三秋の季語 鱸
スズキ目スズキ科スズキ属スズキは、沖縄を除く日本沿岸の河口部を中心に生息している。春から秋にかけて、より淡水域に近いところまで入り込んきて、河川の奥深くの純淡水域まで達することもある。
産卵期は冬であり、夏場によく肥える高級魚である。旬は夏であるが、秋には産卵に備えて岸に寄ってくるので、「鱸釣」は秋の風物詩となり、「鱸」は秋の季語に分類されることになった。釣り人は鱸のことを、英名に因んで「シーバス」とも呼ぶ。
出世魚としても知られており、約10年の寿命を持ち、「コッパ」⇒「セイゴ」⇒「フッコ」⇒「スズキ」と名が変わり、スズキは30センチ以上のもの。その、すすいだように白い身から「すすぎ」が「すずき」になったという説など、語源には諸説ある。
万葉集には鱸釣の和歌で2首が載り、柿本人麻呂に
荒栲の藤江の浦に鱸釣る 海人とか見らむ旅行く我れを
がある。俳諧歳時記栞草には八月に「鱸釣(すずきつる)」があり、「大和本草」の引用で下記のようにある。
鱸魚、大なる者二三尺、三月以後七月まで肥ゆ。暑月、脂多くして味よし。八月よりやする。夏秋、さしみ鱠とし鮓となす。夏月、腸の味よし。クモワタといふ腸あり、脂多く味よし。小なるをセイゴといふ。松江(せうこう)なるべし。中華松江の鱸は、其大さ、日本のセイゴの如しと云。河鱸、味尤よし、暑月の佳品也。海と河の間にあるもの味よし。漁人、これを釣、或は戈にて突てとる。
【鱸の俳句】
打つ櫂に鱸はねたり淵の色 宝井其角

マアジに代表される「鯵」は6月から8月が旬とされ、夏の季語である。漁獲量は落ちるが、秋に獲れるものも脂が乗って旨いとされ、それを「秋鯵」という。因みに「秋味」と書くと、
サケ目サケ科に属する魚に、キングサーモン・ベニザケ・ギンザケ・ニジマス・カラフトマスなどがあるが、一般に「鮭」と認識されているのはシロザケと呼ばれるものである。秋鮭(アキサケ)、秋味(アキアジ)などの呼称もある。また、シャケとも言う。白身魚に分類される。
「
鰹と言えば、
魚類ニシン目ニシン亜目に属する沿岸性の回遊魚で、赤身の青魚。日本では、ニシン科のマイワシ・ウルメイワシ、カタクチイワシ科のカタクチイワシの3種を指す。ただし、ウルメイワシ(
ミノガ科のガの幼虫は、口から出した糸で葉などを綴り合せ、その中に棲む。雄は羽化して巣から出るが、雌は芋虫のような姿で、一生を蓑の中で過ごす。
まだ熟しきらない蜜柑の皮は濃緑色をしている。俳句で「青蜜柑」といった場合、主に青いうちに食される温州みかんを指すが、本来は糖度を上げるために摘果されるものを言った。酸っぱさが特徴の青蜜柑の露地ものは、9月下旬くらいより店頭に並ぶ。
秋に北方から渡ってくる鳥を主に指す。秋の季語となる種類の鳥に