季語|鶯(うぐいす)

三春の季語 

初音(はつね)匂鳥(においどり)・春告鳥(はるつげどり)

季語と俳句の鶯(生写四十八鷹うぐひす白梅)スズメ目ウグイス科ウグイス属の、ほぼ全国に分布する留鳥。オリーブ色のその体色は、鶯色と言われる。オオルリ(夏の季語)・コマドリ(夏の季語)とともに、日本三鳴鳥のひとつ。
古くから日本人に親しまれてきた鳥で、初音・匂鳥・春告鳥(はるつげどり)・花見鳥(はなみどり)・歌詠鳥・経読鳥・人来鳥(ひとくどり)・百千鳥(ももちどり)・黄鳥(こうちょう)・金衣公子(きんいこうし)・報春鳥(ほうしゅんどり)・黄粉鳥(きなこどり)・春鳥(はるどり)・禁鳥(とどめどり)などの別名がある。
古今和歌集の仮名序にある「はなになくうぐひす みづにすむかはづのこゑをきけば いきとしいけるものいづれかうたをよまざりける」に因んで、「歌詠鳥(うたよみどり)」という。

さえずりは「ホーホケキョ」と聞きなし、これはオスの縄張り宣言である。「ケキョケキョケキョ」という谷渡りは、外敵への威嚇。「チャッチャッ」という地鳴きは、笹鳴きと言い、冬の季語になる。
2月初旬から囀りが始まることから、春告鳥の別名があり、気象庁が生物季節観測している。囀りのピークは初夏で、夏鶯の季語もある。
地域間で鳴き方に差異があり、かつて江戸のウグイスは訛っているとして、京都から鶯を取り寄せて鶯谷に放鳥したという。その結果、囀りが良くなったという。

花札の絵柄にもある「梅に鶯」は、取り合わせの良さをいう言葉ともなっており、50首以上で鶯が取り上げられる万葉集にも、小監阿氏奥嶋の和歌で

梅の花散らまく惜しみ我が園の 竹の林に鴬鳴くも

がある。
春告鳥を強調する和歌としては、古今和歌集の大江千里に

鶯の谷より出る声なくは 春くることを誰かしらまし

がある。
また、経読鳥(きょうよみどり)の別名の由来は、囀りを「法、法華経」あるいは「法聞けよ」と聞きなすことにあるが、蓮如上人に「このうぐひすは法ほきゝよとなくなり。されば鳥類だにも法をきけとなくに、まして人間にて聖人のお弟子なり。法をきかではあさましきぞ」の言葉がある。山家集にある西行の和歌にも

鶯の聲にさとりをうべきかは 聞く嬉しさもはかなかりけり

とある。

古くは鳴き声を「ウー、グイ」と聞きなし、鳥の接尾語「す」をつけて「うぐいす」の名前になったという。
「うぐいすの粉」として、江戸時代から美白剤として売られているものには、鶯の糞が使用されている。

【鶯の俳句】

臨終の庭に鶯鳴きにけり  青木月斗
鶯の身をさかさまに初音哉  宝井其角

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季語|木の芽(このめ・きのめ)

三春の季語 木の芽

木の芽風(このめかぜ)木の芽雨(このめあめ)

季語と俳句の木の芽俳句の世界では、春にもえ出る木の新芽のこと。料理界では、サンショウの若芽を「木の芽」と言い、晩春が旬。
古今和歌集に

霞たちこのめもはるの雪ふれば 花なきさとも花ぞちりける

の紀貫之の歌がある。

【木の芽の俳句】

木々おのおの名乗り出でたる木の芽かな  小林一茶
老木の芽をいそげるをあはれみぬ  富安風生

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季語|雪解(ゆきげ・ゆきどけ)

仲春の季語 雪解

雪とけて(ゆきとけて)

季語と俳句で雪解雪がとけること。また、雪が解けたその水のことも「雪解」という。一般には、雪が解けることは春であり、雪が消えるとすれば冬となる。よって、「ゆきげ」で「雪消」と書けば冬となる場合がある。ただし、古式にのっとれば、「解」も「消」も春となす。
万葉の昔から和歌に歌われ、詠み人知らずの歌に

