晩春の季語 仏生会
花祭(はなまつり)・誕生会(たんじょうえ)・灌仏会(かんぶつえ)
現代では「灌仏会」と呼ぶことが多いが、4月8日の釈迦の誕生日に、宗派を問わず仏寺で行われる法会を「仏生会」という。本来は旧暦4月8日の祭りであるが、日本では新暦4月8日に祝うところが多い。明治の改暦後に新暦で祝うようになって、桜の季節と重なるようになったために「花祭」と呼ばれるようになった。
日本では推古天皇14年(606年)に始まった。
仏生会では、花御堂の水盤に誕生仏を安置し、その頭上に甘茶を注ぐ。釈迦生誕時に、9頭の龍が天から清浄の水を吐き注いで産湯を使わせたとか、竜王が誕生を祝って甘露の雨を降らせたという伝説に因む。花御堂は、摩耶夫人が釈迦を出産された無憂樹になぞらえ、誕生仏は、「天上天下唯我独尊」と唱える生誕直後の釈迦を模したものである。
【仏生会の俳句】
雲のあゆみ水の行くかたや仏生会 加舎白雄
ぬかづけばわれも善女や仏生会 杉田久女

山に咲く桜を総称して山桜とも呼ぶが、バラ科サクラ属の落葉高木に「ヤマザクラ」という品種があり、古来より日本の山野に自生して親しまれてきた。20mを超える高木になり、「狩宿の下馬ザクラ」は樹齢800年を超える長寿を誇る。
桜の開花期間に降る雨のことを「花の雨」という。桜の花の散りしきる様を雨に見立てて「花の雨」ということもあるが、こちらは「花吹雪」という方が一般的。
花見に行く時に着る晴れ着を「花衣」という。古くは、表が白で裏が紫の桜襲(さくらがさね)という色合いの衣を「花衣」と言い、春に着用した。
夏季には、地上が熱せられることで上昇気流が発生しやすく、それにともなって生じる積乱雲が電位差を生み、雲間あるいは地上との間で放電が起こる。この時に生じる雷鳴と稲妻を「雷」という。気象庁の定義では、「雷電がある状態。電光のみは含まない」とあり、「雷」という場合には必ず雷鳴を伴う。
桜が咲くころに寒さがもどること、その寒さをいう。「暑さ寒さも彼岸まで」とはいうが、桜の咲くころは天気が変わりやすく、雪桜となることさえもある。
桜の花の咲くころは、季節の変わり目で、天気が変わりやすい。俳諧歳時記栞草に「陸放翁天彭牡丹紀」の引用で、「半晴半陰謂之花曇、養花天同之。」とあるように、雨の降りそうな曇り空のことではなく、霞みがかった空のことをいう。また、ここで「養花天は花曇に同じ」とあるが、漢文に「微雨養花天」などとして登場するように、「養花天」は、やや湿り気を帯びた雰囲気をまとっている。
風が弱く日差しが強い日には、大地からの蒸気で、遠くのものが揺らいで見える。「陽炎」は、春に限られた現象ではないが、春の陽気を酌んで春の季語とする。また、「かぎろひの」は、「春」「あるかなきか」などに掛かる枕詞でもある。
二枚貝綱ニッコウガイ科に「サクラガイ」という種がある。よく似た貝に「ベニガイ」「カバザクラ」「モモノハナガイ」などもあり、これら数センチの大きさのピンク色の二枚貝を総称して「桜貝」という。