俳句検索結果（季語付き）

やり直しきかぬ女のふところ手　　稲垣きくの　懐手（冬）
女身仏のおん前にゐて悴めり　　福永法弘　悴む（冬）
悴みて針見失ふ夜の畳　　文挾夫佐恵　悴む（冬）
悴む手女は千も万も擦る　　山口誓子　悴む（冬）
まなぶたは今万華鏡日向ぼこ　　加藤三七子　日向ぼこ（冬）
死神もうつらうつらと日向ぼこ　　遠藤若狭男　日向ぼこ（冬）
加はりて日向ぼこりに黙しゐる　　岸田稚魚　日向ぼこり（冬）
匂ひ艶よき柚子姫と混浴す　　能村登四郎　柚子湯（冬）
柚子湯出て夫の遺影の前通る　　岡本眸　柚子湯（冬）
湯に浮かべ灯より明るし冬至柚子　　沢木欣一　冬至（冬）
飴袋黒土擦つて七五三　　沢木欣一　七五三（冬）
七五三詣り合はして紋同じ　　高浜虚子　七五三（冬）
子に合はす父母の歩幅や七五三　　山崎ひさを　七五三（冬）
撒きし豆通天閣の地に散れり　　岡崎白灯　豆撒き（冬）
豆撒いてわが家鬼ゐず吾子もゐず　　橋本美代子　豆撒き（冬）
鬼の豆噛んでユダにはなりきれず　　長田等　鬼の豆（冬）
揺るる灯に弁慶険し羽子板市　　藤田直子　羽子板市（冬）
うつくしき羽子板市や買はで過ぐ　　高浜虚子　羽子板市（冬）
羽子板市目をつけゐしが買はれけり　　石野冬青　羽子板市（冬）
柊を挿しこんもりと竹生島　　宇佐美魚目　柊挿す（冬）
なやらひの鬼の逃げざま大仰な　　久保晴子　なやらひ（冬）
山国の闇恐ろしき追儺かな　　原石鼎　追儺（冬）
このあたりにほふ艾や寒詣　　阿波野青畝　寒詣（冬）
寒詣かたまりてゆくあはれなり　　久保田万太郎　寒詣（冬）
寒詣無明無音に身を置けり　　平子敏雄　寒詣（冬）
賑はひに雨の加はり一の酉　　木内彰志　一の酉（冬）
一の酉夜空は紺のはなやぎて　　渡邊千枝子　一の酉（冬）
かつぎ持つ裏は淋しき熊手かな　　阿部みどり女　熊手市（冬）
へろへろとワンタンすするクリスマス　　秋元不死男（瘤）　クリスマス（冬）●
聖夜劇終へし天使が母探す　　遠藤若狭男　聖夜（冬）
遡る船が笛吹き降誕祭　　大高弘達　降誕祭（冬）
闇のいまうながす厄を落しけり　　皆吉爽雨　厄落し（冬）
厄のもの落すに辻の明るすぎ　　矢島久栄　厄落し（冬）
厄落す火の粉とび散る雪の上　　福田甲子雄　厄落し（冬）
ひやひやと子が鐘を打つ十夜かな　　福島勲　十夜（冬）
灯ともして闇のはじまる十夜寺　　北村仁子　十夜（冬）
履物を足でさぐりて十夜婆　　木田千女　十夜婆（冬）
寒垢離のあの滝音はひとりなり　　小澤克己　寒垢離（冬）
寒垢離の女身たちまち神隠し　　村松ひろし　寒垢離（冬）
寒垢離の漢へ持たす幣ひとつ　　寺田善樹　寒垢離（冬）
擦れ違ふしじまのありて寒念仏　　藤木倶子　寒念仏（冬）
越前の闇の底より寒念仏　　鈴木鷹夫　寒念仏（冬）
風に負けひとりがよろと寒念仏　　加藤弥子　寒念仏（冬）
峰の神旅立ちたまふ雲ならむ　　水原秋桜子　神の旅（冬）
火の色の縄文の壺神還る　　角川春樹　神還（冬）
神留守の汐木を焚きて驕るかな　　角川源義　神の留守（冬）
行き暮れしものの思ひぞ除夜の鐘　　殿村菟絲子　除夜の鐘（冬）
谺して嵯峨野は除夜の鐘づくし　　鷹羽狩行　除夜の鐘（冬）
除夜の鐘吾身の奈落より聞ゆ　　山口誓子　除夜の鐘（冬）
