俳句検索結果



ひととゐることのたのしさ草紅葉　　行方克巳　季
草紅葉山小屋閉す荷ぞ積まれ　　岡田邦朗　季
がうがうと黄落の音したりけり　　草間時彦　季
黄落や或る悲しみの受話器置く　　平畑静塔　季
病室の窓黄落の百号よ　　辻田克巳　季
夜は夜の波のとよもす新松子　　三田きえ子　季
ひとの嬰をふはりと抱きぬ新松子　　嶋田麻紀　季
書院開け放ちてありぬ新松子　　小澤實　季
新松子山脈に雲遼かなり　　星野麥丘人　季
太陽を煽りて芭蕉破れけり　　殿村菟絲子　季
舷のごとくに濡れし芭蕉かな　　川端茅舎　季
破芭蕉大きな影を浴びせけり　　宮津昭彦　季
山風の追つてくるなり通草籠　　黛執　季
空の冷え手に取るごとし通草の実　　大内史現　季
泣顔の子にちかぢかと通草熟れ　　岸田稚魚　季
桐一葉月光はしり寄りにけり　　阿部慧月　季
消息のつたはりしごと一葉落つ　　後藤夜半　季
水底の影に加はる桐一葉　　山田桃晃　季
耳の如くカンナの花は楽に向く　　田川飛旅子　季
月明やカンナは土をつとはなれ　　加藤楸邨　季
ピアニカを吹く緋のカンナ黄のカンナ　　丹沢亜郎　季
竹の春物焼くはじめ煙濃く　　北野民夫　季
万幹の竹春にして人容れず　　青木重行　季
山鳩のこゑ淀みなし竹の春　　古田日南　季
よろこべばしきりに落つる木の実かな　　富安風生　季
子離れの掌にほの温き木の実独楽　　山田佐代子　季
身を裂いて咲く朝顔のありにけり　　能村登四郎　季
朝顔の紺の彼方の月日かな　　石田波郷　季
朝顔やまだ日のささぬ水のいろ　　北村仁子　季
子規堂にのぼりつめたる蔦紅葉　　河野あきら　季
松の木をがんじがらめの蔦紅葉　　永川絢子　季
落葉松を駈けのぼる火の蔦一縷　　福永耕二　季
湯の街は端より暮るる鳳仙花　　川崎展宏　季
鳳仙花がくれに鶏の脚あゆむ　　福永耕二　季
つまべにの詮なきちから種とばす　　長谷川久々子　季
汲置の水に青空秋ざくら　　佐藤和枝　季
ひとりでに家壊れつつあきざくら　　坂戸淳夫　季
コスモスの押しよせてゐる厨口　　清崎敏郎　季
白菊の雲の如くにゆたかなり　　橋本鶏二　季
嫁がせて経ちし日数よ菊膾　　山口速　季
南縁の焦げんばかりの菊日和　　松本たかし　季
鶏頭の影地に倒れ壁に立つ　　林徹　季
嘆くたび鶏頭いろを深めたる　　馬場移公子　季
鶏頭に拳ぶつけて通りけり　　牧辰夫　季
山国や日を呑みつくす雁来紅　　鈴木静恵　季
かまつかへ胸中の火を移しけり　　坂井春青　季
いただきに金の雨ふり葉鶏頭　　山口青邨　季
酸漿の秘術尽してほぐさるる　　鈴木栄子　季
ほほづきのぽつんと赤くなりにけり　　今井杏太郎　季
鬼灯の熟れて袋のなか祭　　檜紀代　季
咲き充ちておしろい花の夜となりぬ　　丸山公子　季
とめどなく咲くおしろいの荒びかな　　高瀬哲夫　季
白粉花過去に妻の日ありしかな　　きくちつねこ　季
ゆるやかに風の紫菀を括りけり　　吉田丁冬　季
紫苑にはいつも風あり遠く見て　　山口青邨　季
雨続くままのいろなる紫苑かな　　甲田鐘一路　季
世阿弥忌の糸瓜の下の静かなり　　鈴木鷹夫　季
また一人へうたんの尻見上げたり　　遠山陽子　季
妹にばかり縁談糸瓜棚　　大庭紫逢　季
風呂敷のうすくて西瓜まんまるし　　右城暮石　季
畑中の西瓜漂着せし如し　　大串章　季
一切の西瓜を大き手が摑む　　山本一歩　季
うつくしきもの献饌の走り藷　　黒田杏子　季
まぼろしの子にも供へてふかし藷　　島谷征良　季
土固き丹波の藷を掘りにけり　　山本久子　季
敗荷にひつかかりたる落暉かな　　岸風三樓　季
破蓮の相触れてより動きけり　　苦瓜恒子　季
思ひきりとんで蓮の実池を出ず　　芳谷浄心　季
つぎの日も自然薯掘りの父に蹤き　　小原啄葉　季
鎌倉に残る畑の芋の秋　　石塚友二　季
酔さめて芋の鶴川村遠し　　藤田湘子　季
八頭いづこより刃を入るるとも　　飯島晴子　季
長考は山の芋より始まりぬ　　桂信子　季
炊きあげてかすもの如しぬかご飯　　角川照子　季
唐辛子逆吊りに日のつまりけり　　ながさく清江　季
今日も干す昨日の色の唐辛子　　林翔　季
天よりも地のよく晴れて唐辛子　　綾部仁喜　季
ひらひらと月光降りぬ貝割菜　　川端茅舎　季
一対はいのちのはじめ貝割菜　　高崎武義　季
夜更けひそひそ間引菜に星のこゑ　　保坂敏子　季
奥能登や打てばとびちる新大豆　　飴山實　季
豆引くやさつと降りくる鳥の群　　佐竹汎子　季
新あづき売られ札所の土匂ふ　　柴田早苗　季
唐黍や街道を行くとほりあめ　　岡健五　季
黍の闇もとより深し黒川能　　向笠和子　季
海峡を焦がしとうもろこしを焼く　　三谷昭　季
蕎麦の花旅の一日は暮れやすき　　町野けい子　季
月光の満ちゆくかぎり蕎麦の花　　古賀まり子　季
山影は水のごとくに蕎麦の花　　千代田葛彦　季
天領を雲はしる日や稲の花　　須原和男　季
八雲立つ国の稲穂を手に測る　　鷲谷七菜子　季
稲の香に晩き恋などあるもよし　　飯島晴子　季
空ひろきことの淋しき草の花　　倉田紘文　季
草の花ひたすら咲いてみせにけり　　久保田万太郎　季
音のして海は見えずよ草の花　　木下夕爾　季
あたたかき息かけとばす草の絮　　辻恵美子　季
草の実の飛ぶ音のほか音のなし　　徳永山冬子　季
ひそかにも喪服誂ふ草は実に　　向笠和子　季
子の摘める秋七草の茎短か　　星野立子　季
秋草の乱るる中に荘閉す　　高浜年尾　季