君がため山田の沢に恵具摘むと 雪消の水に裳の裾濡れぬ

がある。恵具とは「芹」のことであり、ここでの雪消(ゆきげ)は、現代の季語分類に則れば春と読み解くことができる。

対立する二者の間に和解の空気が生じてくることもまた、「雪解」という。

【雪解の俳句】

雪解川名山けづる響かな  前田普羅
雪とけて村一ぱいの子どもかな  小林一茶

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季語|東風(こち・とうふう・ひがしかぜ・こちかぜ・とんぷう)

三春の季語 東風

朝東風(あさこち)夕東風(ゆうこち)強東風(つよごち)

季語と俳句の東風冬の特徴である西高東低の気圧配置が緩むと、東風が吹きやすくなる。しかし東風はまた、雨を呼ぶ風でもあり、時に「時化ごち」という海上を荒らす嵐となることもある。
東風と言えば、何と言っても

東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな

の菅原道真の歌が思い出される。また、万葉集の作者不詳の和歌に

朝東風に井堰越す波の外目にも 逢はむものゆえ滝もとどろに

があり、古くから「こち」と呼ばれていたことが分かる。
「こち」の語源には諸説あるが、中国の「爾雅」に「東風これを谷風(こくふう)といふ」とあり、古い言葉で風のことを「ち」ということから、「こくち」の転訛との説がある。
「谷風」とは、山の斜面が温められることによってできる暖かい上昇気流のこと。日本の春風で先ず挙がるのは「春一番」。春一番が、東西関係なく南寄りの風であることを考えると、東風を春に位置付けたのは中国古典の影響か。

万葉集には、大伴家持の和歌で

東風いたく吹くらし奈呉の海人の 釣りする小船漕ぎ隠る見ゆ

もあり、ここでは「東風」を「あゆのかぜ」と読ませ、注釈に「越の俗語」とある。「あゆ」は「あえ(饗)」の転訛と考えられ、豊穣をもたらす風との認識があったと考えられる。
ただし、「東風」を「あい」「あゆ」「あえ」と読めば夏の季語。通常は「あいの風」と表現する。

【東風の俳句】

夕東風や海の船ゐる隅田川  水原秋桜子
強東風に群れ飛ぶ荒鵜室戸岬  松本たかし

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季語|春隣(はるとなり・はるどなり)

晩冬の季語 春隣

春近し(はるちかし)

季語と俳句春隣晩冬には、春の気配を感じて嬉しくなることがある。古今和歌集に、清原深養父の歌で、

冬ながら春の隣の近ければ 中垣よりぞ花はちりける

がある。

【春隣の俳句】

叱られて目をつぶる猫春隣  久保田万太郎
白き巨船きたれり春も遠からず  大野林火

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季語|寒星(かんぼし・かんせい)

三冬の季語 寒星

冬星(ふゆぼし)冬の星(ふゆのほし)冬星座(ふゆせいざ)

季語と俳句寒星冬は、日没が早く空気も澄むことから、天体観測には最も適した季節だと言える。また、この時期はジェット気流が強くなるため、星の瞬きが美しい。
観察できる一等星も多くなる季節であり、オリオンやスバルなども肉眼で見ることができる。

冬の代表的な星座に、三ツ星が美しいオリオン座や、夜の空で一番明るい恒星シリウスを持つおおいぬ座、赤い一等星アルデバランを持つおうし座などがある。また、ベテルギウス・シリウス・プロキオンを結ぶ冬の大三角も観察できる。

【寒星の俳句】

寒星や神の算盤たゞひそか  中村草田男

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季語|河豚(ふぐ・ふく・ふくべ・かとん)

三冬の季語 河豚

季語と俳句河豚フグ目フグ科トラフグ属にトラフグ・マフグなどがあり、日本では古くから食されてきた。特にトラフグは美味とされるが、肝や卵巣にフグ毒(テトロドトキシン)を持つため、調理には免許を必要とする。
なお、フグ毒は海洋細菌によって産生されるため、陸上養殖で人工餌を与えることで河豚を無毒化することが可能になっている。
ふぐの旬は「秋の彼岸から春の彼岸まで」と言われ、薄作りにした河豚刺(てっさ)、河豚鍋、河豚のひれ酒などが喜ばれている。

