晩春の季語 雲丹
ウニ綱に属する棘皮動物の総称で、ホンウニ亜目のバフンウニ・エゾバフンウニ・アカウニ・ムラサキウニ・キタムラサキウニ、サンショウウニ亜目のシラヒゲウニなどが食用にされる。塩雲丹は、日本の三大珍味に数え上げられる。
普段は海の中の岩に張り付き、棘を動かしながらゆっくりと移動し、海藻や微小な有機物を食べている。種によっては、200年を超える寿命を持つものもいる。
ウニには主に3つの漢字があてられ、「海栗」は殻がついた状態のウニ、「海胆」は殻から取り出された生ウニ、「雲丹」は塩雲丹などの加工品を指す。語源は「海胆」にあり、「うみい」と訓読みしたものが転訛したとする説がある。
食用にされるのは生殖腺(精巣・卵巣)であり、通常は精巣と卵巣が混ざった状態で流通しているが、精巣の方が美味とされている。旬は、産卵前の春から夏にあたる。濃厚な色味と旨みで高級とされるバフンウニの中でも特に有名な「越前うに」は、例年7月20日頃に漁が解禁されるため、7月中旬から8月が旬となる。「越前うに」は、塩雲丹として、江戸時代から「塩辛の第一」と言われるほどに人気であった。
最もポピュラーな淡い黄色のムラサキウニは、淡い黄色でさっぱりとした上品な味わい。山口県を中心とした西日本で3月から6月に水揚げされる。晩春の季語の対象となるのは、このムラサキウニか、北海道産のバフンウニになるであろう。ただし、「俳諧歳時記」(高浜虚子1947年)には、「海胆」が夏部に分類されている。
【雲丹の俳句】
ぬくめしに雲丹をぬり向きあつてゐる 種田山頭火
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