俳句

季語|神無月(かんなづき)

初冬の季語 神無月

神有月(かみありづき)神在月(かみありづき)神の留守(かみのるす)神の旅(かみのたび)・神迎(かみむかえ)・神還(かみかえる)

神無月の俳句と季語旧暦十月は、全国の神様が大国主が祀られる出雲大社に集結するとされ、神様が留守になることから神無月という。反対に出雲では神有月、神在月という。出雲大社では、縁結びの相談が行われているという。平安時代には既に定着していた説であるが、本来は「神の月」という意味の「神な月」から来ていると言われている。俳諧歳時記栞草には、荷田東麻呂翁の「雷無月」が語源という説も載せる。

【神無月の俳句】

風寒し破れ障子の神無月  山崎宗鑑

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季語|名月(めいげつ)

仲秋の季語 名月

十五夜(じゅうごや)三五の月(さんごのつき)月見(つきみ)今日の月(きょうのつき)望月(もちづき)十六夜(いざよい・じゅうろくや)既望(きぼう)立待月(たちまちづき)十七夜(じゅうしちや)居待月(いまちづき)十八夜(じゅうはちや)臥待月(ふしまちづき)寝待月(ねまちづき)更待月(ふけまちづき)二十日月(はつかづき)二十三夜(にじゅうさんや)明月(めいげつ)良夜(りょうや)無月(むげつ)・雨月(うげつ)・初月(しょげつ)初月夜(はつづきよ)二日月(ふつかづき)三日月(みかづき)新月(しんげつ)待宵(まつよい)小望月(こもちづき)

名月の俳句と季語(東錦絵)単に「月」といえば三秋の季語である。毎月十五夜はあるものの、単に「十五夜」と言った場合、通常は、仲秋の名月がのぼる旧暦8月15日の夜を指す。
月見は、平安時代に日本に伝わった中国の「中秋節」に由来する風習で、「観月の宴」が開かれていた。中国ではこの日、月を祭り、幸せを祈りながら月餅を切り分けて食べる。
稲刈り前の農閑期と重なることや、気候の良さもあり、近世に入って庶民にも広まった。
別名「芋名月」とも呼ばれるが、芋の収穫祭の意味も込められ、かつては里芋を高く盛って月に供えられた。現在では里芋の代わりに団子を用いる。海外でも収穫祭に因んだ名が用いられており、秋分の日に最も近い満月のことを「ハーベストムーン」と呼ぶ。

月見行事には「栗名月」「豆名月」とも呼ぶ「十三夜」もあるが、こちらは仲秋の名月から約1カ月後の陰暦9月13日の名月をいう。仲秋の名月だけを愛でることを「片見月」として忌む。

▶ 関連季語 月(秋)
▶ 関連季語 後の月(秋)

【名月の俳句】

名月をとつてくれろと泣く子かな  小林一茶
名月や池をめぐりて夜もすがら  松尾芭蕉

▶ 俳句の季節「狼男と秋の月」

初月初月初月夜
名月となる月が初めて出たのを初月という。旧暦8月1日の月を指すが、朔に当たるため、二日月や三日月を「初月」と呼ぶことがある。

二日月二日月
月の第二日目の夜に出る月のことを「二日月」というが、俳句の世界では、特に旧暦8月2日の月を指して仲秋の季語とする。

三日月三日月新月
俳句の世界では、特に旧暦8月3日の月を「三日月」として、仲秋の季語とする。「三日の月」「新月」とも言う。

待宵待宵小望月
旧暦8月14日の夜は「待宵」。「待宵」で十四夜月をも指す。また、小望月ともいう。日の入り前に昇り始める。

十五夜十五夜名月明月三五の月望月今日の月良夜
旧暦8月15日の月。月の出た夜は「良夜」という。望月(もちづき)は、「みてりつき(満月)」から来ているという説がある。月の模様がウサギに見えることから、中国では不老不死の薬をウサギが搗いているいると言われているが、日本では「もちづき」から「餅つき」と結び付けられた。

