俳句検索結果（季語付き）

煙草やめよと書き添へて寒見舞　　片山由美子　寒見舞（冬）
しもふりの肉ひとつつみ寒見舞　　上村占魚　寒見舞（冬）
許さるるほどの紅刷き寒稽古　　平野房子　寒稽古（冬）
寒稽古済めばやさしき師範なり　　森脇恵香　寒稽古（冬）
門弟の中のわが子や寒稽古　　高野素十　寒稽古（冬）
寒紅の濃き唇を開かざり　　富安風生　寒紅（冬）
寒紅や鏡の中に火の如し　　野見山朱鳥　寒紅（冬）
笑み解けて寒紅つきし前歯かな　　杉田久女　寒紅（冬）
沈みゆくおもひ寒紅きつく刷く　　吉野義子　寒紅（冬）
毛布にてわが子二頭を捕鯨せり　　辻田克巳　毛布（冬）
毛布背に馬はまなこを遠く置く　　岡田史乃　毛布（冬）
いと古りし毛布なれども手離さず　　松本たかし　毛布（冬）
冬蒲団妻のかをりは子のかをり　　中村草田男　蒲団（冬）
更けて寝る蒲団に嵩のなきおのれ　　山口草堂　蒲団（冬）
名山に正面ありぬ干蒲団　　小川軽舟　干蒲団（冬）
ねんねこのその母のまだ幼な顔　　古賀まり子　ねんねこ（冬）
ねんねこのあのふくらみは眠りゐる　　坂巻純子　ねんねこ（冬）
ねんねこの母の眼子の眠いま空へ　　皆吉爽雨　ねんねこ（冬）
つんとして豹の毛皮の中にゐる　　泉田秋硯　毛皮（冬）
川せみのねらひ誤る濁かな　　正岡子規　翡翠（夏）
毛皮夫人にその子の教師として会へり　　能村登四郎　毛皮（冬）
毛皮着て人間といふ不思議なもの　　轡田進　毛皮（冬）
着ぶくれて我が一生も見えにけり　　五十嵐播水　着ぶくれ（冬）
着ぶくれて狷介の背となり果つる　　藤木倶子　着ぶくれ（冬）
百貨店めぐる着ぶくれ一家族　　草間時彦　着ぶくれ（冬）
外套をかかえ直して見舞い辞す　　対馬康子　外套（冬）
外套の中なる者は佇ちにけり　　千葉皓史　外套（冬）
一着のマントに百の物語　　鳥居三朗　マント（冬）
すぐ眠くなる晩学の膝毛布　　丁野弘　膝毛布（冬）
膝掛や脱稿へあと二、三枚　　山崎ひさを　膝掛（冬）
子の織りし膝掛いつもかたはらに　　小野信子　膝掛（冬）
セーターを着るとき垂れ目はつきりと　　小島健　セーター（冬）
愛ほろぶごとセーターのほどかるる　　岡本眸　セーター（冬）
だぶだぶのセーターが来る美女がくる　　岩月星火　セーター（冬）
海鳴りの攫はんと鳴る冬帽子　　藤木倶子　冬帽子（冬）
くらがりに歳月を負ふ冬帽子　　石原八束　冬帽子（冬）
田の面見る賢治のごとき冬帽子　　野田青玲子　冬帽子（冬）
真白なるショールの上の大きな手　　今井つる女　ショール（冬）
襟巻を別れてよりは二重にす　　福井隆子　襟巻（冬）
林中にマフラーの赤走り入る　　松尾隆信　マフラー（冬）
マスクして人の怒りのおもしろき　　上野さち子　マスク（冬）
純白のマスクを楯として会へり　　野見山ひふみ　マスク（冬）
マスクして世に容れらるる言吐かず　　橋本榮治　マスク（冬）
手袋を脱ぎて少年犬を抱く　　高崎武義　手袋（冬）
手袋の十本の指を深く組めり　　山口誓子　手袋（冬）
握手するため手袋を噛んで脱ぐ　　上谷昌憲　手袋（冬）
手袋に包むいちにち使ひし手　　後藤比奈夫　手袋（冬）
わが思ふそとに妻ゐて毛糸編む　　宮津昭彦　毛糸編む（冬）
祈りにも似し静けさや毛糸編む　　戸川稲村　毛糸編む（冬）
毛絲編む一つ想ひを追ひつづけ　　波多野爽波　毛糸編む（冬）
