季語|花篝(はなかがり)

晩春の季語 花篝

花篝の俳句と季語(千代田の大奥お庭の夜桜)夜桜を観賞するために焚く篝火を、「花篝」と言う。電灯を入れた提灯は、「花雪洞(はなぼんぼり)」と言う。
「かがり」は「輝り」である。「花篝」は桜の花を照らし出すためのものであるが、「篝火」自体は電灯のない時代の屋外照明として、奈良時代頃より頻繁に用いられてきたものである。

京都の円山公園の花篝は有名であり、例年3月下旬から4月上旬にかけて、桜をライトアップするとともに篝火が焚かれる。

▶ 関連季語 桜(春)

【花篝の俳句】

花篝月の出遅くなりにけり  西島麦南
まだ焚かぬ花の篝や夕間暮  高浜虚子

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季語|馬酔木(あせび)

晩春の季語 馬酔木

馬酔木咲く(あせびさく)

馬酔木の俳句と季語ツツジ科アセビ属の常緑低木で、山地に自生する。3月から4月頃に白い壺のような花をたくさんつけて、独特のにおいがある。園芸品種には、ピンクの花をつけるものもある。
「馬酔木」は「あせび」と読むだけでなく、「あしび」「あせぼ」などとも読む。ただ、ひらがな表記をすると、「あしび」は秋の季語「葦火」と、「あせぼ」は夏の季語「汗疹」と混同するので注意が必要である。また、花を強調するために「馬酔木の花」とすることが多く、「馬酔木花」と書いて「あせび」と読ませることもある。

馬がこの葉を食べると毒に当たり、酔ったようになるために「馬酔木」の名がついたと言われる。鹿が食べると角が落ちるとも語られ、鹿もこの木を食害しないため、奈良公園の浅茅ヶ原には馬酔木がよく見られる。

古くから日本人に親しまれてきた馬酔木は、万葉集にも10首ほど歌われ、謀反の疑いで処刑された大津皇子が二上山に葬られた時の大伯皇女の和歌

磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど 見すべき君が在りと言はなくに

は有名である。
また、万葉集には馬酔木を詠みこんだ長歌もあるが、これには馬酔木の名所として知られた「草香の山」が登場する。そこでの馬酔木(あしび)は、「悪し」に掛けられたりしている。

俳句の世界では、季語というよりも反ホトトギス色の濃い俳誌「馬酔木(あしび)」の方をイメージすることが多いかもしれない。元は「破魔弓」だったが、水原秋桜子が参加してその古色を嫌い、「馬酔木」となった。

【馬酔木の俳句】

馬酔木咲く金堂の扉にわが触れぬ  水原秋桜子
花ぶさの雨となりたる馬酔木かな  大谷碧雲居

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季語|八重桜(やえざくら)

晩春の季語 八重桜

八重桜の俳句と季語(東都隅田川八重桜・国会図書館オンライン)「八重桜」は、八重咲きになる桜の総称で、通常の桜は5弁なのに対し、6枚以上の花弁をつける。また、咲き方にも呼称があり、15枚までのものを半八重咲、5枚の花と半八重咲が混合しているものを一重八重咲、20枚から70枚の花弁で咲くものを八重咲、100枚以上のものを菊咲と呼ぶ。
品種としては、ヤエベニシダレ(八重紅枝垂)、カンザン(関山)、イチヨウ(一葉)などがある。ソメイヨシノよりも開花期が2週間ほど遅い。
徒然草には

八重桜は奈良の都にのみありけるを、この比ぞ世に多くなり侍るなる。吉野の花、左近の桜、皆一重にてこそあれ。八重桜は異様の物なり。いとかちたくねぢけたり。植ゑずともありなん。遅桜、又すさまじ。虫のつきたるもむつかし。

とある。伊勢大輔の和歌

いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重ににほひぬるかな

は、小倉百人一首61番。平安時代の女房の装束では、五衣に桜色を用いることを「八重桜」と呼んだ。
2013年には、NHK大河ドラマで新島八重を取り上げた物語が「八重の桜」として放映され、人気を呼んだ。

▶ 関連季語 桜(春)

【八重桜の俳句】

奈良七重七堂伽藍八重桜  松尾芭蕉
ひとひらの雲ゆき散れり八重桜  三橋鷹女

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季語|仏生会(ぶっしょうえ)

晩春の季語 仏生会

花祭(はなまつり)誕生会(たんじょうえ)灌仏会(かんぶつえ)

季語と俳句で仏生会現代では「灌仏会」と呼ぶことが多いが、4月8日の釈迦の誕生日に、宗派を問わず仏寺で行われる法会を「仏生会」という。本来は旧暦4月8日の祭りであるが、日本では新暦4月8日に祝うところが多い。明治の改暦後に新暦で祝うようになって、桜の季節と重なるようになったために「花祭」と呼ばれるようになった。
日本では推古天皇14年(606年)に始まった。