十六夜十六夜既望
旧暦8月16日の月。十五夜より少し遅れて昇り始め、「いざよい出る」の意味がある。

十七夜立待月十七夜
旧暦8月17日の月。十五夜以降、月の出は遅れるが、十七夜は、立って待てばたちまち出てくることから「立待月」と呼ばれる。

居待月居待月十八夜
旧暦8月18日の月。月の出がやや遅くなるので、坐って待たなければならないという意味が込められている。

臥待月臥待月寝待月
旧暦8月19日の月。月の出がかなり遅れ、寝て待たなければならないほどだという意味が込められている。

臥待月更待月二十日月
旧暦8月20日の月。この頃になると、日の入りから4時間くらい遅れて月が出てくる。夜が更けて月を待つの意。

臥待月二十三夜
旧暦8月23日の月。この月はちょうど真夜中に出てくる。「二十三夜待」ともいう。

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季語|春の月(はるのつき)

三春の季語 春の月

春月(しゅんげつ)春満月(はるまんげつ)朧月(おぼろづき)朧(おぼろ)

春の月の俳句と季語単に「月」といえば秋。澄み渡った秋の月に対し、春の月は朧を特徴とする。

月の語源は、太陽の次に明るいことから次(つく)が変化したものだと言われている。なお、古事記で月の神は三貴神に数え上げられ、イザナギの左目から生まれた太陽神アマテラスの次に、右目からツクヨミとして生まれている。

【春の月の俳句】

春月や塔下草にありく人  松根東洋城

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季語|月(つき)

三秋の季語 

月白(つきしろ)月光(げっこう)月影(つきかげ)月明(げつめい・つきあかり)・月下(げっか)・昼の月(ひるのつき)・月の秋(つきのあき)・月待ち(つきまち)

月の俳句と季語単に「月」といえば三秋の季語。名月ならば仲秋の季語。俳諧とつながりのある連歌・連句では、秋の月と春の花は特別視され、月には「月の定座」として月の句を詠みこまなければならない箇所がある。詠み込まれる「月」には、秋の清けさを映す。
万葉集の時代から「月」は数多く歌われていたが、特に額田王の歌と言われている

熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな

は有名。また、月が出ようとしている東の空の明るさを、月白と言って愛でる。

月の語源は、太陽の次に明るいことから次(つく)が変化したものだと言われている。なお、古事記で月の神は三貴神に数え上げられ、イザナギの左目から生まれた太陽神アマテラスの次に、右目からツクヨミとして生まれている。
月を語源とする「時(とき)」や「憑く(つく)」などの言葉もある。

▶ 関連季語 名月(秋)

【月の俳句】

浮世の月見過しにけり末二年  井原西鶴
ふるさとの月の港を過るのみ  高浜虚子

▶ 俳句の季節「狼男と秋の月」

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季語|帰り花(かえりばな)

初冬の季語 帰り花

返り花(かえりばな)帰咲(かえりざく)・狂咲(くるいざき)・狂花(くるいばな)・忘花(わすればな)・二度咲(にどざき)

帰り花の俳句と季語桜に限らず、桃やツツジなど、11月頃に季節を違えて咲く花をいう。身請けされた遊女が再び勤めに出ることもまた「帰り花」という。

散った花がその年のうちにもう一度花をつける様を、帰ってきたと見なす。

【帰り花の俳句】

かへり花暁の月にちりつくす  与謝蕪村
帰り咲く八重の桜や法隆寺  正岡子規

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季語|合歓の花(ねむのはな)

晩夏の季語 合歓の花

ねむり木(ねむりぎ)・ねぶの花(ねぶのはな)

合歓の花「歓喜」の花ことばを持つ。マメ科の落葉高木で、7月頃開花する。よって夏の季語となる。日本では、本州・四国・九州に自生。万葉集に合歡木(ねむ)として既にその名が見られ、