みづうみの風の荒さめる年籠　　木村蕪城　年籠（冬）
年守るやこころ剣の如く痩せ　　三橋鷹女　年守る（冬）
年守る月かすかなるひかりかな　　五所平之助　年守る（冬）
冬眠の蛇に滅びし社あり　　有馬朗人　冬眠（冬）
冬眠の亀つかみきて強燭下　　宮岡計次　冬眠（冬）
冬眠の蛙掘り出す井戸を掘り　　林栄光　冬眠（冬）
街騒を潮騒と聴き蕪村の忌　　鍵和田秞子　蕪村忌（冬）
うつくしき炭火蕪村の忌たりけり　　岸風三樓　蕪村忌（冬）
蕪村忌の蔵に褪せたる琴袋　　代々木千代　蕪村忌（冬）
もみ洗ひして箸泣かす一茶の忌　　北中富士子　一茶忌（冬）
同年にして鰻屋へ一茶の忌　　小林鱒一　一茶忌（冬）
一茶忌や雪とつぷりと夜の沼　　角川源義　一茶忌（冬）
漱石忌稀に和服のひと日得て　　大島民郎　漱石忌（冬）
やがて来る午後のおやつや漱石忌　　日原傳　漱石忌（冬）
硝子戸の息にくもりて漱石忌　　宇佐美魚目　漱石忌（冬）
トランプの一人占ひ一葉忌　　水野緋佐子　一葉忌（冬）
雑貨屋のまだ点しをり一葉忌　　角川照子　一葉忌（冬）
あらひたる障子立てかけ一葉忌　　久保田万太郎　一葉忌（冬）
芭蕉忌や今も難所の親不知　　三村純也　芭蕉忌（冬）
榛の木に雲の吹かるる翁の忌　　三田きえ子　翁忌（冬）
しぐれ忌を山にあそべば鷹の翳　　上田五千石　時雨忌（冬）
天の鷹雄のさびしさを高めつつ　　野見山朱鳥　鷹（冬）
かの鷹に風となづけて飼ひ殺す　　正木ゆう子　鷹（冬）
翼摶ちおのれ鎮むる檻の鷲　　井手千二　鷲（冬）
にくまれていよいよ寒の鴉なり　　日美清史　寒鴉（冬）
二羽寄れば二羽のさびしさ寒鴉　　谷野予志　寒鴉（冬）
積善の家にあつまる冬鴉　　穴井太　冬鴉（冬）
出棺待つ窪地にあそぶ冬すずめ　　藤田直子　冬雀（冬）
寒雀一斉にたち風起る　　今村洋子　寒雀（冬）
佳き名つけふくらすずめを飼ひたしや　　大石悦子　ふくら雀（冬）
笹鳴や痩せし日射しを膝の上　　岸田稚魚　笹鳴（冬）
あやとりのさまに笹鳴とび交し　　八染藍子　笹鳴（冬）
良きことのありさうな日や笹子聞く　　濱田淑子　笹子（冬）
落日の金泥に鴨身をゆだね　　甲斐すず江　鴨（冬）
撃ちし鴨摑めば薄眼あけにけり　　奥坂まや　鴨（冬）
鴨を抱くこころやさしき水の性　　清水径子　鴨（冬）
人は影を鴨は光の水尾を曳き　　長嶺千晶　鴨（冬）
水鳥のしづかに己が身を流す　　柴田白葉女　水鳥（冬）
水鳥のあさきゆめみし声こぼす　　青柳志解樹　水鳥（冬）
浮寝鳥ひとつひとつの日暮かな　　里見梢　浮寝鳥（冬）
鶴凍てて花の如きを糞りにけり　　波多野爽波　凍鶴（冬）
凍鶴の梵字の如くたてるかな　　龍岡晋　凍鶴（冬）
凍鶴の脚いつのまに踏み替へし　　北村周子　凍鶴（冬）
丹頂の相寄らずして凍てにけり　　阿波野青畝　凍鶴（冬）
梟や燠にちらりと炎立ち　　鷲谷七菜子　梟（冬）
梟のねむたき貌の吹かれける　　軽部烏頭子　梟（冬）
梟に奪はれさうな灯が一つ　　藤本和子　梟（冬）
寒禽の撃たれし谺より暮るる　　神尾久美子　寒禽（冬）
寒禽の食みこぼしたる光かな　　広瀬ひろ子　寒禽（冬）
庭に来て鳴く冬鳥の名を知らず　　浅野敏夫　冬鳥（冬）
鴛鴦の沓波にかくるることもあり　　山口青邨　鴛鴦（冬）