仏生会では、花御堂の水盤に誕生仏を安置し、その頭上に甘茶を注ぐ。釈迦生誕時に、9頭の龍が天から清浄の水を吐き注いで産湯を使わせたとか、竜王が誕生を祝って甘露の雨を降らせたという伝説に因む。花御堂は、摩耶夫人が釈迦を出産された無憂樹になぞらえ、誕生仏は、「天上天下唯我独尊」と唱える生誕直後の釈迦を模したものである。

【仏生会の俳句】

雲のあゆみ水の行くかたや仏生会  加舎白雄
ぬかづけばわれも善女や仏生会  杉田久女

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季語|山桜(やまざくら)

晩春の季語 山桜

山桜の俳句と季語(嵐山桜狩之図)山に咲く桜を総称して山桜とも呼ぶが、バラ科サクラ属の落葉高木に「ヤマザクラ」という品種があり、古来より日本の山野に自生して親しまれてきた。20mを超える高木になり、「狩宿の下馬ザクラ」は樹齢800年を超える長寿を誇る。
ソメイヨシノよりも数週間遅れて満開となり、通常は、葉の伸長とともに白みがかった花をつける。

江戸時代後期にソメイヨシノが開発されるまでは桜の代表として親しまれ、「吉野の桜」もこのヤマザクラが主となっている。ただ、個体変異が大きいために、ソメイヨシノのように集団で一斉開花をするということは稀である。

▶ 関連季語 桜(春)

【山桜の俳句】

うかれける人や初瀬の山桜  松尾芭蕉
山又山山桜又山桜  阿波野青畝

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季語|花の雨(はなのあめ)

晩春の季語 花の雨

花時雨(はなしぐれ)

花の雨の俳句と季語(倭風俗墨堤の花・国会図書館オンライン)桜の開花期間に降る雨のことを「花の雨」という。桜の花の散りしきる様を雨に見立てて「花の雨」ということもあるが、こちらは「花吹雪」という方が一般的。

▶ 関連季語 桜(春)

【花の雨の俳句】

甜らせて養ひ立てよ花の雨  松永貞徳
風に汲む筧も濁り花の雨  杉田久女

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季語|花衣(はなごろも)

晩春の季語 花衣

花衣の俳句と季語(国会図書館オンライン)花見に行く時に着る晴れ着を「花衣」という。古くは、表が白で裏が紫の桜襲(さくらがさね)という色合いの衣を「花衣」と言い、春に着用した。

▶ 関連季語 桜(春)

【花衣の俳句】

花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ  杉田久女
旅衣花衣ともなりながら  星野立子

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季語|花冷え(はなびえ)

晩春の季語 花冷え

花の冷え(はなのひえ)

花冷えの俳句と季語(東京自慢十二ヶ月三月吉原の桜・芳年・ 国会図書館オンライン)桜が咲くころに寒さがもどること、その寒さをいう。「暑さ寒さも彼岸まで」とはいうが、桜の咲くころは天気が変わりやすく、雪桜となることさえもある。
「花冷え」の言葉自体は比較的新しく、近代になってできた言葉だと考えられる。因みに、日本酒の世界にも「花冷え」があり、10℃に冷やした日本酒のことをいう。

▶ 関連季語 桜(春)

【花冷えの俳句】

花冷に欅はけぶる月夜かな  渡辺水巴
花すぎて花の冷えある昨日けふ  上村占魚

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季語|花曇(はなぐもり)

晩春の季語 花曇

養花天(ようかてん)

花曇の俳句と季語桜の花の咲くころは、季節の変わり目で、天気が変わりやすい。俳諧歳時記栞草に「陸放翁天彭牡丹紀」の引用で、「半晴半陰謂之花曇、養花天同之。」とあるように、雨の降りそうな曇り空のことではなく、霞みがかった空のことをいう。また、ここで「養花天は花曇に同じ」とあるが、漢文に「微雨養花天」などとして登場するように、「養花天」は、やや湿り気を帯びた雰囲気をまとっている。
冬鳥が帰るころでもあり、「鳥曇」とも重なる。

▶ 関連季語 桜(春)

【花曇の俳句】

咲満る花に淋しき曇り哉  正岡子規
降るとまで人には見せて花曇り  井上井月

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季語|暮春(ぼしゅん)

晩春の季語 暮春

暮の春(くれのはる)春暮るる(はるくるる)晩春(ばんしゅん)

暮春の季語春のおわり頃を指す季語で、春の夕方を指す場合には「春の暮」を用いる。また、「暮春」「晩春」は陰暦3月の異称でもある。

艸の葉も風癖ついて暮の春  小林一茶

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