昼は咲き夜は恋ひ寝る合歓木の花君のみ見めや戯奴さへに見よ  紀女郎

我妹子が形見の合歓木は花のみに咲きてけだしく実にならじかも  大伴家持

我妹子を聞き都賀野辺のしなひ合歓木我れは忍びず間なくし思へば  よみ人しらず

の三首が載る。

夜になると葉を閉じるため、「眠り木」が転じてネムとなった。中国では、ネムノキが夫婦円満の象徴とされていることから、「合歓」の字が当てられた。

【合歓の花の俳句】

象潟や雨に西施がねぶの花  松尾芭蕉
雨の日やまだきにくれてねむの花  与謝蕪村

▶ 夏の季語になった花 見頃と名所

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季語|夏の月(なつのつき)

三夏の季語 夏の月

月涼し

夏の月の俳句と季語単に「月」といえば秋の季語となる。

太陽の次に明るいことから、次(つく)から「つき」になったという説がある。なお、古事記で月の神は三貴神に数え上げられ、イザナギの左目から生まれた太陽神アマテラスの次に、右目からツクヨミとして生まれる。

【夏の月の俳句】

蛸壺やはかなき夢を夏の月  松尾芭蕉

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季語|曼珠沙華(まんじゅしゃげ・まんじゅしゃか)

仲秋の季語 曼珠沙華

彼岸花(ひがんばな)死人花(しびとばな)・地獄花(じごくばな)・幽霊花(ゆうれいばな)・狐花(きつねばな)曼朱沙華(まんじゅしゃげ)

曼珠沙華の俳句と季語「情熱」の花ことばを持つ。秋の彼岸に開花することから彼岸花とも言い、秋の季語となる。赤い花をつけるが、白いものなどもある。稲作の伝来とともに中国から入ってきたと言われている。古い文献にはほとんど登場しないが、これは、「火事につながる」「摘むと死人が出る」などと言われて、忌避されてきたからだと考えられる。実際、全体に毒を有し、そのまま食すと中枢神経を侵して死に至ることも。しかし、薬として活用されることもあり、毒抜きをすれば救荒食にもなる。

曼珠沙華の語源はサンスクリット語にあり、サンスクリット語では manjusaka と発音し「赤」を指す。

【曼珠沙華の俳句】

なかなか死ねない彼岸花さく  種田山頭火

▶ 秋の季語になった花 見頃と名所

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季語|夏の蝶(なつのちょう)

三夏の季語 夏の蝶

夏蝶(なつちょう)揚羽蝶(あげはちょう)

夏の蝶の俳句と季語「蝶」といえば春の季語であるが、蝶には凍蝶に代表される冬の蝶や、秋の蝶、夏の蝶がある。体の大きいアゲハチョウは夏の蝶の代表であり、春を代表するモンシロチョウの幼虫がキャベツなどを食すのに対し、こちらはミカン科の植物を食して成長する。平氏の代表的な家紋には揚羽蝶があしらわれている。

蝶のことを古くは「かわひらこ」と呼んだが、川の近くでひらひら飛んでいたからこの名前がついたと言われている。因みに蝶は、奈良時代に唐から入ってきた言葉で、「てふ」と読んだ。

▶ 関連季語 蝶(春)

【夏の蝶の俳句】

あをはかや夏とぶ蝶の物がなし  堀麦水
乱心のごとき真夏の蝶を見よ  阿波野青畝

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季語|乗初(のりぞめ)

新春の季語 乗初


初電車(はつでんしゃ)
・初飛行(はつひこう)

乗初の俳句と季語その年初めて乗り物に乗ることを言う。

乗るは、古くは宣ると同義であったか。宣るは、「告げる」の意味を持ち、言霊信仰をもとに呪いに関与する。乗るは、のりうつることを意味したと思われる。

【乗初の俳句】

乗初の運転席に常の如  稲畑汀子

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