俳句

俳句検索結果(季語付き)



職退いてからの冷房嫌ひなり  伊藤白潮 冷房(夏)
冷房にゐて水母めくわが影よ  草間時彦 冷房(夏)
冷房の鏡ぬけ出て歩み去る  加賀美子麓 冷房(夏)
天瓜粉しんじつ吾子は無一物  鷹羽狩行 天瓜粉(夏)
天瓜粉打たるゝ子をぞ吾も欲し  杉山岳陽 天瓜粉(夏)
子は三界の首枷でよし天瓜粉  成瀬櫻桃子 天瓜粉(夏)
しら梅に明る夜ばかりとなりにけり  与謝蕪村 白梅(春)
雲多き日のパラソルは花の類  中尾寿美子 パラソル(夏)
打水の済みしばかりを通りけり  角光雄 打水(夏)
水を打つ水のかたまりぶつつけて  大橋敦子 水打つ(夏)
駅長の水打つてゐる小諸かな  阿部静雄 水打つ(夏)
虫干や遺影の兄は椰子に凭り  轡田進 虫干(夏)
扇風機ひとつの風に死者生者  今瀬剛一 扇風機(夏)
扇風機止めれば雨の音のまた  久保田万太郎 扇風機(夏)
扇風器大き翼をやすめたり  山口誓子 扇風機(夏)
ひらきたるままの男の扇かな  岡井省二 (夏)
京扇どれも美し買ひまどふ  下村梅子 (夏)
目礼のあとの黙殺白扇子  鷹羽狩行 白扇(夏)
秀吉の書状短かしお風入  森田峠 風入れ(夏)
漢籍を曝して父の在るごとし  上田五千石 曝書(夏)
妊りて紅き日傘を小さくさす  森澄雄 日傘(夏)
二児連れて日傘の妻の遅れがち  山崎ひさを 日傘(夏)
岐阜提灯庭石ほのと濡れてあり  杉田久女 岐阜提灯(夏)
風鈴の空は荒星ばかりかな  芝不器男 風鈴(夏)
風連れて風鈴売が路地曲る  長谷川廷生 風鈴売(夏)
海を恋ふ貝風鈴の鳴りやまず  高橋悦男 風鈴(夏)
幸すこし不幸をすこし走馬燈  岬雪夫 走馬燈(夏)
走馬燈しづかに待てばめぐりけり  大野林火 走馬燈(夏)
早苗束抛りて宙を濡らしけり  木内彰志 早苗(夏)
田を植ゑて空も近江の水ぐもり  森澄雄 田植(夏)
田植機の音響かせて田にひとり  浅見さよ 田植(夏)
向日葵の蘂を見るとき海消えし  芝不器男 向日葵(夏)
あなたなる夜雨の葛のあなたかな  芝不器男(ホトトギス) (秋)
鐘つけば銀杏散るなり建長寺  夏目漱石(海南新聞) 銀杏(秋)
麦刈るや雲甲斐駒へ甲斐駒へ  山田文男 麦刈(夏)
麦刈りて風の筋道消されたり  廣瀬直人 麦刈(夏)
病む麦を刈りいづこへか運び去る  野澤節子 麦刈(夏)
登山靴穿いて歩幅の決りけり  後藤比奈夫 登山靴(夏)
登山馬よろけついでに歩き出す  遠藤若狭男 登山馬(夏)
霧をゆき父子同紺の登山帽  能村登四郎 登山帽(夏)
みづうみにひかりをゆだね避暑期去る  飯田龍太 避暑(夏)
避暑散歩手作りジャムの小店まで  高間礼子 避暑(夏)
避暑地とて好きな恰好して歩く  稲畑汀子 避暑(夏)
一燭に涼みておはす伎芸天  きくちつねこ 納涼(夏)
すぐそばに深き海ある夜の涼み  山口波津女 納涼(夏)
靴脱いで蹠さびしき涼み舟  舘岡沙緻 納涼船(夏)
ことごとく照らしだされて鵜の疲れ  鈴木伊都子 鵜飼(夏)
鵜の篝夜の殺生の明々と  橋本多佳子 鵜篝(夏)
逸る鵜の引き戻さるる綱の張り  辻恵美子 鵜飼(夏)
