俳句検索結果



妻ふつと見えずなりたる千草かな　　石田勝彦　季
末枯の雨に明るき草木かな　　吉田詮子　季
末枯の陽よりも濃くてマッチの火　　大野林火　季
末枯るるものの中なる水のこゑ　　田村一翠　季
活けられてゑのころ草の恥づかしさう　　三村純也　季
娘たち何でも笑ふゑのこ草　　浦野光枝　季
猫じやらし触れてけものゝごと熱し　　中村草田男　季
貌が棲む芒の中の捨て鏡　　中村苑子　季
まん中を刈りてさみしき芒かな　　永田耕衣　季
穂芒のうしろ姿でありにけり　　河内静魚　季
ゐのこづち誰にも付かず枯れにけり　　猪口節子　季
吾に着き妻には着かぬ牛膝　　塩川雄三　季
体温のあるものに付き草虱　　牧辰夫　季
手の熱き女と生まれ萩白し　　鷲谷七菜子　季
白萩の雨をこぼして束ねけり　　杉田久女　季
初萩やぽつりぽつりと雨になり　　里見梢　季
嗄れ声の一羽がわたり真葛原　　河合照子　季
人の身にかつと日当る葛の花　　飯島晴子　季
首塚の葛の葉引けば山動く　　古舘曹人　季
撫子や母の匂ひの紺地着む　　小檜山繁子　季
茎ながき撫子折りて露に待つ　　篠田悌二郎　季
撫子や波出直してやや強く　　香西照雄　季
曼珠沙華竹林に燃え移りをり　　野見山朱鳥　季
このあたり同姓多し狐花　　阿川燕城　季
八ケ岳ここに全し野菊折る　　木村蕪城　季
わが傘の影の中こき野菊かな　　杉田久女　季
琴のごと土橋かかれる野菊かな　　轡田進　季
人影にさへ露草は露こぼし　　古賀まり子　季
露草の露ひかりいづまことかな　　石田波郷　季
子を打てる掌のさびしさや蛍草　　文挾夫佐恵　季
桔梗や水のごとくに雲流れ　　岸風三樓　季
ふつくりと桔梗の蕾角五つ　　川崎展宏　季
かたまりて咲きて桔梗の淋しさよ　　久保田万太郎　季
竜胆や声かけあひてザイル張る　　望月たかし　季
聖堂に入る竜胆を携へて　　石田勝彦　季
稀といふ山日和なり濃竜胆　　松本たかし　季
水引の花は動かず入日さし　　山西雅子　季
水引の雨こまやかに降りはじむ　　荏原京子　季
水引草風がむすびてゆきにけり　　遠藤正年　季
女郎花少しはなれて男郎花　　星野立子　季
霧を日の昇りつつあり女郎花　　有働木母寺　季
をみなめし遥かに咲きて黄をつくす　　松崎鉄之介　季
大利根の曲れば曲る泡立草　　角川照子　季
操車場泡立草が押し寄せて　　大島民郎　季
駅裏を黄濁背高泡立草　　有働亨　季
母を呼ぶやうに妻呼び赤まんま　　渡辺純枝　季
水底を水の翳ゆく桜蓼　　根岸善雄　季
二三日なまけごころや蓼の花　　鈴木真砂女　季
食べてゐる牛の口より蓼の花　　高野素十　季
吾亦紅逢うてさびしさつのらせて　　西嶋あさ子　季
山の日のしみじみさせば吾亦紅　　鷲谷七菜子　季
吾亦紅ぽつんぽつんと気ままなる　　細見綾子　季
柳川や水漬きて灯る烏瓜　　寺井谷子　季
手の温み移れば捨てて烏瓜　　岡本眸　季
烏瓜枯れなむとして朱を深む　　松本澄江　季
毒茸をもてあそびゐて後れたる　　内田美紗　季
倒れ木や楽隊のごと茸ならぶ　　町野けい子　季
力なき眼に月夜茸うかぶかな　　赤尾兜子　季
莨火をかばふ埋立冬一色　　秋元不死男　季
冬砂丘足跡遁るべくもなく　　飯島晴子　季
僧の背に漾ふ微塵冬探し　　市川葉　季
冬すでに路標にまがふ墓一基　　中村草田男　季
北岳のかがやき増せば一挙に冬　　福田甲子雄　季
大仏のうしろは冬の匂ひせり　　細井みち　季
むこう岸十一月の猫走る　　小宅容義　季
蹤いてゆく十一月の石畳　　黒田杏子　季
身にひびく音の多かり十二月　　鈴木六林男　季
沸くまでの水の重たき十二月　　正木浩一　季
重き手を机に置きぬ神無月　　八木壮一　季
生まれたての赤子見せらる神無月　　内田美紗　季
神有月出雲農家は垣厚し　　大津希水　季
初冬のまた声放つ山の鳥　　飯田龍太　季
初冬の大塵取に塵少し　　阿部みどり女　季
吹かれきて冬のはじめの鉋屑　　宇佐美魚目　季
冬ざれてコンドルといふ動かぬ鳥　　橋本風車　季
冬ざれの景に旧軍港ありぬ　　山崎ひさを　季
口中に舌一塊や冬ざるる　　佐竹ゆふ　季
花捨てて水捨てて壺冬に入る　　清水衣子　季
立冬をさっと雨降る四辻かな　　蓬田紀枝子　季
立冬や窓に始まる雨の音　　岩田由美　季
またがつて遊ぶは冬至南瓜かな　　岸本尚毅　季
空をゆく鏡のごとき冬至の日　　川崎展宏　季
玲瓏とわが町わたる冬至の日　　深見けん二　季
逝く年の水が水追ふセーヌかな　　鍵和田秞子　季
樽に燭立て逝く年のワイン倉　　中島畦雨　季
行く年の犬が見てゐる雪の果て　　椿文恵　季
年暮るる聖なるものも売り尽くし　　対馬康子　季
蝋涙に音あらば年暮るる音　　永作火童　季
年の瀬のかさこそとなる耳のそこ　　沢木欣一　季
数え日のざざと崩れて浪頭　　寺井谷子　季
数へ日の一閑にして鳶の笛　　河合照子　季
数へ日やまだ手つかずの遺言書　　神崎忠　季
栗鼠現れて極月の森明るくす　　柳沢和子　季
極月の水を讃へて山にをり　　茨木和生　季
床屋出てさてこれからの師走かな　　辻征夫　季
動くもの見えて小春の忘れ潮　　三森鉄治　季
正倉院伽羅かをりをる小春かな　　小澤實　季
俗名と戒名睦む小春かな　　中村苑子　季
問ひ詰めて人を泣かせし寒さかな　　佐野美智　季
新しき墓にもの言ふ寒さかな　　橋本榮治　季