晩夏の季語 合歓の花
ねむり木(ねむりぎ)・ねぶの花(ねぶのはな)
「歓喜」の花ことばを持つ。マメ科の落葉高木で、7月頃開花する。よって夏の季語となる。日本では、本州・四国・九州に自生。万葉集に合歡木(ねむ)として既にその名が見られ、
昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓木の花君のみ見めや戯奴さへに見よ 紀女郎
我妹子が形見の合歓木は花のみに咲きてけだしく実にならじかも 大伴家持
我妹子を聞き都賀野辺のしなひ合歓木我れは忍びず間なくし思へば よみ人しらず
の三首が載る。
夜になると葉を閉じるため、「眠り木」が転じてネムとなった。中国では、ネムノキが夫婦円満の象徴とされていることから、「合歓」の字が当てられた。

単に
「情熱」の花ことばを持つ。秋の彼岸に開花することから彼岸花とも言い、秋の季語となる。赤い花をつけるが、白いものなどもある。稲作の伝来とともに中国から入ってきたと言われている。古い文献にはほとんど登場しないが、これは、「火事につながる」「摘むと死人が出る」などと言われて、忌避されてきたからだと考えられる。実際、全体に毒を有し、そのまま食すと中枢神経を侵して死に至ることも。しかし、薬として活用されることもあり、毒抜きをすれば救荒食にもなる。
「蝶」といえば春の季語であるが、蝶には凍蝶に代表される冬の蝶や、秋の蝶、夏の蝶がある。体の大きいアゲハチョウは夏の蝶の代表であり、春を代表するモンシロチョウの幼虫がキャベツなどを食すのに対し、こちらはミカン科の植物を食して成長する。平氏の代表的な家紋には揚羽蝶があしらわれている。
その年初めて乗り物に乗ることを言う。
夏の日差しを浴びてよく茂った木々の葉によって生じた日蔭。
主に、夏の晴れた空を指す。
葉緑素がなくなりアントシアンなどの色素が蓄積して起こる、葉の赤変や黄変が「紅葉」で、紅葉することを「もみづ」という。
ブドウ科ツタ属の蔦は「夏蔦」とも呼ばれ、9月から11月頃にかけて紅葉する。ウコギ科の「キヅタ」などは「冬蔦」とも呼ばれ、紅葉しない。
その年、はじめて出現した紅葉。代表は楓。北海道の大雪山では9月頃から始まる。色づき始めると、完全に散るまで1カ月間は紅葉を楽しむことができる。