貝塚から河豚の骨が出て来ることから、日本では縄文時代から食されていたと考えられているが、フグ毒に当たる者が多かったために、豊臣秀吉の朝鮮出兵では「河豚食禁止令」が出されている。江戸時代も、藩によっては河豚食を禁止し、明治時代には全国的に河豚の販売が禁止となった。季語 春帆楼
そんな中、伊藤博文が下関の春帆楼に宿泊した際、時化で食材がなかったため罰せられることを覚悟して提供したところ、食味に感激。山口県では、明治21年(1888年)に全国に先駆けて解禁となり、春帆楼はふぐ料理公許第一号店となった。その春帆楼は、日清講和条約が結ばれた場所である。

怒ると膨らむことから、語源は「膨らむ」にあるとする説が有力。漢字で「河豚」と表記するのは、中国で食用とされるメフグは河川に生息しており、豚のような鳴き声を発するからだと言われている。
平安時代には「ふく」「ふくべ」と呼ばれており、「ふぐ」と呼んでいたのは、江戸時代の関東地方だと言われている。俳諧歳時記栞草では「河豚魚」で「ふぐ」と読む。現在では、河豚で有名な下関での呼称「ふく」の方が異称のように思われており、フグが「不遇」を想起するために、フク(福)となったなどと言われる。
また、大阪では「てっぽう」と呼ぶが、これは、時々毒に当たることを「たまに当たる」としたところから来ている。当たると、痺れが体全体に広がっていき、呼吸麻痺を引き起こして死に至る。

【河豚の俳句】

もののふの河豚にくはるる悲しさよ  正岡子規

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季語|鮟鱇(あんこう・あんこ)

三冬の季語 鮟鱇

季語と俳句鮟鱇アンコウ目アンコウ科の魚。日本で食されるのは、その中でもキアンコウ(ホンアンコウ)とアンコウ(クツアンコウ)。これらは、砂泥状の海底を持つ深海に生息し、手足のように変形したヒレで海底を移動している。
アンコウ漁は、産卵を終えた7月から8月までが禁漁期間となり、旬は11月から2月。江戸時代には「三鳥二魚」と呼ばれる5大珍味に数え上げられ、鶴・雲雀・鷭・鯛と並ぶ高級食材だった。
体全体が柔軟で粘りがあるため、「吊るし切り」という独特の方法で捌かれて、七つ道具と言われる身・皮・胃・肝臓・卵巣・鰓・鰭に切り分けていく。身は柳肉と呼ばれ、淡白な食感が特徴。最も知られる鮟鱇料理は、鮟鱇鍋。あん肝は「海のフォアグラ」とも呼ばれ、酒の肴として人気がある。

その特徴的な大きな顎が、「あんこう」の語源になったとの説がある。俳諧歳時記栞草には、「華臍魚」と書いて「あんかう」と読ませ、「老婆魚(ろうばぎょ)、綬魚(じゅぎょ)、琵琶魚(びはぎょ)の諸名あり」とある。

【鮟鱇の俳句】

鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる  加藤楸邨

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季語|冬椿(ふゆつばき)

晩冬の季語 冬椿

寒椿(かんつばき)

季語(生写四十八鷹百舌鳥枯かしは冬椿)早咲きの椿を冬椿という。また、サザンカとツバキの交雑種にカンツバキという品種がある。このカンツバキは、11月から2月頃に花をつける。
宮尾登美子の小説に「寒椿」があり、1992年に、高知を舞台に映画化された。

▶ 関連季語 椿(春)

【冬椿の俳句】

冬椿花はのこらぬこゝちかな  服部土芳
ふるさとの町に坂無し冬椿  鈴木真砂女

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季語|玉子酒(たまござけ)

三冬の季語 玉子酒

卵酒(たまござけ)

季語と俳句と玉子酒酒に鶏卵、砂糖を混ぜて作るホットカクテルの一種。
俳諧歳時記栞草に「寒気を禦がんために飲之」とあるように、風邪をひいた時に飲むものとの認識があるが、風邪への効果は認められていない。一種の滋養強壮剤ではある。

【玉子酒の俳句】

玉子酒どちらが先に死ぬなどと  橋本村童

ふつうは家庭で作られるものであるが、伊達家御用蔵として知られる「勝山」は「たまご酒」を市販し、人気を博している。100年以上の伝統を持つ玉子酒である。



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