季語|春休み(はるやすみ)

仲春の季語 春休み

季語と俳句で春休み日本では、4月を年度初めとするため、春休みは、別れとスタートの期間ともなる。卒業生は、3月31日までは、学んできた学校に籍がある。
小・中・高校では通常、3月25日から4月5日までが春休み。大学では、2月上旬から4月上旬までが春休み期間。

【春休みの俳句】

校庭のやつれてをりぬ春休み  安居久美子

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季語|子猫(こねこ)

晩春の季語 子猫

孕猫(はらみねこ)猫の産(ねこのさん)猫の子(ねこのこ)親猫(おやねこ)

季語と俳句で子猫(猫とたわむれる婦人)猫の繁殖は1月から8月頃まで続き、妊娠期間は約65日。よって、冬場を除いて子猫は生まれるが、子猫が最も多くみられるのは春である。
猫は、一度の出産で2~6匹ほどが生まれる。生まれたてはオス・メスの区別が難しく、ひと月くらいしてはじめて判別できる。半年から一年たてば発情が始まるため、子猫の期間は1年ほどと短い。

▶ 関連季語 猫の恋(春)
▶ 俳句になった生物(猫)

【子猫の俳句】

猫の子の名なしがさきにもらはれし  久保より江
すでに名の付きし子猫をもらひ来し  片山由美子

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季語|遍路(へんろ)

三春の季語 遍路

遍路杖(へんろづえ)遍路道(へんろみち)

季語と俳句で遍路順路に沿って霊場を巡回する巡礼の風習は、世界各地に広がっている。日本では、四国八十八箇所や、西国三十三所などがある。けれども、「遍路」と言うと、おのずと四国八十八箇所を指し、その巡礼や巡礼者のことを言う。それには、語源となった「辺土」が絡んでいると考えられる。
四国では古くから、修行の地となるような辺境の地を「辺土」と言い表していた。それが、弘法大師信仰とともに、あまねく照らす道という意味の「遍路」に置き換えられた。
遍路は四季を通じて見られるものであるが、昭和初期より、春の季語として認識されるようになった。遍路が増える季節が春であり、この時期、菜の花や桜の花に、死装束を纏う遍路も映える。季語としての確立には、四国出身の高浜虚子の影響が大きかったとも。

四国遍路は、弘法大師ゆかりの寺院八十八箇所を順に巡るもの。空海42歳の厄年(815年)に開創したものとされているが、その巡礼の確立には諸説ある。有名なものに、衛門三郎伝説がある。
衛門三郎は、四国松山の強欲な豪農。托鉢僧の鉢を割って追い払った時から、8人の子どもが次々に亡くなり、その僧が弘法大師だったと気付くに至る。
弘法大師を探し求めて、霊場を20回も訪ね歩いた衛門三郎は、出会えなかったことから逆打ちするも、力尽きて阿波の焼山寺近くで倒れてしまう。その時はじめて弘法大師が現れ、その腕に抱かれた衛門三郎は非礼を詫び、「来世は河野家に生まれ、善を尽くしたい」と願いを述べて死ぬ。弘法大師が衛門三郎と書いた石を握らせ葬ると、翌年、伊予河野氏に子供が生まれた。その子は、左手に衛門三郎と書いた石を握っていたという。
その石を納めた安養寺は、このことをもって石手寺に改める。現在では霊場有数の規模を持つ寺院となっており、その石は一般公開されている。
因みに、石手寺近くの宝厳寺で生まれた一遍も河野氏一族であり、弘法大師を慕って四国巡礼を行っている。なお、四国遍路は死地へ赴くことであり、白い死装束をまとって巡るものとなっている。

現在のような遍路の整備は、室町時代から、庶民に巡礼の流行があった江戸時代にかけて行われたもので、1950年代より観光バスによる巡礼も行われるようになり、身近になることで遍路ブームを巻き起こした。
現在では、海外からの注目度も高く、世界遺産に推す声も高い。霊場中には、弘法大師の生地である善通寺、弘法大師開眼の地に近い最御崎寺、崇徳天皇陵がある白峰寺などがある。
四国遍路は総行程1400㎞。歩いて40日、自転車で20日、車で10日を要する。一番札所は徳島の霊山寺であるが、これは、上方に近い交通事情に因る。

弘法大師の和歌と伝わるものに、「土佐国室戸といふところにて」の前書きとともに、

法性のむろとといへどわがすめば うゐの浪風よせぬ日ぞなき

【遍路の俳句】

道のべに阿波の遍路の墓あはれ  高浜虚子
夕遍路雨もほつほつ急ぎ足  高野素十

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季語|蛇穴を出づ(へびあなをいづ)

仲春の季語 蛇穴を出づ

蛇出づ(へびいず)

季語と俳句で蛇穴を出づ「蛇」は夏の季語であるが、「蛇穴を出づ」は春の季語になる。
地域によって違いも見られるが、アオダイショウやマムシ、シマヘビなどは、最高気温が15度になる3月頃に冬眠から覚める。啓蟄の頃である。

【蛇穴を出づの俳句】

けつかうな御世とや蛇も穴を出る  小林一茶
蛇いでてすぐに女人に会ひにけり  橋本多佳子

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季語|風光る(かぜひかる)

三春の季語 風光る

光る風(ひかるかぜ)

季語と俳句で風光る俳諧歳時記栞草に、初学記の引用で「春晴日出て風吹を光風といふと、云々。これによりていふか。此詞古抄にみえず。」
晴れ上がった春の日に吹く風は、爽やかで光り輝くように感じられる。

