初秋の季語 茗荷の花
ショウガ科ショウガ属ミョウガは、花および若芽が食用となり、一般的には花穂を単に「茗荷」と呼ぶ。この「茗荷」は、蕾の塊のようなものである。因みに花穂が開花する前のものは「茗荷の子」と呼んで夏の季語になる。
茗荷の花の季節は7月から10月で、植え付ける時期によって、夏茗荷と呼ばれるものと秋茗荷と呼ばれるものに分かれる。秋茗荷の方が赤っぽくなり、一般的には美味いと言われる。
東アジア原産で、日本へはかなり古い時代に中国から渡来したと考えられている。魏志倭人伝に蘘荷(じょうか)として出ており、日本では古くから栽培も行われていたと考えられているが、現在のところ食用で栽培されているのは日本だけである。
釈迦の弟子に、自分の名前すら忘れてしまう者がおり、釈迦は名を書いた旗を荷わせたという。その者の死後、墓から生えてきた草に「名荷」と名付けたという。根拠はないが、「食べると物忘れがひどくなる」と言われている。
武士は「冥加」に掛けて、茗荷紋を使用したという。
【茗荷の花の俳句】
つぎつぎと茗荷の花の出て白き 高野素十

タデ科イヌタデ属の植物全般を一般的には「タデ」と呼ぶ。しかし、「蓼食う虫も好きずき」でいう蓼はヤナギタデのことであり、「蓼」で夏の季語となる。
バラ科ワレモコウ属ワレモコウは、北海道から九州までの草地に自生し、7月から10月頃に花弁のない花を、花穂の上から下へと順に開花させていく。開花したてはピンクであるが、やがて赤褐色になる(画像の花穂の下部は、咲いたばかりでピンク色をしている)。根は乾燥させて地楡(ちゆ)という生薬にする。
ナス科タバコ属タバコは南アメリカ原産で、栽培種は一年草として扱われるが、元は多年草である。7月から9月頃に花をつけるが、花が咲く前の6月から8月頃に、葉を利用するために収穫するため、花を見ることは稀である。
ショウガ科ウコン属ウコンは、インド原産の多年草で7月から9月頃に花をつける。別名に「きぞめぐさ」がある。日本へは十六世紀に渡来した。
オシロイバナ科オシロイバナ属オシロイバナはメキシコ原産で、江戸時代初期に渡来。夕方4時ころから咲き始めるため、英語では「フォーオクロック」と呼ぶ。
ナデシコ科ナデシコ属の総称であるが、通常はカワラナデシコを「撫子」と呼ぶ。7月から10月頃に花をつけるカワラナデシコは、本州以西に自生し、「大和撫子」の異称もある。
ツリフネソウ科ツリフネソウ属ホウセンカは、東南アジア原産の一年草。6月から9月頃、赤を中心に白やピンクなどの花を咲かせ、二週間くらいたって実が熟すと、触るだけで種が弾けて飛び散る。
カンナ科カンナ属カンナは、熱帯アメリカ原産の「檀特」の園芸品種としてつくられ、「ハナカンナ」と呼ばれる。葉が
オモダカ科オモダカ属オモダカは、中国原産で平安時代に渡来。現在では日本各地の水田や池などに見られる水生植物で、7月から10月頃に白い花を咲かせる。