雑炊や二人暮らしのひとり病む　　原数江　雑炊（冬）
雑炊もみちのくぶりにあはれなり　　山口青邨　雑炊（冬）
河豚雑炊あつしあつしとめでて吹く　　水原秋桜子　河豚雑炊（冬）
わかたれて湯気のつながるのつぺい汁　　鷹羽狩行　のつぺい汁（冬）
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり　　久保田万太郎　湯豆腐（冬）
湯豆腐や意地を通してよりの負け　　岬雪夫　湯豆腐（冬）
湯豆腐や男の歎ききくことも　　鈴木真砂女　湯豆腐（冬）
老いてなほ漁師たくまし根深汁　　鈴木真砂女　根深汁（冬）
老夫婦いたはり合ひて根深汁　　高浜虚子　根深汁（冬）
籠青し翳かさねたる寒卵　　草間時彦　寒卵（冬）
寒卵わが晩年も母が欲し　　野澤節子　寒卵（冬）
寒卵二つ置きたり相寄らず　　細見綾子　寒卵（冬）
寒卵割つて左右の手が分る　　中嶋秀子　寒卵（冬）
息ひとつひとつ餅切る父の夜　　桜井博道　餅切る（冬）
にぎやかに餅搗いてゐる隣かな　　宇田零雨　餅（冬）
水餅にものいふ吾の知らぬ妻　　鷹羽狩行　水餅（冬）
橋口で薪足してゐる焼芋屋　　升本行洋　焼藷（冬）
焼藷の肌あたたかし老母ほど　　辻田克巳　焼藷（冬）
焼藷屋むかしの汽車の笛鳴らす　　三河まさる　焼藷（冬）
玉子酒世間話のきりもなや　　岩本あき子　玉子酒（冬）
母の瞳にわれがあるなり玉子酒　　原子公平　玉子酒（冬）
玉子酒どちらが先に死ぬなどと　　橋本村童　玉子酒（冬）
鰭酒に大きな話大声に　　山家ハツエ　鰭酒（冬）
鰭酒や逢へば昔の物語　　高浜年尾　鰭酒（冬）
鰭酒の鰭くちびるにふれにけり　　中岡毅雄　鰭酒（冬）
別るるに東京駅のおでんかな　　岬雪夫　おでん（冬）
カフカ去れ一茶は来れおでん酒　　加藤楸邨　おでん酒（冬）
湯気こもりゐるおでん屋に席のなし　　小林杏遊　おでん（冬）
闇汁に手をさしのべて入れし物　　武原はん　闇汁（冬）
寄鍋や笑へば似たるいとこどち　　加藤望子　寄鍋（冬）
大根が一番うまし牡丹鍋　　右城暮石　牡丹鍋（冬）
風呂吹を食べ仙境に遊びゐる　　三島晩蝉　風呂吹（冬）
伊賀の夜の風呂吹憶ひ寝てしまふ　　下村槐太　風呂吹（冬）
風呂吹や妻の髪にもしろきもの　　軽部烏頭子　風呂吹（冬）
ふろふきの火の弱まりて深山星　　福田甲子雄　風呂吹（冬）
煮凝やときに生死は紙一重　　長田等　煮凝（冬）
煮凝や世に外れたる膝頭　　小林康治　煮凝（冬）
煮凝に一本の骨遠いくさ　　安居正浩　煮凝（冬）
切干のむしろを展べて雲遠し　　富安風生　切干（冬）
切干のもとにもどらぬ一二本　　秋山巳之流　切干（冬）
人声の過ぎてゆきける干菜かな　　ふけとしこ　干菜（冬）
妻留守の厨守るかに茎の石　　鈴木しげを　茎石（冬）
沢庵の重石に足すや谷の石　　井熊茂　沢庵（冬）
沢庵漬ける父祖伝来の石のせて　　武田日出夫　沢庵（冬）
みちのくの乾鮭獣の如く吊り　　山口青邨　乾鮭（冬）
塩鮭を女抱きゆく田の日暮　　皆川盤水　塩鮭（冬）
新巻の結び目しまる塩滲みて　　安養寺美人　新巻（冬）
北窓を塞ぐうはさは塞がれず　　太田みどり　北窓塞ぐ（冬）
潮しぶき来る北窓を塞ぎけり　　角川源義　北窓塞ぐ（冬）
渚なき海をさびしと目貼しぬ　　岡本眸　目貼（冬）