥  小林一茶

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桜鯛(さくらだい)

晩春の季語 桜鯛

桜鯛の季語俳句ハタ科の海水魚にサクラダイがあるが、季語となるのは、真鯛。
桜が花盛りの頃、瀬戸内海などの内海沿岸では、産卵のために真鯛が集まってくる。繁殖期の雌の真鯛の体色は桜色に染まり、脂がのって旨いとされる。丁度、年度初めにも時期が重なるため、「めでたい」に掛けて縁起物として扱われる。
ブランド物として知られているものには、明石の鯛、鳴門鯛などがある。産卵が終わった鯛は、体色も落ち、「麦わら鯛」という。
俳諧歳時記栞草には、春之部三月に分類され、本朝食鑑の引用で「歌書に云、春三月、さくらの花ひらきて、漁人多くこれをとる。故に桜鯛と云」とあり、併せて「夫木和歌抄」藤原為家の

ゆく春のさかひの浦のさくらだひ あかぬかたみにけふや引らん

を載せる。

桜鯛かなしき目玉くはれけり  川端茅舎

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弥生(やよい)

晩春の季語 弥生

季語と俳句陰暦三月のことであるが、新暦3月の別名としても用いる。俳諧歳時記栞草に、奥儀抄の引用で「此月をやよひと云ことは、春至りて萌出たる草の、この月いよいよ生れば、いやおひ月と云を、やよひとは云也」とある。

終日の雨めづらしき弥生かな  伊藤信徳

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春日傘(はるひがさ)

晩春の季語 春日傘

季語 春日傘紫外線は、春から急に増えると言われ、日焼けの原因となる。また、気候が良いために外に出る機会も増え、春の日焼け対策は夏以上に重要だと言う者もいる。
日傘は夏の季語であるが、桜の咲く3月下旬になると、傘の花も咲き始める。傘をたたむ時に、浴びた花弁に気づくなどということも。

▶ 関連季語 日傘(夏)

はなびらのごときをたたみ春日傘  片山由美子

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春の蚊(はるのか)

晩春の季語 春の蚊

春蚊(はるか)初蚊(はつか)

季語 春の蚊「蚊」は夏の季語であるが、多い少ないこそあれ、蚊は年中みられる昆虫である。「春の蚊」といった場合には、主に「初蚊」のこと。卵で越冬したり、成虫で越冬したりしたものが気温の上昇とともに活動するもので、4月ころに見られる蚊のことである。屋内型昆虫「チカイエカ」などの、冬場でも大発生するその様はこの範疇に含まれず、活動初期の弱々しさを漂わせる季語である。

▶ 関連季語 蚊(夏)

春の蚊を叩きて力あまりけり  長谷川秋子

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