【風光るの俳句】

陽炎のものみな風の光りかな  久村暁台
文鳥や籠白金に光る風  寺田寅彦

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季語|春一番(はるいちばん)

仲春の季語 春一番

春疾風(はるはやて)

季語と俳句で春一番立春から春分の間に、その年に初めて、南寄りの暖かい強い風(秒速8メートル以上)が吹くことをいう。日本海で低気圧が発達することにより発生し、海難事故や雪崩を誘発する。翌日は寒の戻りとなることが多い。
春一番は、観測されない年もあり、春二番・春三番が確認される年もある。

「春一番」という言葉は、石川県能登地方などで昔から用いられていたものであり、「春一(はるいち)」と呼んだりもする。民俗学者の宮本常一が隠岐地方の調査を、俳句歳時記(1959年)に反映させたことで、一般的な言葉になったという。1963年2月15日の朝日新聞朝刊で取り上げられたことにより、2月15日は「春一番名付けの日」となっている。1976年には、キャンディーズが「春一番」を歌ってヒットさせている。

【春一番の俳句】

胸ぐらに母受けとむる春一番  岸田稚魚

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季語|桃の花(もものはな)

晩春の季語 桃の花

白桃(はくとう)緋桃(ひとう)

季語と俳句の桃の花「桃」といえば実を指し、秋の季語となる。また、桃の実に「白桃」があり、秋の季語ともなるが、白い花を咲かせる種類があり、「白桃」で花を指して、春の季語ともなる。
別名に三千世草(みちよぐさ)・三千歳草(みちとせぐさ)など。

桃は、バラ科モモ属の落葉小高木であり、花季は3月中旬から4月上旬。七十二候の「桃始笑」の頃咲き始めるため、現在の桃の節句には、花を見ることはない。
中国原産で、古代中国で第一番目の地位を得ていた桃は、多くの漢詩にも詠み込まれている。その代表は、代表的な祝婚歌とされる「詩経」の「桃夭」であろう。

桃之夭夭 灼灼其華
之子于帰 宜其室家

桃之夭夭 有蕡其実
之子于帰 宜其家室

桃之夭夭 其葉蓁蓁
之子于帰 宜其家人

万葉集では、大伴家持の

春の園紅にほふ桃の花 下照る道に出で立つをとめ

がよく知られている。また作者不詳ではあるが、

桃染めの浅らの衣浅らかに 思ひて妹に逢はむものかも

は、桃の花の色を、浅はかな色であると言っている。

桃と桜は見分けにくいが、桃の花弁には切れ込みがなく、やや尖ったイメージがある。また、花と同時に葉もつける。

【桃の花の俳句】

此ごろは夜雨夜雨や桃のはな  久村暁台
烈風や月下にさはぐ緋桃あり  原石鼎

▶ 春の季語になった花 見頃と名所

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季語|猫の恋(ねこのこい)

仲春の季語 猫の恋

恋猫(こいねこ)うかれ猫(うかれねこ)猫の妻(ねこのつま)春の猫(はるのねこ)

季語と俳句で恋猫(竹久夢二)猫の繁殖期は1月頃から始まり、8月頃まで続く。2月から4月はピークとなり、「猫の恋」「恋猫」「猫さかる」「戯れ猫」「浮かれ猫」などは春の季語となる。
猫の発情はメスに起り、期間はわずかに1週間程度。発情期のメスは、甘えた声で鳴きついたりする。オスは、メスの発情に誘発されるように攻撃的になり、大きな声で鳴いたりする。
俳諧歳時記栞草には、正月の項に「猫の妻恋」「猫さかる」があり、「雑談抄」の引用で「此者陰獣也。然ば陽気に犯されて、交合を好む。是を猫の恋と云。」とある。猫の発情は、昼間時の長さが影響するという。

▶ 関連季語 子猫(春)
▶ 俳句になった生物(猫)

【猫の恋の俳句】

うらやましおもひ切時猫の戀  越智越人
声たてぬ時が別れぞ猫の恋  加賀千代女

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季語|蕨(わらび)

仲春の季語 

早蕨(さわらび)

蕨(わらび)コバノイシカグマ科のシダ植物。春に若芽を食用にする。アク抜きをせずに食べると中毒を起こすため、必ずアク抜きして調理する。根から取れるデンプンは、ワラビ粉になる。
芽を出したばかりの頃の、こぶしのように巻いた形の早蕨を、「蕨手」といい、このような形状の意匠のことをも指す。刀の柄や神輿などに見られる。
万葉集に、志貴皇子の和歌で

石走る垂水の上のさわらびの 萌え出づる春になりにけるかも

がある。ただし、万葉の時代の蕨はであったとの説もある。
「わらび」の語源には諸説あるが、藁から生じる火と見なした「藁火」が有力。

【蕨の俳句】

右ひだりしれぬ蕨の手先かな  杉木美津女

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季語|啓蟄(けいちつ)

仲春の季語 啓蟄

季語と俳句で啓蟄「啓」には開くという意味があり、「蟄」は、虫が土の中に籠っている様子を指す漢字。二十四節気のひとつで、冬眠していた虫たちが、穴から出て来る頃とされる。3月6日ごろ。
啓蟄には、松に巻き付けた菰を取り外す「菰はずし」が行われる。因みに春の季語に「蛇穴を出づ」という季語もあるが、蛇が冬眠から覚めるのが、啓蟄の頃である。

中国でも元は「啓蟄」と表記していたが、前漢の皇帝の名に「啓」の文字が入っていたために、中国では「驚蟄」と書く。

【啓蟄の俳句】

啓蟄の蚯蚓の紅のすきとほる  山口青邨

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