満開の海の岩岩船遊び  山口誓子 船遊び(夏)
マロニエの実をポケットに船遊び  棚山波朗 船遊び(夏)
遊船のさんざめきつつすれ違ひ  杉田久女 遊船(夏)
美しき世を待つごとく繭ごもる  遠藤若狭男 (夏)
白繭のいのち静かに透けてをり  相川やす志 (夏)
山繭の夕営みの白ほのと  加倉井秋を (夏)
脚立より葬り見送る袋掛  小原啄葉 袋掛(夏)
殉教の墓ある島も袋掛  小路紫峽 袋掛(夏)
袋掛野は雨後の日を溢れしめ  村田脩 袋掛(夏)
ねむりても旅の花火の胸にひらく  大野林火 花火(夏)
暗く暑く大群衆と花火待つ  西東三鬼 花火(夏)
なかなかに暮れぬ人出や花火まつ  高野素十 花火(夏)
夜店の灯古きパリーの地図を買ふ  有馬朗人 夜店(夏)
トルファンの夜店の雨に濡れにけり  松崎鉄之介 夜店(夏)
七の日の夜店で会つてそれつきり  飯田以余子 夜店(夏)
作りたる色のかなしき水中花  大橋敦子 水中花(夏)
水中花大きく咲かせ夫持たず  鷲谷七菜子 水中花(夏)
水に咲くほかはなかりし水中花  山田弘子 水中花(夏)
石塀へ水鉄砲のためし撃ち  岡本眸 水鉄砲(夏)
ビーチパラソルの私室に入れて貰ふ  鷹羽狩行 ビーチパラソル(夏)
ぶつかつて来て裸子のやはらかき  藤崎実 裸子(夏)
裸子や涙の顔をあげて這ふ  野見山朱鳥 裸子(夏)
伸びる肉ちぢまる肉や稼ぐ裸  中村草田男 (夏)
泳ぎ来し髪をしぼりて妻若し  福永耕二 泳ぎ(夏)
愛されずして沖遠く泳ぐなり  藤田湘子 泳ぎ(夏)
子の世界母を遠ざけ水遊び  稲畑汀子 水遊び(夏)
街の子や雨後の溜りの水遊び  石塚友二 水遊び(夏)
打ちふつて夕日を捉ふ捕虫網  高橋悦男 捕虫網(夏)
捕虫網壁にもたれてあした待つ  伊藤敬子 捕虫網(夏)
捕虫網踏みぬ夜更けの子の部屋に  石田波郷 捕虫網(夏)
大空に草矢放ちて恋もなし  高浜虚子 草矢(夏)
草笛の子や吾を見て又吹ける  星野立子 草笛(夏)
麦笛や嘆きの息が音に出でて  大石悦子 麦笛(夏)
水さつと鳥よふはふはふうはふは  広瀬惟然 水鳥(冬)
水鳥やむかふの岸へつういつうい  広瀬惟然 水鳥(冬)
母の日や母のなき子の綴り方  小川きぬ江 母の日(夏)
母の日や何もせずとも母とゐて  大橋敦子 母の日(夏)
母の日や大きな星がやや下位に  中村草田男 母の日(夏)
端居して窓一杯の山を見る  星野椿 端居(夏)
端居して旅にさそはれゐたりけり  水原秋桜子 端居(夏)
凡庸に生きて悔なし夕端居  名倉八重子 端居(夏)
百畳の隅の一畳昼寝覚  村上喜代子 昼寝覚(夏)
母すでに昼寝覚めたる流し元  原石鼎 昼寝覚(夏)
はづし置く眼鏡に見られ昼寝せり  本宮鼎三 昼寝(夏)
せつせつと眼まで濡らして髪洗ふ  野澤節子 髪洗う(夏)
洗ひ髪月光のほか触れしめず  北村仁子 洗い髪(夏)
洗ひ髪母に女の匂ひして  岡本眸 洗い髪(夏)
今生の汗が消えゆくお母さん  古賀まり子 (夏)
突く杖を汗が握つてをりにけり  粟津松彩子 (夏)
汗の子のつひに詫びざりし眉太く  加藤楸邨 (夏)
潮焼にねむれず炎えて男の眼  能村登四郎 潮焼(夏)